生活保護の方に慰謝料を請求されて、弁護士と役所に相談した話(前編)

いつもと毛色の違うシビアな体験談になります。


数年前、当時住んでたマンションで水漏れ事故を起こしてしまいました。
細かい経緯は、出来れば後日詳しく記事にしたいと思っていますが、今日はその事後対応の過程で体験した事をお話しします。


水漏れ事故によって被害を与えてしまった相手は、真下の階に住んでる60歳前後の男性でした。
生活保護を受けてる方でした。

その方から「水漏れ事故の被害に遭ったせいで鬱がまた悪化したので、慰謝料を払って欲しい」と言われました。

被害を与えてしまったのだから、当然お詫びとしていくらか包んでお渡ししないといけない、いや、するべきだなとは考えていました。

でも、まずは水浸しになった部屋の修復とダメになった家具家電などの補償が先だと思ってたので、事故翌日にいきなり慰謝料の話をされてちょっと驚きました。

その時に、鬱病になった事が原因で生活保護を受けているという事も知りました。


働けなくなるくらい重い鬱病、その慰謝料ってどのくらいなんだろう・・・?
私に払える額なんだろうか・・・?

水漏れ事故の事だけで既にパニクってた私は、(事故発生時に続いて)再び頭の中が真っ白になり「自己破産」という文字が浮かびました。


親族や友人に相談しようか、と一瞬考えたのですが、こんな事相談されてもわかんないよな、困るよな・・・。

自分が情けなさ過ぎて、こんな事相談出来ない、したくないという、つまらないプライドもあったかもしれません。

私は、子供の頃からしっかりしてると言われることが多かったので、自分でもそのつもりでいました。
だから、弱いところを見せたくないという気持ちもあったような気がします。

あの時期は普通の精神状態じゃなかったので、あの頃どんな気持ちでどんな事を考えていたか、自分でもハッキリしない、あまりよく思い出せない部分が多々あります。
覚えてるつもりで間違ってる記憶もあるかもしれませんので、その前提で聞いていただければと思います。


ともかく、とりあえずネットで調べてみよう。

すると、すぐに答えが見つかりました。
探していた答え(慰謝料の相場)じゃなかったけど。

鬱病とか水漏れ事故の事例は出てこなくて、ほとんど、いや全て交通事故による慰謝料のケースだったんですが、ありました。

「生活保護受給者が慰謝料を受け取った場合、役所に申告をしなければならない。収入とみなされるので役所に返還しなければならない」

つまり、私が慰謝料を払ったとしても、相手の方の手元にはほとんど残らないという事。
(ほとんどというのは、控除額がいくらかあったり、ケースバイケースだったりする事もあるので、必ずしも全額返還ではないらしい、からです)


これって・・・

ホッとすれば良いのか、余計話が複雑になったと捉えるべきか。


慰謝料を払っても相手の手元に残らないのだから、払っても無意味。
でも・・・
だから払いませんって、そんな事言える?
それで相手の方は納得する?

手渡しなら、役所には知られない、わからない、かもしれない、多分。
でも、それって不正になるよね?
バレたらどうなる?いや、バレなきゃいいって話でもないよね?

どうしたらいいの・・・?


途方にくれた私の頭に浮かんだのは「弁護士」という言葉。

でも、弁護士に相談すると結構お金がかかる。
これから事故の後始末にいくらお金がかかるかわからないのに、弁護士頼む余裕なんて。

そう言えば、法律事務所によっては無料相談出来るところがあったような記憶が。
でも、無料相談だけ利用して帰るのも図々しいような気もするし。

・・・あ、自治体の無料相談窓口がある!

予約制になっていたので電話で予約を取り、予約当日、相談する際に必要となりそうな資料やメモなどを持参し、相談窓口に出向きました。

市役所の中にあるのかと思ってましたが、別の建物でした。市役所よりも明るくて入りやすい雰囲気。


時間制限があるので、要領よく話が出来るようにあらかじめポイントをまとめておきました。

・水漏れ事故を起こして下の階の住人に被害を与えてしまった
・その方は生活保護受給者
・被害のせいで鬱が悪化したので、慰謝料が欲しいと言われている
・ネットで調べたところ、生活保護受給者が慰謝料を受け取った場合、役所に申請して返還しなければならないとわかった
・手元にお金が残らないのでは、慰謝料を払っても相手の方は気が収まらないだろう
・納得してもらうために、どう話をしたら良いのか困っている


私を担当してくださったのは、中年の女性の弁護士さんでした。
親身にというほどでもなく、かと言って冷たいわけでもない、まあ可もなく不可もなく淡々と、という感じでした。

答えも曖昧で、はっきり「こうすべき」という回答はありませんでした。
一概にこれがベストな解決法、というのは・・・相手のあることなので・・・みたいに明言を避けてる感じ。

その時は「この程度の答えなら、ネットで調べたので十分だったな」とガッカリしました。

でも、後で気づきました。
正式に依頼してるわけじゃないので、あくまで一般論で抽象的な答えしか出来なかったんだろうな。
責任取れないというのもあるし、逆に(正式に依頼を受けてるわけじゃない=私はクライアントではないのに)踏み込んだアドバイスは多分倫理違反になるんだろうな、と。

それでも、一つ助かったのは「生活保護受給者に収入があった時の返還義務の話は、ネットで調べたんじゃなく、弁護士に教えてもらった、と言っていいですよ」と許可がもらえた事。

ネットで調べたと言うと「慰謝料を払いたくないから調べたのか!?」と勘繰られるおそれがあるので、言いたくなかったんですよね。
実際、調べたのは、いくらくらい払うべきなのか相場を知りたかったからですし。

弁護士に相談して教えてもらったと言った方が、「弁護士に相談しているという事は、慰謝料を払う気があった」事をわかってもらえる、「弁護士に相談しているので、違法性のある要求は出来ない」と相手の方に自制してもらえる、と2つのメリットがあると思いました。


そこで、意を決して相手の方に話をしました。

その時は、渋々?ながらも納得していただけました。

これで、一つ問題を片付けることが出来た。
その時はそう思ってました。


長くなったので、続きは後日。

わかりやすく、かつコンパクトに記事をまとめるのって難しいですね。

わかりやすく説明しようとすると、どうしても長くなってしまいます。

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