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30円でジョージアの日帰りビザラン

コーカサスの小国ジョージアは日本国パスポート所持者であれば、1年のビザなし滞在が認められています。ということは前回入国時から1年経つ前に一度国外に出る必要があるということでもあります。2021年は数度ジョージアと他国との行き来があったので、ビザランを考える必要はなかったのですが、2022年に入ってからは全くジョージア国外に出ることはなく、出国期限の9月末が近づいてきました。旅行でどこかに行ければよかったのですが、今回はチャンスがなく、時が来てしまいました。

今、ジョージアの通貨ラリは、米ドル、ユーロに対してもこの半年ですごく高くなっています、特に対日本円はこの1年間で約1.5倍になっていて、今までジョージアに対して多くの人が抱いていた安く長く過ごせる国というイメージは完全に幻想となりました。なぜこのようなラリ高なのかは定かではありませんが、エネルギー供給に関してEU諸国のような特筆すべき心配がないことも要因の一つかもしれません。ただし、電気代、ガス代は西欧程ではないですが、この1年でかなり高くなっているのは間違いありません。地元のフランス系スーパーマーケットで値札を見ていると食料品価格などもじわじわと止まることなく上昇を続けています。ラリ高なのだから輸入品は安くなってもいいはずなのですが、残念ながらそうはなっていません。なのでこれから日本からジョージアに来られる方は数年前の2倍以上の生活費・滞在費が掛かると思ってこられた方がいいと思います。日本の田舎の方がジョージアの都市部より生活費がかからないかもしれませんね。ここバトゥミは夏がハイシーズンでその間のホテルの宿泊費やアパートの家賃は、これまでも高かったのですが、今年に入ってからは爆上げとなっていて、さらに謎のラリ高も相まって海外からの一般旅行者が訪問しにくくなっていると想像できます。

話が横道にそれてしまいましたが、9月の出国期限を前に日帰りビザランを決行することに決めました。ビザランというのは、滞在期限を前に出国してさほど日にちを置かずに再入国することでビザなし滞在期間の更新を行うことをいいます。10年ほど前にタイに滞在していた時に何度か陸路でビザランを行った経験があります。当時は陸路でのタイへの入国は14日間のビザなし滞在だったので、2週間ごとにビザランを行う必要があったのを覚えています。カンボジアとの国境までバンコクから片道4時間くらいかけて行っていたような。専用業者のバスツアーがあったのでそれを利用しました。丸一日かかっていましたね。多分、今は大きく状況が変わっていると思いますが。

さて、今回はジョージアでのビザランです。再入国が認められれば、ジョージアは空路、陸路関係なくそこからさらに1年のビザなし滞在ができます。オールド・バトゥミ(旧市街)からトルコとの国境の町(サルピ)までは約20km、市バスで1時間ほどかかりますが、片道0.3ラリ(約15円)で行くことができます。20キロでも市内と同じ均一料金が適用されているので良心的と言えます。これでも昨年まで0.1ラリだったので3倍に値上がりしているのです。

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16番のバスに乗れば終点が国境検問所の入口のすぐ近くなので、迷うことなく検問所に入ることができるはずです。

アイキャッチの写真の右奥が国境検問所の入口になるわけですが、入るとすぐにジョージア出国審査のブースがあります。パスポートを用意して順番が来たら出すだけで、特に何もなくスムーズに出国できました。順路にしたがって長い通路をひたすらトルコ側に向かって歩き続けると今度はトルコの入国審査のブースが現れます。8月下旬で夏真っ盛りの昼の12時ごろだったためか、すでに列などというものはなくカオス状態で1時間近くたってやっとブースにたどり着き、入国審査官はパスポートをさっとチェックしただけで、特に何かを聞かれることもなく、トルコ入国スタンプを押してくれました。ちょっと拍子抜けしてしまうくらい簡単でした。多分今までで最短だったような気がします。私のパスポートには数多くのスタンプや期限の切れている就労ビザなどがあるので、国によってはすごく時間をかけて入念にパスポートのチェックをされます。なので今回はちょっと感動してしまいました。入国審査が済むと空港のように手荷物検査があります。いつもの癖でズボンのベルトを外そうとしていると税関職員が空港じゃないからその必要はないよと教えてくれました。そりゃそうだ。ちょっと恥ずかしかったです。

手荷物検査が終わると少し歩いて階段を降りるとトルコ側に出ます。

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トルコ側は周りには特に何もなく、近くに食堂兼売店が1軒あるだけのようでした。そうそう忘れてはいけません。イスラム教の国らしくモスクがお出迎えしてくれていました。ただ、バトゥミの我が家のすぐそばにもモスクがあるのでトルコに入ったんだというような感慨は特になかったです。

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今回は日帰りビザランなので、トルコリラを用意してなかったこともあり、トルコ側に長居する理由はありません。すぐにジョージアへ再入国です。ちょっと考えたのが、あまりに早すぎてはトルコ側の出国審査時に入国データが行っていない可能性があるのでは、などと余計なことを考えてしまい、結局1時間ほど外をぶらついていました。

さてジョージアへの再入国ですが、今までこんなに短時間滞在(1時間弱)でのビザランは初めてなので、ちょっと緊張していました。トルコに入国した出口から30メートルほど離れたトルコ側の入口から検問所に入ることになります。階段を上り通路を進んでいくとトルコ側の出国審査のブースがあります。この時は入国時と比較すると圧倒的に人が少なく、すぐに順番が来ました。いつものようにパスポートを提出して何か聞かれるかなと思っていましたが何も聞かれることもなくこちらもスムーズに出国できました。トルコ最高! 

次は最もリスキーなジョージア再入国です。つい2時間ほど前に出国した人間がこの短時間の間に再入国をしようとしているのですから、何を聞かれても仕方ありません。事前に回答を用意しておくこともなく、聞かれたら素直に回答しようとだけ考えていました。まさか別室に連れて行かれることはないだろうとは思っていましたが、やはり心配ではありました。たまたまですがジョージア側の入国審査ブースには私のほかはたった一人いただけですぐに入国審査が始まりました。パスポートを提出し、入国審査官がチェックを始めました。何を聞かれるのだろうかと思って待っていると、入国審査官が、何かを言ったので、Excuse me? と尋ねると Hideyuki? と聞かれました。Yesと答えるとwelcomeと言ってスタンプを押してくれました。晴れて再入国ができ日帰りビザランは成功でした。気のせいかもしれませんが、ジョージアの入国時は、毎回、姓ではなく、名前を聞かれているような。まあ、どちらでもいいですよね。

結果的にドアツードアで4時間程度でした。

ちなみにジョージア、トルコの両国ともに現在入国審査時にワクチン接種証明やPCR検査は要求されていません。一時は街中PCR検査場だらけだったバトゥミですが、今やその面影は全くなくなっています。マスクしている人はたまに見かけますが、割合は間違いなく1%未満です。日本は何だか違う世界のようですが。


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