(続)なぜDLはバカなのか? 〜Football IQ篇〜
※本noteの登場人物はすべてフィクションです。ご留意ください。
なお、ミスターAnal(noteの文字数制限を考慮し省略させていただきます)はノンフィクションです。
最初に
前回このようなnoteを書いたところ、多数の不満が現役のDLと思しき方々から来ました。はあちゅうさんばりに誹謗中傷のターゲットになってしまい、一時はシアトル・シーホークスのチーム施設に放火し自死を選ぼうかという精神状態になってしまいましたが、ちゃんと説明すれば良かったんだと気づきましたので、こちらの続編noteにて説明をさせていただこうと思います。
年末のテンションで緩くなったみなさんの財布から更なる投げ銭を貰い、なんとか不健全なマッサージに行こうという動機ではありません。
なお、たまにnoteを褒めてくれるミスターAnal(noteの文字数制限を考慮し、省略させていただきます)ことmaceさんは、褒めるだけで投げ銭はしてくれません。PFF級のnoteを書くまでは課金してもらえないようです。
※12/26、こちらのnoteを見てくれたmaceさんから善意の投げ銭をいただきました!!ありがとうございます!!!
そもそもバカの定義とは?
ということのようです。
確かにヒルナンデスでスポンサーのIKEAの椅子をぶっ壊したり、日本フットボール界およびワイドショーを震撼させた危険なタックルを披露したり、日本代表にまでなったのに某CMで有名なジム従業員として客のお金を盗んで逮捕されニュースになったり、学生時代キャプテンだったことをTVでよく言ってますが部費未納だったり…
DL出身者の愚行はいくつかありますが、そういう意味で私は前回のnoteを書いた訳ではございません。
フットボールはご存知の通り多数のサインがあり、試合で活躍するにはそれを覚える必要がありますし、DLも例外ではありません。
では私がなぜ、”バカ”という言い方をしたかというとDL(特にDT/NG)は「決まった動きをする」や「余計なこと考えずとにかく突っ込む」というシーンが圧倒的に多いポジションだからです。
「プレイブックが分厚いから頭が良い」はないだろうが
アメフト未経験者がアメフトのスポーツとしての魅力を語る時よくいいますよね。よく「作戦が電話帳くらい分厚いってほんとですか?」とか聞かれるし。暗記力だけで頭の良さが決まるかというと、アメフトはそうではないのです。むしろプレイブック覚えるのなんて、試合に出るための絶対条件ですから。
(なお、東大卒主席弁護士の場合は違うそうです。他の東大卒弁護士にも聞いてみたいものです。)
ある人はフットボールIQについて以下のように語っていました。
まったくもって同感である。試合に出るのに最低限必要なプレイブックを覚えることをフットボーラーの頭の良さとして語るのはやめてほしい。合コンで女子に言われた時以外は許したくない。
オフェンスの各ポジションはフットボールIQをどう発揮しているか
ではフットボールIQを各ポジションはどのように発揮しているのか。
まずはオフェンスから簡単にではあるがまとめてみました。
オフェンス全般
プレイ前:ダウン&ディスタンスと残り時間から各プレイにおいて絶対守らなければいけないことを確認。その後、ディフェンスのパーソネル、フォーメーション、アライメントを確認。必要に応じてプレイを変えたりアジャスト。
プレイ終了後:直前のプレイやそれまでのプレイから、ディフェンスの作戦や特徴を分析。コーチとやりとりしながら希望のプレイを入れたり、プレイのディテールを変更したりする。
QB
パス:プレイ開始後の実際のサインやカバレッジを即時に判断。味方選手のアジャストまで意識した上でパスを投げ込む。また残り時間やシチュエーションを考慮しながら、プレイが崩れた際には投げ捨てる、サックを受けることを意識したり、時にはインターセプトのリスクまでとって良いか判断してパスを投げる。
ラン:特にオプションプレイにおいては、オプションのキーとなる選手の動きだけではなく、ディフェンスのサインによって、一人一人の役割を瞬時に見抜き、的確な選択肢を判断する。ランパスオプションにおいても同様。
RB/WR/TE
プレイ開始後の実際のサインやカバレッジを即時に判断。必要なアジャスト(ルートの調整や変更)を行ったり、パスプロテクションの対象変更を行う。
基本的にはQBと同じに見えるものの、それぞれの選手によって見えるフィールドの情報量は違うため、難易度も変わる。パスに出る際には、自分についているディフェンダーの動きで主に判断をする必要があり、ランの際には、瞬時の判断が肝となる。
OL/TE
プレイ開始前:ディフェンスのアライメントやサインの気配を読み取り、ほぼ全てのプレイ開始前にブロッカー内で意思疎通し、その場でブロック対象を最終確定させる。
プレイ開始後:ディフェンスの動きをベースにディフェンスサインと、ボールキャリアの位置を予想。適切なブロッキングアングルやタイミングに変更。キャリアが近くにいるにもかかわらず、キャリアが見えないことと、密集にいるため入ってくる情報が少ない。
ではディフェンスは?
オフェンスは大きくQB、RB/WR/TE(ボールキャリアー)、OL/TE(ブロッカー)で分けたが、昨今のフットボールにおいてはディフェンス選手のポジションの垣根はどんどんなくなっており、役割を基準に分けさせてもらった。
ディフェンス全般
プレイ開始前:ダウン&ディスタンスと残り時間から守ることの優先順位を確認(例えば、TD>時間を止められること>FG圏内に入られること>1stダウンをとられること とか)。オフェンスのフォーメーションとそれまでのプレイの流れからある程度いのプレイ予想を立てる。必要に応じてその場でアジャスト。
プレイ開始後:即時にラン/パスか判断し、オフェンスの動きに合わせ、自分の役割にあった動きをとる。
プレイ終了後:出されたプレイ、出されそうだったプレイへの対応。さらに入っていたプレイから今後くる可能性のある裏プレイを想定した上での対応を確認。
ディフェンスのプレイコーラー(主にLB。高校レベルではIQが高い選手がLB以外でも担うことも。)
プレイ開始前:オフェンスのフォーメーションや動きを確認した上で、他の選手へアジャストの指示。
パス
カバー担当:
パスを判断したら自分の役割に則り動きつつ、視野内のパスターゲットの動きからパスコンセプトを読み取り、役割交換や自分のゾーン内に入ってくるターゲットを探す。
また、1stダウンなど、相手が確実に取りたいヤーデージやダウンしたい位置(インバウンズ、アウトオブバウンズ)などを読みとりポジショニングを調整。
ラッシュ担当:
とにかく早くQBにプレッシャーをかける。
走れるQBであれば、QBがスクランブルできないようにラッシュ。特にエッジラッシャーは外をまくられないようにプレッシャーをかける。
ラン
自分の責任ギャップを守り、特にオープンにまくられないように内側にコンテインしながら守る。コンテインできない時はサイドライン外へ押し出す。
またオプションにおいては、ボールをもつ可能性のある選手それぞれにタックルするメインタックラーを割くことでどちらかが完全にフリーな状況を避ける。
こんなに役割があってもなぜDLはバカでもできる?と言ったのか。
上でディフェンスの様々な役割を述べたものの、ディフェンスの一番の基本は、自分の役割はあくまでも自分の前をボールキャリアがすぎるまでであり、役割を終えた選手のやるべきことは”とにかく全力で追ってタックル”です。
※厳密にはこの判断が難しかったりするのですが。カットバックレーン潰したりね。
そういう意味ではDLというのはもっとも役割が早く終えるポジションなのです。目の前のギャップにくるランプレイの展開は早く、オプションプレイにおいてもDT/NGはボールオンからの距離が近い故、キーにすることは稀です。
パスプレイではすぐにQBをつぶすこと、というシンプルかつクリアでなかなか変わらない目標があります。
いざボールがキャリアの手に渡ると、コンテインなどの役割はあっても、サイドラインを割らせる、ファーストダウンラインを意識するといったことは、そもそも最前線の中央にいるから役割内で実践することがほぼない。
だからこそ考える必要がない。むしろ、考えることよりもとにかく強く速く、真ん中でこちらの練った作戦を破壊することに集中する。それが嫌なDLっていうわけです。
そりゃあこっちだって、対応はしますよ。スクリーンパスやワムプレイを入れて裏を書いたり、脚を止めにいきます。でも結局は、そういうプレイを通されたら、通されたで全力で走って後ろからタックルすれば良い。
そういうプレイを入れるっていうのは、何も考えずにただ突っ込んでくることが一番嫌な裏返しなのだから。
だからバカは、IKEAの椅子をぶっ壊したり、危険なタックルを披露したり、ジム従業員として客のお金を盗んで逮捕されたり、部費未納だったりって意味じゃないんだよ。
あとがき
メリークリスマス。クリスマスイブに、会社のクラウドにデータを上げるのが時間がかかりすぎてnoteを書いてしまった。
そんな悲しい僕への投げ銭待ってます。
年内で不健全なマッサージへ行けるように。。。
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