残り時間わずかだけど、イク?
数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う
これ、本来は間に"が"が入るのですが、昨日からTwitterでどちらが正しいのか論争みたいなのが起こってますね。
アナリティクスが正義なのか、そもそもなんなのかと言う話は沢山の人が話しているので置いといて、「やっぱりHCの仕事って複雑で理解されにくいんだなぁ」ということを痛感しました。
そんな中、実は先週の試合で、アナリティクス論争の渦中にいるミスターAnalyticsことmaceさんとやりとりしたことが、HCの考えていることや、アナリティクスの考え方を少し理解するのに役立つかもと思い、今回解説させてもらおうと思います。
なお、こちらのnoteは決してミスターAnal(noteの文字数制限を考慮し短縮させていただきます)mace氏を晒す目的のものではありません。
くれぐれも、その点ご留意ください。
やっぱり#FireNagy ??
その試合はwk14 シカゴベアーズ@グリーンベイパッカーズ。
49ersの劇的勝利に酔いしれていた僕は、4Q残り僅かの時間より視聴開始。
18点を追うシカゴベアーズが敵陣25ydでの4thダウン8ydでフィールドゴールをキック。
キックは無事成功し15点差としたベアーズ。次のキックオフではオンサイドキックを披露し見事成功。
そのタイミングで、僕のTwitterタイムラインに飛び込んできたのはミスターAnalの以下のツイート。
どうやら、FGの時点でゲームを捨てたのに直後にオンサイドを蹴ることに混乱している模様。でもその前提、そもそも正しいのでしょうか?
今回はこの点を考察してみました。
現状整理。それが一番大事。
今回の分岐点となった4thダウンのシチュエーションから、考えるべきポイントは以下の通り。
18点差を埋めること
勝利(引き分けからのOT含む)に最低限必要なスコアは、タッチダウン2つ(うち一回は2ポイントコンバージョン成功)とフィールドゴール1本。
現ポゼッションを得点に結びつけたとしても、あと2回のポゼッションが必要。
残り時間の有効活用(1:26でタイムアウト3つ)
時間をできるだけ無駄遣いしないことがポイント。
グリーンベイオフェンスになった場合できるだけ時間を使ってくる。
得点後はすべてオンサイドキックを蹴り、グリーンベイにオフェンスをさせないのが理想的。
最悪グリーンベイがオフェンスをしたとしても、タイムアウト3つを使えば30秒程度しか時間を失わない可能性がある。
maceシナリオ vs Nagyシナリオ
では、これらを踏まえてクビ待望論のあるNagy HCと、ミスターAnal mace氏のそれぞれのシナリオを考えてみましょう。
各ルートで最も理想的な流れを白に、想定内だけど厳しいものを青に、理論的には可能でも正直相当厳しいものをグレーにしました。
まずはNagyルート。
42ydフィールドゴールの成功率は大体80%、オンサイドキックの成功率は大体10%(ルール改正の影響などで年によってめちゃくちゃブレています。あくまでも今回のエクササイズ用の数値)なので、そこにはコンバージョンの確率を入れました。
つぎはmaceルート。
オンサイドキックの成功率は同じ10%ですが、4th down 8の成功率は40%としました。一発TDの可能性も、ダウン更新の可能性もあるので、最初の分岐は3つに。
「どうせTDをとらなければいけないのであれば、早い段階で狙えばいいじゃないか」というのがおそらくmaceさんの言い分かと思います。しかもこのシナリオの場合は、同じ3ポゼッション内で3TDで、レギュレーションタイム内での勝利というパターンがあります。
なぜmaceはダメなのか。
それは偏に、彼が未来からきているが故の”チャンスは何度もこない”ということと、”時間は有限”ということへの無頓着さです。
シチュエーション整理から導き出した、ポイントと照らし合わせながら見てみましょう。
18点差を埋めること → ○
毎年HNを賭けた戦いに身を投じる屈指のギャンブル狂のmaceさん。レギュレーションタイム内でのチャンスを残すギャンブルという選択肢は彼らしさが光っています。時間の有限活用 → ×
敵陣25ydまで攻め込んだ絶好のタイミングにTDを狙うというのは、TD期待値としては高い一方で、4th downといシチュエーションを考慮すると時間の有効活用とは言えません。
シナリオチャートから分かるよう、ダウン更新失敗によるターンオーバーを起こしてしまうと、ほぼほぼ詰みなシチュエーションです。ディフェンスはまず第一に一発タッチダウンを取られないように守っていますが、次にケアしているのはサイドラインを破られることです。うまくダウンを更新できてもインバウンズだった場合、時計が進んでしまいます。GBに万が一ボールが渡った時用に3つのタイムアウトを残さなければいけないチームにとっては、パス失敗が許されない4thダウンでのオフェンスはそもそも回避したいシチュエーションなのです。25ydでFGが高確率で決まるのなら、次以降のポゼッションに時間を残すのが賢明です。
FGレンジに入るのは簡単なんだから、25ydまで行けたら早くTDを狙おう。と思いがちですが、FGはボールオン敵陣にいないと蹴れませんが、一発タッチダウンはフィールドのどこからでも狙えます。約10ヤードのパス成功率が、8ydよりさらに低く、20%だとしても、4回ダウンがあれば、いずれかで成功する確率は60%近くまで上昇します。後半のポゼッションにできるだけ時間を残し1st~3rdダウンでディフェンスも絞り切れない状況の中、タッチダウンを狙うのが盤石な訳です。
試合運びっていうのはこのシナリオチャートみたいなもの
結局、昨日から話題になっている試合運びってのはこのシナリオチャートみたいなもののわけです。アナリティクスというのは、そのプレイ単体の勝率を見ている訳でもなく、残り時間などからも統計学的にアプローチして、勝率の高い選択肢を導き出すという考え方です。
アナリティクス的にギャンブルをしたほうが勝率が高いシチュエーションがあっても、ギャンブルを失敗したからと言って勝てないと決まるわけでもなければ、ギャンブルをしなくても勝つシナリオもあれば負けるシナリオもあります。試合の残り時間が長ければ長いほど、試合展開の可能性は広がります。そんな中、どこが勝負所かを見極め、アナリティクス以外にもモメンタム、プレイシート、ゲームプラン、試合展開などを総合判断するのがHCの仕事な訳です。
きっとNagyさんもこう思っているでしょう。
※繰り返しますが、こちらのnoteは決してミスターAnal(noteの文字数制限を考慮し短縮させていただきます)mace氏を晒す目的のものではありません。
くれぐれも、その点ご留意ください。
最後に
今回は久しぶりのnoteの更新となってしまい失礼しました!ちょうど創作意欲が湧くタイミングでしたが、これから49ersが8連勝してくれる予定なので、ドンドン追加のnoteも投稿できるかと思います。
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