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世界の中心で誤審を叫ぶ

NFLレギュラーシーズンも残すところ2週。北西の州にある某チームなど、一部チームを除き落とせない試合が続き、ピリピリする時期になってきました。
まだ脱落が決まっていないチームの皆様、残念な事実があります。
最後の優勝チーム以外は全員どこかで脱落します。まごうことなき事実です。

プレイオフ戦線においては、他所のチームの勝ち負けのせいにできますが、いざプレイオフが始まると、自分の推しチームしか責める対象がなくなってしまいます。
そんな時に、自らの精神衛生を保つのが「審判の誤審を責める」という方法です

これはめちゃくちゃ効果的で、試合が100%決まった段階以外はすべて誤診のせいにできます。
審判が誤審しなければタッチダウンをとって、その後のモメンタムでオンサイドキックもリカバーできて逆転できた。おおいにあると思います。

しかし、そんな「誤審を訴える」という素敵な行為ですが、お作法を守らなければただのキ○ガイ扱いされてしまうものです。
そんなことをいうと「ふぇぇ…アメフト経験者じゃないからこわくて誤審って騒げないよぅ…」となってしまう、そんな常識人のあなたに向けて、今回のnoteでは誤審を高らかに叫ぶときのお作法と、気をつけたほうがいいケース、誤審と言いまくってもOKなケースを簡単に紹介させていただきます。

まずはお作法から:結構なお手前で。

これから述べる4つの点を守れば、あなたもキチガ○に思われることなく、誤審を叫ぶことができます。関係なくキチ○イに思われている皆様についてはご愁傷様です。

  1. 「試合の流れが変わった!」と言えるプレイにフォーカスしましょう。
    あんまり関係ない反則までグチグチ言っててもどうでもいいし、それが言いがかりだとすると単にカッコ悪いです。ツッコミも減ってくるので○チガイ判定されるリスクが高くなるので、細かい粗探しはやめましょう

  2. ルールがよくわからないなら基準がハッキリしている反則の誤審で文句をいおう。
    例えばフィールド上に12人がいた状態でプレイしたのにディフェンスに反則が出なかった!パスキャッチしたレシーバーがキャッチ前にアウトオブバウンズまで押し出されていた!といった白黒つけやすい反則は、誤審の理由もシンプルに審判が見逃した、ということなのでかなりセーフゾーンから騒ぐことができます。だいたい大騒ぎしている他の人がいるので、それに乗っかりましょう。

  3. 訂正されたら相手の言うことをまずは聞く。
    NFLと日本でのルールは違います(基本的には日本はNCAA準拠)。アメフトプレイ経験の有無に関わらず、ルールの認識に間違いがあることは誰にでもあります。っていうかNFLのHCすらルールの理解が追いついていないことがあります。
    負けたチームのファン心理はみんなわかります。多少見当違いの誤審コールをかけてたとしても、すぐに修正すればキチ○イと思う人はいません。

  4. 基準が曖昧なプレイはこのnoteを読んでから文句をいう。
    これが一番大事です!ということで、ここからいくつか「誤審だー!」と騒ぎやすい反則とそのポイントを紹介します。
    ※なお、こちらは誤審を叫ぶ時用の簡単なポイントのみです。すべてのケースを網羅しているものではない点、御留意ください。

ケース① オフェンシブ・ホールディング

ホールディングペナルティに文句を言う際、一番大事なポイントは名前とは裏腹に握ることや、腕が相手を抱きかかえる形になることそのものが反則ではない、ということです。

Use his hands or arms to materially restrict an opponent or alter the defender’s path or angle of pursuit. It is a foul regardless of whether the blocker’s hands are inside or outside the frame of the defender’s body. Material restrictions include but are not limited to:

grabbing or tackling an opponent;
hooking, jerking, twisting, or turning him; or
pulling him to the ground.

https://operations.nfl.com/the-rules/nfl-video-rulebook/offensive-holding/

太字は直訳すると”相手を実質的に制限したり、ディフェンダーの進路や追跡の角度を変えたりすること。”となります反則だったろ!と叫ぶときのポイントは以下の通りです。

「ホールディングだったろ!」を叫ぶ時のポイント

  • オフェンスの選手が掴んだことによって、ディフェンスの選手が進もうとしている方向とは別の方向(主に反対)にジャージが伸びていたり、ショルダーが残っていたりしたか?

  • オフェンス選手のフレーム外(ようするに腕が肩に対して前ならえよりも開いている状態)に手や腕はあったか?

  • オフェンス選手が倒れるときに、一緒にディフェンスも引き倒しているか?

  • オフェンス選手がディフェンダーを押せていなかったか?(そもそも押せていたら上記のような状況にはならない。最後の点もパンケーキになる。)

実際はほぼ全てのブロッカーが手で相手のジャージを掴んでいるし、状況によっては腕が巻きつくことがあります。押していればOKなところもありますし、審判も絡む可能性が低いところは見逃しがちです。経験者でもわかっていない人も多いため、そもそもルールに自信がない人は「ホールディングだ!」と騒ぐのはおすすめしません。

例えば、このプレイの85と44。脚が止まらず押しているので、反則取られるかギリギリのところです。実態としてはバリバリホールディングですが、フラッグが出ないのはまったく不思議でもありません。

ケース② ディフェンシブ/オフェンシブ パス・インターフィアランス

ホールディングはおすすめしないと言いましたが、通常のプレイ内で誤審を騒ぐのはこちらをおすすめします。

It is pass interference by either team when any act by a player more than one yard beyond the line of scrimmage significantly hinders an eligible player’s opportunity to catch the ball. Pass interference can only occur when a forward pass is thrown from behind the line of scrimmage, regardless of whether the pass is legal or illegal, or whether it crosses the line.

Defensive pass interference rules apply from the time the ball is thrown until the ball is touched. See Article 2 for prohibited acts while the ball is in the air.

Offensive pass interference rules apply from the time the ball is snapped until the ball is touched. See Article 2 for prohibited acts while the ball is in the air and Article 4 for prohibited acts prior to the pass.

https://operations.nfl.com/the-rules/nfl-video-rulebook/defensive-pass-interference/

こちら、最初の太字を和訳すると”有資格者がボールを捕る機会を著しく阻害すること”になります。この”著しく”がどういうことかというと、大きな判断軸としては”ボールに向かってプレイした結果だった場合はセーフ”(一部例外あり)ということです。

所詮他人である審判にわかるはずもない”ボールに向かってプレイしていたかどうか”という点、”ボールが身体を触った瞬間からは阻害OK”(しかもチャレンジ不可)な点、そして”偶発的な接触の場合OK”(ということが多い)な点が条件が重なり、非常に誤審を騒ぎやすいルールとなっています。

「OPI/DPIだったろ!」を叫ぶ時のポイント

  • 相手側の選手がボールを見ていない(=ボールに向かってプレイしていない)上に、ボールが空中にある時に接触しているか。

  • (OPI限定)レシーバーがボールを捕る前にディフェンダーを押したり、スクリーンであれば別のブロッカーがブロックしているか。なお、DPIと違い、これはボールがレシーバーにぶつかるまでであればボールが空中にある必要はない。

「OPI/DPIじゃねーだろ!」を叫ぶ時のポイント

  • 推しチームの選手の接触は小競り合いのレベルといえる。(相手がボールに向かって手を出せない、バランスを崩すほどでもない)

  • タイミング的にギリギリセーフ(ボールを触る瞬間といえなくもない)。

ケース③ インエリジブル プレイヤー ダウンフィールド

これはパスの時に、シンプルにいえばOLの選手がスクリメージライン(最初にボールがあったところ)より1ヤード以上前に出ている反則である。RPOや多様なスクリーンプレイが増えたとこで、昨今見逃されることが多く、誤審だとあとで騒ぐにはぴったりなプレイである

「OL出てたろ!」を叫ぶ時のポイント

これは叫びやすい分、以下をちゃんと満たしているか確認しよう。

  • OLがパスが投げられる瞬間(指から離れる瞬間)に1ヤードより前にいる。(全身が1ヤードより前にいること)

  • 上を満たしつつ、ディフェンスの選手を押した結果ではないこと。1ヤードを超える前にディフェンダーにあたり、押し込んでいた1ヤードを超えた場合は反則ではない。また、1ヤードを超えて押し込んだものの、ディフェンダーに外された場合も、そこから前にいかなければセーフである。

こんなのは負けチームが言いまくったら良いのである。なお、前半で49点取られたワシントンの場合は滑稽なのでやめたほうがいい。

ケース④ ラッフィング ザ パサー

これはここまでに紹介した他のペナルティより罰則が大きく、試合を大いに変える力があるにもかかわらず、最近簡単にコールされてしまう。NFLサイドの言い分に則るとほとんど反則になってしまうので、これは誤審というより、ルールそのものに異議を唱えることをお勧めする

ラッフィング ザ パサーの要件

基本的には、パサーに対して、以下のいずれかに該当した時点で反則とみなすというのがNFLの現状での見解である。

  • ラッシュをかけるディフェンダーはパスが放たれたら、次の最初のステップ(2歩目が地面に着く前)までしかパサーに直接接触してはいけない。

  • たとえパスが放たれた後の1歩目だったとしても、相手を突き抜けるようなヒットはしてはいけない。

  • 以下はパスを投げる前でも適用。

    • パサーに対して荒い扱いをしたり、全体重を乗せてはいけない。自分の腕でクッションを取るなり、努力する必要がある。

    • パスのヘルメットで突き刺すようなタックルも禁止である。

    • 首より上と、動いていない状態のQBの膝より下への接触も禁止である。

ムリゲーである。明らかにやばい時以外は、ムリゲーであることを叫ぶのも手である。

ケース⑤ アンスポーツマンライク コンダクト / トーンティング

これについても誤審を叫ぶのではなく「なぜうちのチームだけ反則なんだ!あっちが先にやっただろ!」と訴えるのが良い。大抵は相手チームも何かやっている。むしろ先にやっていることが多い。

ルールを守って誤審を叫ぼう

シーズンが佳境に入ると、毎週のようにマサチューセッツ方面から誤審を叫ぶ声が聞こえてきます。冬の風物詩ですね。
周りからの見られ方が気になる皆様につきましては、こちらのnoteを参考に、お作法を守ったイチャモンをつけていただけることを期待しております。

最後に、投げ銭と変わりませんが、世紀の誤審の瞬間を二つ、有料エリアにおいて年内最後のnoteを締めさせていただきます。
ありがとうございました。

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