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新宿末廣亭八月中席

新宿末廣亭の八月中席の夜の部は、六代目神田伯山と三遊亭遊雀師匠が各々五日ずつ主任を務めトリを取っていた。伯山が主任を務める日は、事前に前売り券も発売されており完売。
両日とも満員札止めであった。

8月11日(木・祝)末廣亭八月中席夜の部 主任:神田伯山
8月16日(火)  末廣亭八月中席夜の部 主任:神田伯山

新宿末廣亭

伯山の演題は怪談話。
「お岩の誕生」「木幡小平次」「お札はがし」「お紺殺し」「乳房榎」の五演目
内、二話が三遊亭圓朝作。
この内、「お岩の誕生」と「小幡小平次」を聴いた(観た)。
「お岩の誕生」は、講談の「四谷怪談」の発端である。
講談の「四谷怪談」と歌舞伎の「東海道四谷怪談」は似通う部分もあるが異なるお話だそう。
講談の「四谷怪談」は、そもそも主人公のお岩が生まれる前から始まる。
鶴屋南北の「四谷怪談」には、お岩の誕生の話はない。
「お岩の誕生」は、お岩の両親の話であるが、実に凄惨な話である。
お岩の父親の伝助が飯炊き奉公をしている侍、高田某がしつこく借金返済を迫る金貸しを斬り殺し、その遺骸の始末を伝助に命ずる。
伝助は仕方なく遺骸を行李に入れて捨てに出る。
気弱な伝助は、その遺骸の処理に困り臨月を迎えている女房のおさんのいる自分の家に行李ごと持ち帰って押入れにしまってしまう。
その後、伝助の足は、なぜか金貸しの女房のお文(だったかな?)のところに向かうのだが、お文は伝助と入れ違いに亭主を探しに高田某の家にやってきて詰問するが斬り殺されてしまう。
殺されたお文は🔊となって亭主を探しに伝助とおさんの家にやってくる。
お文の幽霊は亭主の死体を探し出し切られた頭を抱きしめる。
その姿を見たおさんは恐怖のあまり叫び声を上げて絶命し、その声を聞いた同じ長屋の者たちがおさんの家に駆けつけて、絶命したおさんから今にも産まれ出ようとしている赤ん坊を産婆が引き出し、無事(?)に女の子が生まれ落ちる。この赤ん坊が後のお岩である。
これが講談の「四谷怪談」の発端である。
凄惨すぎて耳を塞ぎたくなる(聴いてるけど)ような話。
伯山は、「本日は「お岩の誕生」というとても爽やかな話で読みおわりとさせていただきます」と締めていた。これもお約束。



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