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先日、精神衛生のことを書いたら、結構読んでくれた人が多いようで、「自分も、『今こんなことしてていいのかなあ』という違和感を感じることがある」という人から、どうすればいいの? という質問をされた。簡単な方法があるので、それを教えてあげた。
 私は、母校の立大で10数年のあいだマスコミ就職講座の講師をやっているが、講座の一番最初に毎年このやりかたを教えている。ある年には、「この方法は、マスコミ志望者に限らず、だれでも知っていた方がよい」と判断されて、某学科の全学生を集めて、その方法をレクチャーしたことがあった。今では私の家内も子供たちもこの方法を当然のようにやっている。

 その方法は簡単だ。
「自分は今こんなことしていていいのかなあ」と感じるということは、「今、もっとほかにやるべき重要なことがあるのではないか」と感じることの裏返しだ。そこで、そう感じた時に五月雨式に考えるから考えがまとまらない。五月雨式に考えるのではなく、能率的、効率的にこのことを考えるということをすればよい。
 具体的にはこうだ。
1、自分が達成したい目標について考えて、重要度の高い順に書き出す。目標は一つではないので、すべて書き出して、それを重要度の高い順に並べる。ここでは可視化するのが大事だ。就職活動だったら、新聞記者、雑誌記者、教員、公務員、一般企業などなりたい順に書かせた。
2、その一つ一つの目標について、やるべきことを具体的に書き出す。就職活動なら「試験科目の勉強、スケジュールの把握、面接の準備・・・」などだ。職種ごとに試験科目は違うが、一般常識など重なっている部分もある。
3、やるべきことを優先順位が高い順に並べる。重なっていないものと重なっているものも含めて優先順位を決める。
4、やるべきことについて、具体的に何をやるか書かせる。問題集を買ってくる、とか、面接でされるであろう質問について、答えることを各業種ごとに考えるとか。(それについては、五月雨式に考えっぱなしにするのではなく、ノートに書かせた)
5、あとは具体的にやるべきことも優先順に並べて、優先順位が高い順に手帳にいつやるか書き込ませた。
6、あとは、具体的に消化すべきものを消化するようにしたが、やっているうちに、優先順位が変わったりもするので、その場合は、やるべきことのスケジュールも柔軟に変えるようにした
 以上、これをやるだけで、「自分は今、こんなことしてていいのか」という焦燥感は感じないようになる。目の前のやるべきことに集中して消化していくうちに、確実に目標に近づいていく。

 私は、社会人になってもいろいろな目標があったので、手帳の1ページ目にはその目標を書き並べていた。
 「どんなセッションにいっても通用するぐらいドラムが叩けるようになりたい」とか「自分の知識の領域を広げたいので、自分の知らない分野の本をできるだけ多く読みたい」とか、「英語が話せるようになりたい」とか、「子供には小さいころから計画的に英語教育をしたい」とかだ。
 その一つ一つについて、具体的に何をするか書き出して、優先順に並べ、その高いものから手帳に書き込んで消化していた。なので、少なくても「今、こんなことしていていいのか」ということはなかった。「もっとこういうことをすべきじゃないのか」と考えた時点で、それと、自分の手帳の優先順位の高い目標とを見比べて、その「もっとこういうことをすべきじゃ」と考えたものも、その優先順位の中に潜り込ませていたからだ。
 
 この方法で大事なことは、「目標の可視化」と「可視化したうえで、常に優先順位を考える」というところだ。自分が今やるべきことの優先順位が高いことをが何なのかをしっかり把握していて、それを着実にやっていれば、「こんなことしていていいのか?」と浮足立つことはない。むしろ、バカボンパパのように「これでいいのだ」と思えるようになると思う。
 「英語が話せるようになりたい」とか「楽器が弾けるようになりたい」というのは誰でも持っている希望だろうが、ほかにもやるべきことがあるのにやるほどのものでもない。
 例えば、「この人と結婚したい」と思っている人がいるのに、その人をほおっておいてやるほど優先順位が高いものもない。また、結婚して子供ができたら、「この子供をしっかり育てたい」と思う以上に優先順位が高いものもない。だとしたら、その優先順位が高いものを目標リストに潜り込ませて、それ相応の優先順位で扱えばよいことだ。
 よく、「女にうつつをぬかして、勉強もしないで」などという人がいるが、場合によっては、自分の将来のパートナーを捕まえることは勉強などよりよほど重要だと思う。若い男子が彼女を作るために合コンに参加するなどということは、社会的にみたら重要なことでもないし、褒められたことでもないだろうが、そういう外からみて重要なことかどうかより、この場合は、自分にとって本当に大事かどうかで決めた方がよい。外からどう見られようと「彼女を作ることが大事」だと自分が本当に考えているのだとしたら、その本当の欲求に沿って行動するのが一番いい。そこで自分に嘘をつくと、「本当に家にいてよいのか(合コンに行くべきじゃなかったのか)」ということになれば、やはり違和感が生まれてしまうのだ。とにかく、この方法をうまくやるためには、自分の本当の目標、欲求をしっかり見つめて、自分に嘘をつかない方がよい。
 そのあたりの目標のリストアップと、その重要度のつけかたについては、本当に真剣に考えないと、この方法は崩壊する。「本当にこっちの方が大事だろうか?」と疑問を持っていたら、その目標から派生したのが「具体的な行動」なわけだから、「本当にこっちが大事だ」と思えないものから派生した「具体的な行動」など集中できるわけがない。そういう時に「本当にこんなことしていていいのだろうか」と違和感を感じるわけだから、違和感を感じた時には、基本にもどって「本当に大事な目標が何なのか」を考えなければならない。
 このあたりのことをすべて「目標」から「具体的な行動」を書き出して、優先順にならべて整理すれば、結果が上手くいくかどうかは別にしても精神衛生は良くなる。
 「今はまだ目標は達成できていないし、うまくいっていないけど、自分がやっている努力は間違ってない」と思えれば、少なくとも違和感や焦燥感は消えるはずだ。

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