MADMEN

もう10年前に始まっていた長編ドラマだと知らずに、一気にシーズン7まで自分の時間全てつぎ込んでしまった。

60年代のアメリカの広告業界が舞台のドラマ。

登場する代理店の社名やクライアントとなる会社の名前も実存するもの。
服装も広告も文化も今の時代にはない1960年代そのまま。
とにかくおしゃれ。

アンディウォーホルなどのポップアート広告。艶髪ウェイビーな女性がまとうのはレトロでポップで、カラフルなファッション。男性はスーツとタバコが紳士だと実感される色気。車もキャデラック。異性に対するアピールだけで作られた文化のような。
でも、それぞれが頑張れば、夢が叶えられるかもしれないという時代。

1960年代の世界は希望や夢に満ち溢れてる広告が光っていたのは間違いない。でもそれは裏側には、人種差別、セクハラ、そんな影と裏腹だったからだったんだなとなんだかタバコが吸いたくなる衝動を抑えながら今、感想を書いています。

1960年代から1970年代のアメリカはその10年間が一番激動だったのではないかと思います。

ビートルズやローリングストーンズ。
マリリンモンロー。
ケネディ暗殺。
マーチンルーサキング牧師の暗殺。
スーパーコンピューターの台頭。
ヒッピー。
ドラッグ。

時には日本の話題が入るので、そこも心を掴まれるポイント。
ホンダのスーパーカブや、タツノコプロとか。

このドラマの主人公は、ドンドレイパーという広告の天才。女性なら、身悶えしてしまうほどの色男。結婚していても女性遍歴は両手ですまない。けれど、子どもの頃に愛された記憶がないため、愛がわからず探し求めていると言ったらいいのか。病的な愛の渇望者。

その彼が作るひねりのあるコピーは、それさえあれば私は幸せになれると酔わせてしまうほど。プレゼンで語る、CM の物語はまさに言葉の魔術師。

今の時代。ファストファッションや無印など。持たないが美しいとされるような非物質的社会。モノに夢を抱けない時代の広告は作り方が難しいのかもしれない。抑圧されている大きければ大きいほど人を共振させる強さはあるように思える。

幸せってなんだろう?

エンディングにI'd like to buy the world a coke.というCMが流れる。実際に作られたCM。そのメロディを聴きながら、

ドンドレイパーも、ようやく過去の自分も今の自分も本物だと、受け入れんだろうなぁと感じた。
It's the real thing♪というcoke のcm。

私たちは本物。だから、それでいいってこと。だと私は受け止める。

激動の時代を綴ったドラマだったからこそ、人の本質があぶり出されていく様が本当に面白いドラマだった。

というエンディングは賛否あるけれど、私はスタンディングオベーションでした。

夫にはオーダーシャツをプレゼントしたくなった。そして、私は60年代のポップなファッション。どこかに探しに行こう♪

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