メンバーの打ち方と打牌批判

 これはまだBucksができたばかりの頃のお話。

 その日、当時よく来ていた岡島さん(仮名)というお客さんとうちの新人メンバー君、そして他のお客さん2人で1卓立っていた。

 新人メンバー君は仕事にも不慣れでまだまだお客さんの前での失敗も多く、よく怒られたりしていた。

 そんな新人メンバー君が東初に下の手牌でリーチを打つ。

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 ドラが1索でカン六万待ちの2600。よくある手だが、このとき場に六万のポンが入っていた。新人メンバー君はそれに気づいていたが、リーチを打ったのだった。

 するとこれが一発ツモ。そのとき岡島さんが声をあげる。

岡島「なんでその手がリーチなんだよ!メンバーがかけるリーチじゃないだろ!」

 確かにポンカスのカンチャン待ちリーチなど、見てくれは悪く映るのかもしれない。ただ、これも立派な打牌批判になるため、自分は卓外からメンバーへの打牌批判は遠慮するように注意する。岡島さんは

岡島「こんな手でメンバーがリーチしたら普通お客さんは全員怒って席を立つからな」

 とまだ納得していない様子。何度か注意し、そのときは事なきを得た。

 まあ彼の言いたいこともわからなくはない。自分も東京でメンバーをずっと経験してきて、この手のことは言われ続けてきた。うちの店では最初に「メンバーの本走中の麻雀内容は打牌規制などはなく、他のお客さんと同様と考えてください」とは注意してはいるが、やはりこうした

「メンバーはこう打つべき」

 といった考えを引きずる人もいるのだろう。

 その日は営業を終え、Twitterを眺めていると、その出来事がTwitterに書かれていた。書いたのは岡島さんではなく、おそらく同卓していた他のお客さん。店の名前は配慮して書かれていなかったが、メンバーがポンカスのカン六万でリーチを打った内容だったので、うちの店での出来事なのは間違いなかった。

 そして最後の一文にはこう書かれていた。

「同卓してたおっちゃんがメンバーにキレてたけど、何をキレてたのか全く理解できなかった」


 それを見て、なんとなく時代の移り変わりを感じた。

 確かに昔は岡島さんの言う通り、メンバーがこうした打ち方をしたときにお客さんが怒って席を立つ時代もあったのかもしれない。

 ただ、今ではメンバーの打牌に対して理解するお客さんが増えたと同時に、メンバー批判する側が批判的な目で見られる時代に変わりつつあるんだろう。

 それはメンバーという職業にとって喜ばしいことなのだと思う。

 まあ、実際新人メンバーくんのカン六万は自分ならリーチせずに手変わりを待つかテンパイ外すのだが(笑)

 

 

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