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序列化から多様性への祝福

日本の公教育が抱える問題は、国の宝である子どもたちを守る視点で最優先で取り組むべき課題だと考えています。

残念ながら昨今、それらを解決する為に国から打ち出された政策は、問題解決に向かうものではなく、論点ずらし、もしくは逆行さえしているものもあり呆気に取られます。(ここでは詳細は割愛)

小1プロブレム、いじめ、不登校、子どもの自殺率の増加、ひきこもり問題…。どれも子どもたちや家庭の問題だと矮小化されがちですが、そもそもが学校制度の問題なのだ、という事を、国や議員の皆さんは認知しているのだろうか。

日本の教育制度における、学力による子どもたちの序列化、画一化が是とされる理由に、現代社会が人々に’国家が望む、社会に相応しい人材'の視点で優劣をつけ、子どもたちを序列化し、多様性を無視している背景があります。それでは個々の子どもたちの個性や本来の能力が発揮できるわけもありません。

学力の評価が悪、なのではなく、学力のみ、という事に弊害があるのです。基礎学力は本当の学びのためのあくまでもツールです。

ハーバード大学、ハワードガードナー博士の提唱した、8つのマルチプルインテリジェンスでは、人間は誰でもこの8つの知能を持って生まれ、どの知能が強いか弱いかという“程度”と“組み合わせ”が一人ひとりの「個性」になる、と言われています。

1. 言語的知能         Linguistic intelligence (word smart)
2. 数学的・論理的知能     Logical-mathematical intelligenc (number/reasoning smart)
3. 空間的・視覚的知能     Spatial intelligence (picture smart)
4. 身体的・運動的知能     Bodily-Kinesthetic Intelligence(body smart)
5. リズム・音楽的知能      Musical intelligence (music smart)
6. 対人関係の知能          Interpersonal intelligence (people smart)
7. 内観の知能             Intrapersonal Intelligence (self smart)
8. 自然・環境の知能       Natural-Environmental intelligence (nature smart)

教育制度に於いて、1〜5までは国語、算数、美術、体育、音楽に置き換えられますが、特に重要視されるのは1〜3で、4,5は特別な才能のある者のみが評価される分野です。

6は社会的に重宝される能力ではありますが、成績の評価とまでは至らず、7,8に関しては人間の良心や倫理的な観点で重要なはずにもかかわらず、学校制度に於いてはほとんど無視される才能です。

日本の子どもたちの幸福度が低いのは、社会から押し付けられた評価基準、価値観の中でのみ生きることを許され、そこからはみ出してしまう事への不全感を子どもたちに感じさせてきた大人側の責任なのではないでしょうか。

感染症蔓延禍で行われた平和の祭典オリンピックの中で、たびたび繰り返された"多様性"という言葉。文科省でも"多様な教育ニーズ"、"主体的、対話的で深い学び"と銘打って議論が繰り広げられていますが、今の教育制度や大人たちの価値観の中身は、本当に多様性を認める人や社会に繋がっているのだろうかと疑問に思います。

子どもたちの学びの保障を確保する取り組みとして、不登校児童生徒の為の特例校や公設民営の居場所作りを推進していますがそれらは対処療法に過ぎません。溺れている子に浮き輪を投げてとりあえず助けている様な状態。本来の根本的な解決には教育制度の大転換が急務なのですが、かなり時間がかかる事でしょう。教育関係者、保護者、地域住民、行政、と社会全体でこの課題に取り組まなければ、取り返しのつかないこれらの問題は加速的に様々な社会問題に直結するはずです。

日々成長する、学校制度から取りこぼされた子どもたちの問題は待ったなしに取り組むべき課題です。そこで私の提案は、全ての小中高の中にフリールーム(オルタナティブ教室)を設置すること。そこでは通常の教室で疲弊してしまう子どもたちを'救済'措置ではなく、特待生として受け入れ、例えばオランダのイエナプラン教育の様な本来の民主的な学び(主体的、対話的な深い学び)を実施する。そこには当然予算が発生するので、名乗りをあげた学校をモデル校として実験的に実施し段階的に増やしていく。出来ればそれを、少人数学級と並行して進めていただきたいのです。日本は教育と子どもたちの為に予算を削るのではなく、(2017年の初等教育から高等教育の公的支出が国内総生産(GDP)に占める割合は、「ノルウェー」が6.4%ともっとも高く、「コスタリカ」5.6%、「アイスランド」5.5%、「デンマーク」5.4%、「ベルギー」「スウェーデン」各5.2%、「ブラジル」5.1%、「フィンランド」5.0%などが続いた。一方、「日本」は2.9%と比較可能な38か国中で最下位から2番目。OECD諸国平均は4.1%、EU23か国平均は3.9%だった)国力を付けるために適切な予算を確保するべきであると要望したいと思います。

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