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マルスとリリス2<※臨床済み>

リリスに憧れたマルスだがすぐには行動には移さなかった。なにせ相手はルシファーに惚れこんでいるリリスである。自分の片思いが成就するなど夢にも思わなかった。それにホワイトムーンと言われる第七階層随一のうるさ型であるアポロンもリリスを狙っていたし、誰より一番の難敵はケンタウロスに似たカイロンと言われる賢者だった。カイロンはリリスの痛みをすぐに見抜きその瞬間だけ寄り添うように魂に自分を重ねる。
賢者ではなく、隠者だとマルスはいつもイライラしていたが、カイロンは想像以上に悪魔にも天使にも人気があった。雌も雄も受け入れる度量は神の領域だとさえ言われていたが、神ご本人はカイロンを自分から遠ざけておられた。これを曲解して、第七階層の住人たちは神がカイロンの人気に嫉妬しておられるとゴシップ記事を書いた。

リリスとマルスが会える場所がひとつある。
太陽がにじみ出るような白い昼間の木陰だ。
誰にもみつからないように、自分を磨くためにこの時間帯にリリスは木陰の近くの湖で体を洗う。
実際誰にも見つかってはいない、マルス以外には。

リリスの裸体はマルスの魂を紅潮させた。魂のみで生きる第七階層において思考のみでここまで完璧な女を作り出せるリリスに敬服さえ覚えたほどだった。

リリスは気づいている。7日を過ぎた頃マルスは確信した。目こそ合わせないが、彼女は気づいている、絶対に。

策略を巡らす。どうやって抱こうか、と。

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