今日は父に想いを馳せる
私の父は酪農業を営んでいる。
鳥取県、いや、全国でもそこそこブランドとして人気が高い、白バラ牛乳のパックの中身ー牛乳を生産しているのだ。
両親は京都出身。20代で京都から鳥取県へ。県内の牧場を転々とし苦労した末、今の地で2人でいちから牧場を始め、約30年間その道一筋で日々頑張っている。
父は本当に働き者で、牧場は駆け出し、私たち子供はまだまだ小さいという頃は、生活費を稼ぐため家の牛飼い以外にも何個も仕事も掛け持ちしていたそう。
今でも必ず毎朝4時には起きるし、休みなんて文字は彼の頭にはない。
たまに、「休んでいいよ」と言われても、何をしていいのか分からないらしく、はたから見ていても残念な休みの過ごし方をしているのを目にするのも少なくない。
私が今まで出会った誰より本をよく読む人なので、たまーーーーの休みは大抵本を読んで過ごしている。だからむしろ休みなんて、、という感じらしい。
父は寡黙で、話しかけても盛り上がらないどころか返事がない時も多いが、電車やスターウォーズ、ガンダムの話なんかを振ると1聞けば100返ってくるという全く’良い加減’というのを知らない人だ。
私が小さいときは子供のことを思ってか「いいことばっかし!」とか「だって、って言わない!」なんてことを口癖にしていたすごくプラス思考の父だと思っていたのに、最近は体の不調と、子供が大きくなった安心感でか、弱音ばかりはいている。
ただ、誰よりも深い愛情を持っている。
寡黙な父らしいが、友達は牛、猫、犬というくらい動物を愛していて、子供がピンチの時は黙って見方をしてくれた。「おいしいとこ持っていくのよね」と母は言うが、それだけではない深い愛を感じる。
以前「僕が死んだら鳥葬にしてほしい」とドキッとする発言もしていた。なんでも「今までたくさんの命を食べてきたから、最後は自分も返したい」だそう。想像したら怖かったので途中で妄想するのはやめたが、本当にロマンチストで愛に溢れた父らしい発言だと思った。
そんな父も今日で60歳になる。還暦。
サラリーマンではないので定年なんてものはないけど、ここ数年で長年の疲労が祟り、足を引きずる姿を見ていると、定年しなよって無責任にも言ってあげたくなる。そんな私の父。
東野圭吾の、「容疑者Xの献身」って読んだことあるだろうか、あれに出てくる犯人と父の姿がかぶって、読むといつも必要以上に泣いてしまう。
そんな私の父。
そんな
私の父。
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