ワープゾーンが作ったパロディ動画が面白かった(スナイダーカット)
映画などのパロディ動画を大きめの予算でしっかり作っている海外のチームによる作品です。スナイダーカットを鑑賞済みでないと意味が分からないとは思いますが、一応ネタバレになりそうな内容なのでご注意ください。
ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット削除シーン集(BY WARP ZONE)
プロローグ:
※トランプタワー崩壊(時事ネタかよw)
スーパーマンが死んだ衝撃波が覚醒させたのはマザーボックスだけではなかった。自宅でトランプタワー作成に勤しんでいた男性。あともう少しで完成というときになって、その衝撃波は来た。彼が作り上げてきたトランプタワーは脆くも崩れていく。彼は苦悩の叫びを上げるのであった。
特に動画の中では触れていませんが、これはトランプ政権が2021年1月に終わったことを受けての時事ネタと考えて良いと思います。米国に住んでいればトランプタワーと言えばすぐに察するのだろうと思います。
自らの名前を冠した不動産の1つである「トランプ・タワー」は、1983年に、ニューヨーク五番街(ミッドタウン・マンハッタンの目抜き通りである)に建設された。金ぴかの内装を持つ1980年代のトランプの代表作として知られ、高級アパートメントとショッピングモール、オフィスエリアを擁する複合施設で、自宅もこのビル内に置いている。(ウィキペディア)
PART1:アマゾンのしきたり
セミッシラ島での、ヒッポリタ女王と隊長格の戦士の会話です。
「それでは暗くなるまで待ちましょう」
「え?女王様しかし一刻も早く伝えた方がよろしいのでは?」
「若者よ、これはアマゾンのしきたりよ」
「ですよね。ちょっとジャネットさっきからうるさいんですけど!」
「ごめんなさい、でもしきたりなので」
「しきたり、しきたり、しきたり!もう、ゼウスのばか!」
火矢の準備に時間がかかるのはまあ仕方がない部分もあったんだろうと思っていたけど、確かに日が暮れる前に「一刻も早く」連絡する方が合理的ですね。あとアマゾン族が現れるときにいつもあの歌が流れるのが、少し間抜けに聴こえる時があるのは世界共通なんですかね。笑
あと、スナイダーカットではワンダーウーマンが米国や英国の出身ではない感じを出すためにガル・ガドットのアクセントをそのまま残し、アマゾン族を演じる役者たちは彼女のアクセントを真似してるのですが、このパロディ動画ではちょっと悪意があるくらいに強めのアクセントで話していて、これがジワジワ笑えたりします。(映画はもっとさりげないです)
PART2:クイック・アンド・レッド
セントラルシティで起きた交通事故の現場での、ドクターストレンジのような光輪で空間を引き裂いた穴(ミッキーマウスの形になっているw)から現れた弁護士とバリーの会話です。
「はじめましてバリーアレンさん、私はディズニー社の者です。こちらのスローモーションと効果音の代わりにBGMを使用する演出と飛び散る食べ物によるギャグ表現は弊社のクイックシルバーに関する著作権に抵触するので法的措置をとらせていただきます」
「ちょっと待って、少しアレンジしてるからユニークって言えないかな」
「と言いますと?」
「ええと、僕はついさっき出会ったばかりの女の子の顔を気づかれないで優しく撫でるよ、それって十分違うものだよね?」
「ふーむ、なるほど、それは、著作権とは別に法律やモラルに関する問題が出てきますね。。。いいでしょう!ディズニーが関与しないには十分な理由です。続けてください。さようなら」(また光輪の向こうに消える)
「君は将来ぼくのお嫁さんになるんだよぅアイリスたん。むふふ」
タイトルは「The Quick and the Dead」が元になっていて「生者と死者」という意味の慣用句をもじったものです。そこからDeadをRedに変えることでクイックシルバーとフラッシュに掛けているのだと思われます。
PART3:コラテラルダメージ
ロンドンでの、警察の隊長格とドローン操作担当者の会話です。
「何があったんだ?2回目の爆発は何だ」
「ドローンで監視していました。テロリストの爆弾ではなくてワンダーウーマンがやりました!」
「たった一人の一般人男性を倒すためにこんな爆発を起こしたのか?ビルや町の被害も考えず?子供達が怖がるかもしれないのに?」
「だって、こっちの方がクールだからですよ!フォー!」
「俺は書類つくるから先に署に帰るわ」
この場面は私も初見時に「やべえ、やりすぎだろ。笑」という状態だったので、声を出して笑ってしまいました。コラテラルとは巻き添えという意味ですね。
PART4:みんなは一人のために
バットケイブでの、バットマンとフラッシュの会話です。
「奴らは戦ったことがない、団結した俺たちとは!NOT US UNITED!」
「いい決め台詞だね。でも僕らついさっきスーパーマンを逃したから団結してるって言えないよね?」
「心配するなバリー。彼は必ず現れる。私にはFAITH(信念)がある」
「つまり『試しに』ベストを尽くして天命を待てってこと?」
「そうだ」
「あのさ、これって悟空が来てくれるのを待って無謀な戦いに挑むドラゴンボールZと完全に一致だよね。ドラゴンボールで生き返った悟空が来るまでZ戦士でつなぐんだ。え、やべえサイヤ人編と完全に一致じゃん!どうしよう。僕は誰になるんだ?ああ、いやだ、僕ヤムチャになりたくないよ!」
「落ち着けバリー!これは完全に異なるシチュエーションだ」
「わかったよ、、、クリリン」
「俺のことクリリンって言うな!俺はどちらかといえばピッコロタイプだ」
「ピッコロはスーパーパワーがあるからなあ」
「でも俺はクリリンじゃない!髪の毛だってあるぞ」
「じゃあヤムチャだね」
「ヤムチャにだけは死んでもなるか!」
これも声を出して笑っちゃいました。そしてヤムチャに対する世間のイメージが世界共通なのも改めて考えるとすごいことですよね。痛快すぎます。ブルースはこのメンバーの中で一番異性にだらしないところもあるし、ヤムチャがお似合いなのではないでしょうか。笑
スーパーマンが孫悟空なのは明白だとして、自分のことをベジータとは言わずに、あまり強くないピッコロに抑えるブルースがいじらしいです。笑
PART5:ダメ会社の経営戦略
ロシアの要塞での、ダークサイドとステッペンウルフの会話です。
「よくぞ反生命方程式を見つけた。5000年前に地球の守護神に邪魔されて撤退し、そのままどの惑星だったか分からなくなっていたのだ」
「お言葉ですがボス」
「何だ」
「どうして5000年も放置してたんですか?そんな最強の武器なのに」
「言ったであろう。我々は敗北したからだ」
「でもボスが負けた唯一の惑星だったんですよね。部下の全員が殺されたわけじゃないのに誰も位置を記録してなかったんですか」
「口を慎めステッペンウルフ」
「でも納得できないっすよ。ボスにはそれだけの進んだ科学、もはや魔法レベルっすよ、を持ちながら『ただの惑星』じゃなくて、宇宙で最も重要な武器を持っている惑星を見失ってたんですか?そもそも何であんたがボスやってるんですか?」
「ああ、すまんがブームチューブで話そう。こっちから掛け直すから待っててくれ。じゃ」(普通の石に戻る)
「はあ、こんなことならサノスの部下になるんだった」
これも映画を初見時にちょっと「ん?」ってなっていた部分ですね。まさに俺たちが感じたツッコミをステッペンウルフが入れていて痛快です。ちょっとやりすぎなくらいですが。笑
映画ではダークサイドにひたすら土下座こいてるステッペンウルフがこれでもかとばかりに喋りまくります。ここまで全パートにハズレなし。ワープゾーンの動画の中でもこんなに面白いネタが続くのはトップクラスの出来かもしれません。
タイトルは原題が「Strategery」といって綴りが間違ってるのですが、これはわざとのようです。最初に出てきたのはアメリカのTVショウで、ブッシュ大統領に扮したコメディアンが言い間違えたというテイの造語のようです。ニュアンスとしては「アホな経営者がStrategyを言い間違えた」という感じでしょうか。たぶん日本なら船場吉兆とか令和納豆とかあるいはレジ袋有料化のように「見当違いなことばかりやっているポンコツな経営者や政治家」をイメージしたジョークのようなので、このように意訳しました。
PART6:銃って最高!
ロシアの要塞の外壁で、バットマンとワンダーウーマンの台詞です。
「ワォ。ちょっと待って。すげえ銃って最高じゃん。でかい銃だーははは。おーいダイアナ、俺って銃大好きー!」
「あら、そう。よかったわねブルース」
「何で今まで使わなかったんだろう。あ、、、やべ。思い出しちゃったよ。マーサ。マーサ〜〜!」
映画の中でもバットマンが助けてあげたワンダーウーマンに向かってドヤ顔してて「バッツかわいいな。笑」と思っていましたが、しっかりワープソーンに見つかってネタにされていました。
バットマンが銃を使わない理由は、アメコミファン界隈では「バットマンは殺さずの誓いを立てたから」とされているのだと思いますが、ここでの「少年時代にトラウマが出来たから」という説は、かえって興味深いところがあります。
そしてマーサの名前を叫んで戦意喪失してしまうのは、もちろん前作『バットマンVSスーパーマン:ジャスティスの夜明け』のクライマックスで、バッツが母親の名前を聞いて我に帰る展開をイジっています。スナイダーといえばこれだよね、みたいな認識が海外にもあるんですかね。
エピローグ:
ブルース邸での、マーシャンマンハンターとブルースの会話です。
「世界にはまだ悪が残っているのは分かっているねブルース」
「ステッペンウルフを倒しても不十分だったのか。どうすれば?」
「私には計画がある。でもその前に『みんな』を集めることだ」
「なるほど『みんな』が集まれば #RestoreTheSnyderVerse できるってことか!」(メタ描写www)
「それじゃまた会えることを願っているよ。さらばだ」
「はぁ、でも俺もう老けすぎだよなー」(自虐w)
「おーいアルフレッドまた悪夢を見たぞー」
メタ表現につなげてきたのは面白いですね。長い時間をかけてやっと倒した強敵が実は始まりにすぎなかったという映画の展開は、まさに現実世界で起きていることと同じなんですよね。スナイダーカットは達成したけど、その続きの作品『ジャスティスリーグ2』は作らせようとしない悪の親玉が現れたという状況に。スナイダーの本当の敵はワーナー・ブラザースの経営層だった。いやあ、プロダクション裏話まで含めて本当に業が深い映画です。
老けすぎたと言っているのは、このシーンが2020年の再撮影で、もともとスナイダーカットが撮影された2016年からベン・アフレックの顔がかなり変わってしまったことをイジっています。
この間にアフレックはアルコール依存症で入院したり、パンデミックにもめげず新作で共演したアナ・デ・アルマスと愛を育みそして子供に関する意見の対立で離別して、さらにパパラッチを驚かすほど激痩せするなど、本当に色々ありましたから。。。
最後のブルースの呑気な台詞が面白いですね。劇中では「予知夢を見たからチームを集める活動を始めた」ブルースに対してアルフレッドと何度か口論になっていたので、ここでブルースが夢の報告をするのは、つまり「おーい次の仕事が始まるぞー」という声掛けになっているからです。
END
メタ展開やプロダクションの舞台裏については、こちらの感想+解説で関連記事を織り交ぜながら解説しているので、よろしければご確認くださいませ。
了。
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