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コラム 03

「フォリー・ベルジェールのバー」について


作者 エドゥアール・マネ
製作年 1882年
種類 油彩 寸法 92 cm × 130 cm (36 in × 51 in)
所蔵 コートールド・ギャラリー、ロンドン


 「フォリー・ベルジェール」は有名なミュージック・ホールで、様々な人々が行き来する社交場だった。
 マネは何度も通い詰めたそうで、上流階級と下層階級の交錯を見て取り創作意欲をかき立てられたのかもしれない。
 絵の中では身分の低いバーメイドが、上流の紳士と(背景の鏡の中を見る限りにおいては)何か交流をしているように見える。
 だが、この鏡の映り方には当初から議論があり、バーメイドの位置が右にずれすぎているし、背中の映り方もおかしい。これは作者が意図的に描いたイリュージョンなのだという説が長い間信じられてきた。

 ……ところがこの絵は実は光学的に矛盾せずに描ける、つまりはリアルなのではないかと言われ始めた。
 オーストラリアの美術史家の研究でその後、再現が行われている。

 そういうわけで、この絵の中ではバーメイドと紳士の交流はなく断絶しており、紳士の視線の先は向かって左手の客席にいる白い服を着た女性(メリー・ローラン)に向かっている。

 ただし、細かい問題点がないこともない。
テーブル位置と壜の映り方にトリックがあるようだ。だが、人物の位置関係については絵の通りなのであった。

https://youtu.be/vxS2sZ2S6sw?si=5CAuP7Zxt_MKEKcK


 結論としては……まだ誰もこのことに気づいていない八十年代に、これを見抜いた久埜ちゃんの慧眼には舌を巻くしかないのである(笑





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