ユーリ!!! on ICEは、単行本23巻からの話

創作者、同人作家などの苦悩として「これはn番煎じだから自分が書かなくてもいいのではないか」というものがある。「自分の発想は凡庸で、すでに似たような発想の良い作品がたくさんあるので、わざわざ自分が世に出す必要はないのではないか」ということである。

でも、そんな創作者に対して「n番煎じでも、あなたが書いたあなたの作品が見たい」と投げかける読者の言葉は、とてもいいなと思う。

私が書く文章も、そうやって思ってくれる誰かの心に届くといいなぁ。


さて、ユーリ!!! on ICE (以下YOI)にハマって数日。すでにアニメ3周もしてしまい、なかなか壊れた沼り方をしている私です。同じアニメをこんなに何回も見たのはいつぶりでしょうか。

元から好きな作品は何度も見ることは多く、年数を開けてまた見て…ということは繰り返しがちなんですが、こんなに短時間で何周もしたのは初めてかもしれません。毎日毎日同じ映像を見てるのは、はじめて好きになったアーティストの同じライブ映像を見ていた中学生ぶりです。


YOIのどういうとこがいいのか考えたんですけど、これが王道少年漫画だったらどうかなと考えてみました。

皆さんそれぞれに「王道の少年漫画」があると思うんですが、私の少ないライブラリーの中で思い出されるのが「ヒカルの碁」でした。

ざっくり言うと、「囲碁の神様が初心者の主人公に囲碁を教え、やがてプロになり、世界でも戦っていく話」です。

またざっくり説明すると、「ヒカルの碁」ではプロになるのに11巻、国際戦は20巻すぎくらいです。そして主人公は国際戦では結果が伴わず、悔しい気持ちを持ちながら23巻で物語は完結します。

単純にYOIに当てはめることはできませんが、1度世界で戦って挫折を経験するという意味では、ヒカルの碁だったら23巻か、と思いました。(YOIは逆にこの挫折の後にフィギュアの神様が憑くんですけどね)


それで思ったんですけど、「YOIって、アニメ本編より前の話を作品として成り立たせることはできるのかな?」と考えた時、たぶんこの作品は打ち切りになってます

それは圧倒的に「勝生勇利という人物が王道少年漫画の主人公向きじゃないから」です。

友達を作るのが下手で、黙々と練習を続ける才能と、練習環境に恵まれた主人公。リンクメイトはいますけど、それだけで話が持つような大きな出来事は起きてないと思います。

そして当時はメンタルが弱っていて本調子ではなかったとはいえ、一度戦ってボロ負けした相手である「南くん」をすっかり忘れている程度の記憶力。王道漫画なら、もっとこの負けてしまった相手に対して熱くなってもいいんじゃないかと思います。

子供の時からヴィクトルに憧れ続けて、それ以外は眼中にないって感じなんですよね。1話時点では「一人で戦っていくにはどうしたらいいのか」と考えているような、友情も愛も知らないような主人公。あーこれは少年漫画向きじゃないですね…。

何度でも言いたいんですが、この勝生勇利という人物は世界で6位になったくせに「ずっと憧れてた人と対等に会えると思ってた自分がバカだった」と言うほど、自信がないのかむしろ負けず嫌いがそうさせてるのか分からないような性格をしています。考えれば考えるほどドツボにハマるので、今の私には言語化できそうにありません…すみません…(現場放棄)

物語映えがしないとはいえ、ジュニア時代、シニアになってから、特別強化選手になるまで……どの時代の勝生勇利にもそれなりの苦労や苦悩があったはずで、それをもっと見てみたかったなぁと思うのがファン心理です。

YOIとしての話はアニメ1話からですが、私たちが勝生勇利という人物のフィギュアスケート人生を見たのは単行本23巻から。これからあと何巻まで見れるのかと思いを馳せています。

劇場版も楽しみですね!



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