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ぬたの女

「ワインが飲みたい」

仕事で福井入りする前、おったん(福井弁でおっちゃんの意味、きっぷのいい女性です)から「なに食べましょうか?」という連絡に対する答えだ。

仕事と同じくらい、一緒に何を食べるかを真剣に考えてくれる仕事仲間は尊い……。
というわけで、福井県に行っていました。新幹線が便利。上野から3時間で越前たけふ駅に到着。
「製麺所の未来は明るい!」とうたう、宗近むねちかそばの新たなパンフレットをつくるのです(お楽しみに!)。
忙しいなかインタビューの対応をしてもらい、それ以外は事務所でのんきに過ごさせてもらい、終業。

「さあ! 飲みに行くぞ!」と、おったんと福井の街にくり出す。

まずは、新栄商店街のフレンチ「フランス酒場Antiqueアンティーク」へ。
スパークリングワインとカルパッチョをいただく(おったんはハイボール)。サーモンが潤っていて美味〜。

「1ドリンク・1フードでいこう」

粋な提案にのっかり、次の店を目指す。
職場からの帰り道、おったんはこんなことを言っていた。
「ポルチーニのピザが美味しくって、夢にまで出てきた」

それは絶対に食べなくては……!

福井屋台村のなかにある「ワインバル ヴェレゾン」へ。早めの時間ということもあり、一番のりでカウンターに着席。
マスターがおひとりでやっている。
「ポルチーニのピザを食べにきました!」
前の店でいただいたスパークリングワインが効き、調子よく声をかける。
ポルチーニのピザに合うワインを出してもらう。はちみつっぽいフレーバーがして美味しい。
合わせて、気になった「燻製の梅干し」なるものを注文。
なんだなんだ……梅干しがワインに合うぞ? 聞けば、ワイン好きが高じて、ワインに合うつまみを考えて店を出したという。燻製メニューは次来たときに追求しよう。
そしていよいよ、ポルチーニのピザの登場! おったんが夢にまで見るというそのお味。
言うのが野暮なくらいです……。めっちゃバランスがいい。生クリームとポルチーニの香りにたっぷりのチーズの相性がいい。ワインがすすむ〜!
冷凍ではあるが、乾燥させないポルチーニをイタリアから取り寄せているそうだ。
3人で入ってきたお兄さんたちが、ピザを頼もうとして悩んでいる。
「断然ポルチーニ!」
おったんと声を合わせたのち、店を後にする。
1ドリンク・1フードは、あとくされないのがいいのよね〜なんて言いながら。

お次は、同じ屋台村にある「魚と地魚 たら福」へ。
調子にのって、カウンターのお隣さんへ話しかける。神奈川から来た営業マンで、福井にはよく来るという。
レモンサワーと、刺し身の盛り合わせ(鯛と地魚2種)を注文。
福井市が大雪で降りこめられて、大変だったときの話を聞く。
お会計を、と告げる。「えー! 盛り上がってきたところなのに!」とイケメンの店主さんに言ってもらうと、悪い気はしない。
くせになっちゃう。1ドリンク・1フード。

次は、駅前の「ULOウロ」へ。ここではドリンクだけで。
カウンターよりも外に面した席が気持ちよさそうだったので、ジントニックとカークハイ(テキーラのハイボール)をテイクアウトをしてベンチで乾杯。
いい音響が入っているので、しばし音楽と夜の風を楽しむ。

このあたりから、1ドリンク・1フードの演出がくずれはじめる。名残惜しそうにしてくれた、たら福(イケメン店主)へ戻ろう、とか言い出す始末。

戻ったら戻ったで、驚かれる(そりゃそうだ)。
向かっている途中で出会った、おったんの飲み友だち・せんせいの腕をひっぱって3名に。
酔っぱらってはいたけれど、鯵のなめろうがすんごく美味しかった。
新鮮な魚をより美味しくすることに探求をつづけてきた味。

***

翌日も仕事をして、帰りの新幹線の時間まで一杯やろうと、駅前の「味処 おたん」に入る。

外に出ている品書きを見て「たこぬた」とつぶやくおったん。

30分1本コースで、小ビールとたこぬた、おひたし、うざくを注文。
全部美味しい。

たこぬたでビールをやっていると、おったんが意を決したように言った。

「あたしね……実はカルパッチョより、ぬたなんです」

またやろう。福井のはしご酒。

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