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電気の送り方

私は電気系の学科に所属している学生です。
学部生として広く浅く勉強している中で、これはある程度簡単にわかって面白い!って思った内容が発電所から家庭までの電気の送り方について。
どこで活用されているかわかりづらい分野より、実社会に分かりやすく役立っている分野のほうが興味沸きやすいよね。

ということで今までは教科書を追っていただけだったけど、自分の文章でまとめたいと思っていたので、せっかくなのでnoteで書きます。
物理をまったく触ってない人でも理解できるように細かく書く予定
え?それでも興味ない??まぁそんなこと言わずに読むだけ読んでみよ!


電気の基礎知識

・直流交流
電気というのは主に2形態あり、それが直流と交流。

(引用:https://www.keisoku.co.jp/pw/solution/oyakudachi/ac-dc-dif/)

一定の電圧か、波のように変化するものか。電池とかは直流で、コンセント口に来てるのは交流です。スマホの充電とかは直流である必要があるから、コンバータ(交流直流変換器)がついてますね。コンセントに差すとあったかくなるやつです。
ここから扱うのは交流です。発電所から家庭までくる電気は全部交流。直流より扱いやすいという理由なのですが、それ以上は長くなるので割愛。

・消費電力,オームの法則
消費電力の大きさは電圧×電流で表されます。
電力を消費するということは抵抗成分があるということで、
オームの法則V=RIという電圧は抵抗と電流の積で表すことができる法則から、抵抗×(電流)^2としても表せる。


電線は3本

さてここから本題に入ります。
送電線は基本的に3本です。交流の位相をずらして3つの線で送ってるので、三相交流といいます。
これは家の外にある電柱を繋ぐ送電線を見ても分かるはず。
行きと帰りの2本で済むはずなのに、なぜわざわざ3本で送るの?と思うかもしれませんが、単相交流(1つの交流)より電力損失が少なく済みます。これが自分はめちゃくちゃ面白い!シンプルですげーって思ったわけです。

置いて行かれかけてる人へ。図を使って助けます。三相交流のイメージをどうぞ。

(引用:https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/motors/motor_what3)

交流というのは波でしたね。つまりsinで表すと、周期は2π。位相をずらして3つ作るというのは、2π/3ずつずらした波を3つ作るということ。すると全部たしたら0。つまり行きは3本で送って、帰りは3本分合わせちゃえば電流は0!!ということは帰り分の電線すら要らないということ。なので三相交流の電線3本は全て行きの電線です。帰ってくる電線がないなんであら不思議。

ここからは例題を使ってなぜ三相交流が単相交流より電力損失が少なく扱えるかを考えていこう!せっかく大学で勉強してるので、結論だけじゃなくて数式で理解していきます。

2線式単相交流のとき

電源と負荷を2本の電線で繋いだ時を考えます。日本の家庭用コンセントは通常100 Vなので負荷には常に100 Vの電圧が印加されるとする。
ここで負荷の皮相電力を3000 VAとします。ちょっと違うけど、ドライヤーは1200 Wの使用電力みたいな感じです。

この負荷には100 V印加されてるということは、
電流の大きさは3000 VA ÷ 100 V = 30 A
つまり1本あたりの電線の抵抗をR [Ω]とすると、電線での電力損失は、
(抵抗)×(電流)^2×(電線の本数) = 1800R [W] となりました。


3線式三相交流のとき

単相交流と同じ状況をつくって電力損失を比較していこう。
負荷全体での皮相電力が3000 VAなので、1つの負荷当たりの皮相電力は1000 VAとなる。同様に端子間の電圧を100 Vとしているので、1つの負荷に流れる電流は、1000 VA ÷ 100 V = 10 A になる。
さてここからが多少複雑。注意点として、この電流は1つの負荷に流れる電流の値であって、電線の負荷に流れる電流ということ。2つに分かれているから2倍すればいい?そこまで単純な話ではないですね。

そもそもどうやって100 Vを作り出していたのか。
3つの電源が位相をずらしていたことを思い出そう。

3つの電源電圧の位相の関係を左の図で表すとすると、100 VというのはVa-Vbであったり、Vc-Vaだったりするのであって(厳密には線路抵抗の分だけ電圧降下するから違う)、1つの電源の出力が100 Vではないんです。また位相の関係を考慮すると、Vab, Vcaは中央、右の図に表される位相を持つわけです。

つまり電流を足し合わせるときも位相を考慮する必要がある。

電流を図のように置くと、電線を流れる電流Iは I + I'' = I'の関係から右の図みたいに描けます。I'とVab、I''とVcaが対応しているから同じ位相関係になるということです(負荷によって電圧と電流の位相が変わるのはここでは考えない。考慮したとしても相対的には変わらないため正しい)。
電線の電流は、1つの負荷を流れる電流の2×cos30°の√3倍になることがわかりましたね。よって電線電流は10√3 Aです。
ここまで来たら簡単。電線での電力損失は、
(抵抗)×(電流)^2×(電線の本数) = 900R [W] となりました。


単相と三相を比較しよう

もう結果は出てますね。同じ大きさの皮相電力の負荷を繋げたのに、三相交流のほうが電線を流れる電流の大きさが小さくなって、損失電力を半分に抑えることができました


感想

めちゃくちゃ地味だけどこれを初めて習って計算したときに感動したんですよね。まず位相をずらして送るっていう発想がとんでもない、位相差があるから足したときに電流が減るなんておったまげ。
それに視覚的に三相交流が使われていることが電線をみてわかるのがいいね。身近に感じるともっと面白くなる。

この内容は1年以上前にやったものだけど、ずっと文章に書き起こしたいと思ってたからもう満足してます。これは人に読ませたいっていうより完全に自己満足。やっと書けて良かった。
他にもやりたい内容あるんで多分書きます。

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