見出し画像

アメリカ常識非常識

カリフォルニアに住んで数年しか経っていませんが、アメリカの企業で日本人が周りにいない環境で働いている中で気づいた事を紹介します。

アメリカ人は日本人の様に順番を守らない?

これは恐らく誤解で、アメリカ人は日本人の様にキチンと列を作るのは苦手ですが、順番は結構ちゃんと守ります。
例えば薬局などで順番待ちの列を示す線や順路が用意されていない場合、待っている人たちは自分の前の人と後の人を覚えていて、バラバラに座っていてもちゃんと順番通りに行動しようとします。
また、列の終わりが曖昧な場合はちゃんと「あなたが最後尾ですか?」などと声をかけて確認します。
ただ、アメリカに限らず海外では列をちゃんと作って並ぶという行為をあまりしないので、日本の電車待ちのようなやり方には慣れていないんだと思います。(そもそも海外では列車が決まった場所にキチンと止まる保障もないし、どこにドアがあるかも分からないので並びようがないとも言えます)

また、車の運転でも「ALL STOP」という四辻交差点の全方向一時停止が結構あって、ここでは交差点に入って来た順番で交互に入ります。
微妙なタイミングの場合は悩む事もありますが、みんなかなりフェアに順番を守ろうとします。
たまに大きなショッピングモールの駐車場などでは2車線が四辻として交差しているALL STOPがあって、合計8台で交互に交差点に入らないといけない場面もあり、そういう場合はちょっとカオスになりますが…

ただ、道路を普通に走っていると車線変更や割り込みがすごく多くてイラっとする事もあるのですが、基本的にウインカーを出すと割り込みは日本よりスムーズに受け入れられている印象があります。

アメリカ人は忖度しない?

よく日本人は会社や社会の中で上司の顔色ばかり伺って「忖度(そんたく)」が横行しているが、アメリカ人は役職や年齢の上下に関係なくストレートに議論して素晴らしい!という印象があるかも知れません。
ところが実際にアメリカの会社で働いてみて痛感したのは、アメリカではボスの決定には絶対服従で、それに忖度する人が殆どだという事です。
アメリカでは「Employment at will(随意雇用)」が伝統的なスタイルで、会社側も社員側もいつでも自由に雇用契約を解除できるというルールなのです。もちろん会社のルールで事前通知を必要とされるケースもあるのですが、あくまでそれは社内規定であり、法律として社員を保護するような仕組みにはなっていないという事です。(社内の不正を告発したり、差別やハラスメントなどの被害が原因の不当解雇は法的に守られます)

つまり、いつでも上司は部下を解雇できる立場にあるので、当然部下の立場からすれば上司に盾突くようなリスクは犯しません。CEO以下のピラミッドがその構造で動くので、基本的にトップの意向が絶対となります。
その絶対的権力であるCEOに自分たちの意向を汲んでもらうため、各部門の重役達は日々努力して良好な関係を構築し、自分の責任部門が有利なポジションに立てるように活動しているのです。(例えば他部門他より予算を多く獲得する、増員をしてもらうなど)

ただ、現場レベルでのミーティングや、他部門との打ち合わせをする場合などはストレートに自分の意見を伝え、平気で「I disagree to your proposal」とか「I don't think it makes sense」などプッシュバックをしてきます。
要するに雇用に直結する縦のラインでは逆らわないのですが、横の関係においては遠慮はしない文化だと言えるでしょう。
また、年齢による差は日本ほど強く影響しないので、例え議論の相手が年上であっても関係なく意見を主張しています。
「ペーペーは黙ってろ」的な無言のルールは余りなく、意見があれば積極的に発言する事が良しとされます。この辺りは日本とアメリカで違いがある部分かも知れません。
アメリカ人は小さい頃からディベートやプレゼンを繰り返してきて弁の立つ人が多いので、自分の意見を通すためには隙間なく言葉を並べて一気にまくしたてて来ます。

結論として、アメリカでは上下関係の忖度はするが、横の関係や年齢では忖度しないと言えるのではないでしょうか。

アメリカ人は謝らない?

誰かから「海外では、自分が悪いと思っても絶対謝ったらダメだよ!責任を全て押し付けられて大変な事になるから!」と言われた経験がある人は多いのではないでしょうか?
自分の体験からするとこれは誇張されすぎている気がします。

アメリカではすれ違う時にちょっと肩や腕が触れただけでも「Sorry」と謝りますし、誰かの後ろの狭い隙間を通り抜ける場合も「Execuse me」と一言かけるのが常識です。
むしろ日本だと人にぶつかっても謝らなかったり、スーパーでカートが当たりそうになってもムスッとして譲らない人もいたりしますよね。
私がアメリカで生活していて感じるのは、アメリカ人(色々いますが)は総じて動きはおおざっぱなのですが、基本的に親切で失礼があったら素直に謝るという事です。
ヨーロッパでも生活をした経験がありますが、アメリカ人はヨーロッパの人よりよく謝るし、順番もちゃんと守る印象があります。

一度交通事故(後ろから追突された)にも遭ったのですが、その時は白人のオジサンが出てきて「前を見ていなかったよ、これは私が悪かった It's my fault」とすぐに落ち度を認めてくれました。その後すぐに警察を呼んで保険会社に任せましたが、とてもスムーズに行きました。
妻が渋滞中に徐行していて後ろから軽く追突されたこともありますが、その時は相手が白人のおばさんで「あれ、当たった?これぐらいなら大丈夫よ~Don't worry」などと言われたそうですが、ちゃんと警察を呼んで保険で修理してもらいました。その時も揉めることはありませんでした。

ただし、相手がもし無免許や無保険の人になるとやっかいです。そういう人達は落ち度を認めると修理代や病院代を払いたくないため、難癖をつけてこちらに責任を擦り付けたり逃走したりするケースがあるようなので、くれぐれも注意が必要です。
また「警察呼ばなくても大丈夫だよ!電話番号渡すからあとで修理代払うね」などと言いくるめてくる人は要注意です。必ず面倒でも警察と保険会社に電話して対処しないと、逃げられる可能性が高いです。
アメリカには無免許や無保険どころか、不法滞在している人が1000万人ほどいる国なので、車を運転する時はボロボロだったり凹みが沢山ある車などは避けて走るようにしましょう。(車検もないので、ボコボコにへこんだ車とか窓ガラスがなくてビニール貼っている車も平気で道路を走っています)

基本的にアメリカは自己責任の国なので、自分が取れる範囲の小さな問題であれば素直に謝りますが、大きな責任を伴う問題になるとハッキリと線を引くイメージがあります。
とにかくアメリカには多種多様な人が住んでいるので、人の性格がとても広いレンジ(超無礼な人と超良い人の差がすごい)である事は知っておく必要があるでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?