人狼ってなんで喧嘩してる人が多いの?という話

私がまず最初に言いたいのは人狼は必ずしも喧嘩が起こるゲームでは無いということです。
喧嘩しない人狼もできますし、ワイワイ楽しくやることも可能です。

じゃあなんで喧嘩してる人が多い(もしくは目立ってる)のってことなんですが、端的に言うと推理を進めるためのテクニックとして使われてるからです。

ここで簡単に人狼ゲームの流れを説明します。

○出てくる用語
黒:人狼側
白:村人側
グレー:白か黒かまだ分からない灰色の人
占い師:毎ターン誰か1人の白黒を確認できる

10人以上の大人数でやる人狼ゲームの場合、最初に占い師を自称する人が2人~3人現れます。もちろん本物は1人で残りは偽物です。
自称占い師3人と、その3人が占った結果が最大で3人発生して、合わせて6人程度が情報ありの人間です。
ここで初日に誰を追放するかという話になるのですが、本物の占い師が分からない以上、まだ情報が出てない人から追放しよういうことになります。

よってグレーの中から追放する人を選ぶ方法が重要になってくるわけです。
ここでどういう方法を取るかは、その人狼ゲームの界隈/サーバー/流行などによって変わってきます。

1.ランダム or 指定で選ぶ

代表的な方法として、グレーランダム(グレラン)があります。
これは名前の通りグレーの中からランダムに1人選ぶものです。
全員で好きに投票して票数が多かった人を追放することが多いです。
また、確定で白だと分かってる人が進行役となって追放する人を誰か1人指定することもあります。

グレランのデメリットとしては、重要な役職を持った人が追放されてしまう可能性があるということです。
また人数が少ない人狼ルールでは追放できる回数も少ないため、不用意に白を追放してしまうとゲーム展開が苦しくなってしまう場合もあります。

2.喧嘩する

はい、出てきました。喧嘩です。
推理を進めるためにあえて反感を買う発言をしたり、誰かに根拠もない疑いをかけたりします。
なぜ喧嘩で推理が進むのでしょうか?

喧嘩をする、というのは対立関係を作るということです。

AさんがBさんに「お前全然喋ってないけどやる気あんの?」と言いました。

これでAさんとBさんは対立しました。
これに対してBさんが何と返すか、周りの人がどう関わるかによって、推理を進めていこうという考え方です。

例えばここでBさんが人狼だとします。
BさんはAさんに詰められたのに慌てて怪しい人を列挙しました。そこには味方の人狼は含まれてませんでした。これは後々に推理のヒントになります。
Cさんは味方の人狼です。Bさんが怪しまれるのは困るので、喧嘩を仕掛けるAさんこそ追放すべきだと言いました。これで対立はA - BCとなります。
Dさんは重要な役職を持っていました。とりあえず会話の流れに合わせています。
Aさんは次々に怪しい人に喧嘩を仕掛け、ヘイトを集めました。

この時の進め方として、
1.反感を買ってるAを追放する
2.自ら悪目立ちしたAは逆に白っぽいので、BかCなど別の誰かを追放する
などが挙げられます。

Aさんは自分がただの村人だったからヘイトを集めたとしましょう。
この場合、Aさんを追放しても重要な役職の人は生き残ります。
さらにBさんとCさんが協力関係にあることも分かりました。

何も分からずランダムで選ぶより、こちらの方がしっかり推理して追放する人を選ぶことが出来ている、と言っても良いでしょう。
このように、喧嘩によって推理の起点を作ることが出来るわけです。

そして人狼上級者には喧嘩の方が好まれる傾向にあります。
人狼が上手くなるということは、ボロを出しづらくなるということです。
ボロを出しづらい人狼のボロを出させるため、喧嘩という方法で精神的な負荷をかけることが有効であるということなんですね。

喧嘩のデメリットは、ヘイトを集めすぎると議論の邪魔ということで早々に追放されることでしょうか。つまり限度を見極めれば問題ありません。このゲームの必勝法ですね!みんなも喧嘩しよう!

・・・はい、これはゲーム内でのメリット/デメリットですね。
じゃあゲーム外だとどうなのか、これはもう言うまでもないでしょう。

つまり喧嘩というプレイングは、
・見知らぬ誰かとのランダムなマッチングで人狼を遊ぶ
・とにかく勝ちにこだわる
・喧嘩という手法があることを全員が認識している
・ゲーム中の出来事をゲーム外に持ち出さない

などの条件が合った場合のみ行われるということです。

ヘイトを稼ぐ行為は、人狼をやり込んでいる人からの印象を良くしてくれる一方、やってない人からの印象は悪くしてしまうテクニックなんですね。


実際に私が遊んでいた14~16人ルールの人狼コミュニティでは、先ほど紹介したグレランが採用されていました。狩人が指定されて困ったこともありますが、投票先からラインを予想するなどの議論が出来るため、特に問題なく楽しく遊べていました。

つまり、人狼はよく喧嘩が起こってギスギス言い合いをするゲームだという印象は、人狼というゲームの一面でしかないということです。
人狼に良くない印象を持つ人が多いのは、自分が遊んだ時に理解のあるメンバーに恵まれなかったとか、Youtubeなどの動画では喧嘩腰の内容の方がウケるというところも要因であると思います。

なんでこんな話をしたかというと、Project WinterAmong Usのようなゲームを人狼系と一括りのジャンルにされることで、ギスギスするゲームだと必要以上に誤解されてしまっていると思うからです。
(ギスギスすることもありますが、その話は置いておきます)

そもそもボードゲームに正体隠匿系というジャンルがあります。
これは正体を隠して紛れている敵を探し出すというシステムのゲームを指すもので、人狼はこれに含まれます。
正体を隠しているということは、どのゲームも誰かを疑うことが必要なものであることは変わりないのですが、人狼というゲームはその中でも特に議論で厳しく追求することを求められるゲームなのです。

先に挙げたゲームは雪山人狼宇宙人狼などと呼ばれがちですが、これらは本家人狼から比べると非常にカジュアルにプレイ出来るもので、喧嘩をするほど議論するようなものではないのです。


人狼系と呼ぶのをやめよう!と主張するのは難しいでしょう。
正体隠匿系のゲームを人狼系と呼ぶのは既に浸透してしまっていますし、何より分かりやすい表記だと個人的にも思います。
なので、人狼はそこまでシビアなゲームだけじゃないということと、Project WinterやAmong Usは人狼とは少し違うゲームなんだということを主張していきたいのです。

というわけで、最後に誰でも簡単に遊べるオススメの正体隠匿系ボードゲームを紹介して、この記事を終わろうと思います。
読んで頂きありがとうございました。

1.お邪魔者

みんなで道を作ってゴールの財宝にたどり着くゲーム
人狼役がいつ裏切って妨害行為に回るのか、タイミングを見極めることが重要なゲームとなっている
オンラインもあるよ
https://ja.boardgamearena.com/gamepanel?game=saboteur

2.ディセプション -香港殺人事件-

ゲームマスターから提示されるヒントから凶器と証拠品を絞り込み、それを所持している犯人を見つける連想ゲーム
ゲームマスターは村人側に所属しており、提示するヒントを適切に選択することで村人側を勝利に導く必要がある

3.犯人は踊る

人狼カードを所持している人が人狼、という変わったシステム
プレイヤー同士で手札が目まぐるしく入れ替わるため、ババ抜きのように移動する人狼カードを誰が持っているのか突き止めるゲーム
ほぼ運に左右されるゲームだが、ルールが分かりやすく簡単に盛り上がれる

4.目撃者たちの夜

犯人は踊るから運要素を減らし、代わりに推理要素を深めたようなゲーム
山札から引いた役職他のプレイヤーから渡された役職から1つを自分の役職とし、不要な方を任意のプレイヤーに渡す...という行動を繰り返していく
人狼を押し付けたり、押し付けられたり、押し付けたことにして自分で隠し持ったり・・・推理と弁解が物を言う

5.ラブレター -恋文-

犯人は踊るのシステムにさらに勝利条件を増やしたようなゲーム
1ゲームがほんの数分で終わり、勝つも負けるもあっという間なので、ワイワイ騒ぎながらたくさん回せるのが魅力

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