愛$菩薩に会いにいく。ep.03
ふっーーー。やっとここまで書いたが、
はやく、愛$菩薩について語りたい!
が、しかし、愛$菩薩に出会うまえに、きくりんについて語ってしまった。
しかし、これは本筋じゃない!
そう、ここから、さらにすごい出会いが待っていたのであった。
それは、メシア(救世主)めぐみさんが、
「ぜひ、石川さんに紹介した人が偶然いま、大阪に滞在中で、先方のOKが出れば、一緒に会いに行きましょう!」という。
その人は、ネイティブアメリカンの超有名人、
デニス・バンクスさんと深いつながりのある
尼僧の方だという...。
愛$菩薩に会いにいく予定が、インディアン尼僧さん?
に会いにいくことになるなんて...。
そして、きくりんと俺との運命や如何に?笑
ただ、愛$菩薩(あいどるぼさつ)に会いにいく。
後編スタートです。
さて、めぐみさんの住む街へ車で向かう途中、
ものすごい気を発してるスーパーを通り過ぎた。
【スーパー玉出】
すっかりきくりんの虜になった私は、
「たしかめないと。」という信仰心も芽生え、
運転しているきくりんにそれとなく、
「スーパー玉出は、すごいらしいよ。」と、伝えた。
【たしかめないと教】の教祖である、きくりんは、さっとハンドルを切ると、左折、左折で、
スーパー玉出の前に華麗に舞い戻った。
さすが教祖さま、もうスイッチが入ってる!
店先からすでに、あふれるほどに商品が陳列され、店内に入れば、パチンコ屋かと見まごうばかりの電飾された天井に圧倒された。
店の通路には、あえて経路を狭くしてまで、
ダンボール箱を積んで商品を陳列し、
圧倒的な物量を見せつけ、安さを量で演出している。
さらに、安売りのPOPがそこかしこに飾られ、
安売りのサブリミナル効果。
玉出初心者には、店全体がチカチカしていて、
もはや何が売ってるのか、わからいない!?
おばちゃんたちの邪魔にならないよう注意しながら、商品の森を分け入り、意識を集中させて、
なんとなくわかったことは、
「ドンキホーテの起源はここだな。」
ということで、むりくり納得した。
生鮮食品売り場で、「クリオネ」が瓶に入れられて売られているのを見て驚愕。
ドンキなんてもんじゃない!
こわい。
教祖さまに知らせねばっ!
教祖さまは、クリオネの瓶を手にとると、
「これ、食べるのかな?」
まさか、たしかめる???
教祖さまは、クリオネの瓶をおくと、何事もなかったのようにその場を立ち去る。
良かったー。たしかめなくてー。教祖さまも人の心をお持ちなんだー。
激安な惣菜を尻目に、
「これから美味しい粉もんが待ってるぞ!」と、
自分に言い聞かせ、お茶と草餅を買ってようやく外に出る。
しかし、スーパー玉出とは、パワースポットなのか?滞在するだけで、何かを浴びたようにつかれちゃう。
スイッチを入れ直し、
車を走らせようやく、めぐみさんと再会。
素敵な笑顔で迎えてくれためぐみさんの後をついて歩き、地元でも美味しくて有名な、お好み屋さんに入店。
ここは手出し無用と、全ておまかせで出された、
お好み焼きと焼きそばは、今まで食べた中で一番おいしかった!
もう、それだけで、大阪に来たがあった!
ここまでの旅の食事では、連戦連敗だったきくりんも、ようやく今回初めて美味しい食べ物にありつけたようで、終始笑顔だった。
「次はどうします? たこ焼き食べます?」
恵さん提案に、
「もちろん、食べたいです!」即答で答える。
大満足で店を出て、ここも地元でも大人気だという、たこ焼き屋さんへと向かう。
お好み焼きが余りにも美味しく、たこ焼きの期待もどんどん膨らみ、歩くスピードもちょっと早まる。
たこ焼き屋さんに着くと、既に3人ほどお客さんがいて、たこ焼き屋のお兄ちゃんが、
「いまできてる分は全部並んでるお客さんが買っていくので、新たに作るのに、20分ほどかかるけど、どうしますか?」と、尋ねてくる。
メニューを見ると、
たこ焼き
10個400円 7個350円
あかし焼き 400円
安い! 安い!だけでなく、とにかく美味そう!
私は当然のように、たこ焼き7個を注文。
注文しながら、胸がざわついた。
たこ焼きを焼いている奥には、プレス機がついた鉄板があり、あかし焼きをプレスしてるのが見えからだ。
もしや!? と、思ったのも束の間、きくりんは、
「あかし焼き、一つください」
「うおっ!マジか!ここでも、たしかめないとっ!でたっ!」
たこ焼きが美味しいという、めぐみさんの意見など全く耳に届いてなどいないかのような、全くぶれない彼の姿勢に、膝の力が抜けるほどの底知れなさを感じる。
出来上がるのを待つあいだ、たしかめないと教の信仰心を捨てた僕のとなりで、ひょうひょうと立つきくりんの存在が、なぜかでかく見えた。
ブレない男の立ち姿がそこにあった。
いたって普通なたこ焼きと、あかし焼きという、
未知との遭遇を抱え、車で食べる。
とにかく、あかし焼きが気になっている僕は、気もそぞろで、たこ焼きをほおばりながら、きくりんを観察。たこ焼きは、確かに美味い。
はたして、あかし焼きは?
感情を殺したように、あかし焼きをほおばっているきくりん...。
嫌な予感がよぎる。
すると、きくりんは、静かに、あかし焼きの感想を漏らした。
「うーん。微妙だな。何食べてるのか分からない」
「・・・・・・」
「どういう意味???」
差し出されたあかし焼きを一口もらい食べてみると、
「・・・・・・」
「なんだろう? 海鮮オムレツかな?」
ギリ言える感想がそれだった。
そう答える僕に対し、きくりんは、
「ああ、タコが入ってるからね…」
なんちゅー、当たり前のことを返してくるんだこの男は?
しかも、全く感情が動いていない!!??
だいじょうぶか?
あかし焼きに『からし』がついているのを見つけ、もしや、からしをつけることで、ガラッと味の印象も変わるかと思い、からしがついているところを一口もらう。
祈るような気持ちで口したが、
「うっ...、おでん? なぜか、おでんの味になったね...」
そんな感想しか出ない。
「なるほどね」
何が、「なるほどね」なのきくりん?
なんなんだ?
この微妙な下り坂をすべるような、微弱な負のスパイラルはっ!?
なんとか場を持たせようと、
「でも、やっぱり、なに?
たしかめないと、いけなかったのかな~?」
もう答えはわかっていながら、それでも聞いてみると、
あらゆる修行を終えた僧侶のような顔で、きくりんは答えてくれた。
「たしかめないと、語れないからね…。」
「!!!!!!!!!」
俺は、びっくりした!なぜって…、
き、きくりん!!!!
マジかっけーこと言ってっけど、
あーたほど無口な男を俺は知らないよ!!
しかも、いつ!?どこで!?
あかし焼きを語る機会があるっつーの!
底がしれないというか、この男、
底が抜けちゃってるよ!
おいおいー!
心の中で全力でツッコミを入れつつ、
修行にまったくなってない托鉢僧にお供えするように、僕のたこ焼きを二個あげた。
ひとつは、あかし焼きのお返し。
もう一つは、同情とリスペクトを込めて。
たこ焼きを一口食べた、きくりんは、
「チョーうまい!中はとろとろ!
なんでこんなふうにできるんだろう?こりゃ、すげーや」
あかし焼きを食べた時点のテンションがマイナス5℃だとしたら、一気に160℃のテンションでほおばっていた。
そこに、托鉢僧の顔は、微塵もなった。
マジわからんわ、この人...。
あかし焼きを食べ終えた容器には、
ぽつんと、たこ焼きが一つ残っていた。
「最後は、たこ焼きでしめたいからっ!」
きくりんは笑顔でそう言うと、
満足そうに、たこ焼きを一口でほおばった。
言葉を失った僕は、
「たしかめないと」って、なんなの!?
頭の中が爆裂した。
たしかめないと!って、最高にかっけー!
なんて思ってた僕が、どっか遠くの方で爆ぜた。
「たしかめないと」とは、ほどほどにしよう。
いや、ひとりでやるもんじゃないな。
そういう結論に達して、ようやく目が覚めた。
つづく
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