『都市計画家 堀切善次郎伝』

『都市計画家 堀切善次郎伝』/紺野浩を読了。

堀切氏は、福島県飯坂市の生まれでのちに東京市長になった方であり、後藤新平氏らとともに東京都の復興都市計画に取り組んだ影の功労者だ。

関東大震災、終戦からの復興都市計画を後藤新平氏とともに行政の立場からどのような動きをしていたのかが描かれていた。

とくに印象的だったのは、後藤新平氏と堀切善次郎氏の都市計画の在り方に対する思想の違いがあったことは意外だった。

以下、本文p.42〜43より
"後藤新平氏や渋沢栄一氏らは、都市の空間的計画論や理論、法制度を研究し、東京の都市改造を主張し続けたのに対して、堀切善次郎氏は現実の都市の仕組みの整備や市民の意識向上こそ重要と考えていた。つまり堀切氏は、理想の都市の追求も大事だが、現実の都市生活を構築する社会条件の整備こそが重要であり、住民主権の制度構築こそ重要と考えていた。"

p.78
"東京市の市長になった際、私利私欲により動き回っていた市議会議員の質の悪さや実態を知り、議会改革が必要だと思い立ち、議員の選挙権を有する市民に語りかけねばならない。市民の意識が変われば良識を持った議員が選出されるはずと考え、愛市運動を立ち上げた。"

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