新市場初期の「あるある」—―既存体験の「部分進化」がライブゲームでも起こる
ミラティブ赤川です。
いま、「ライブゲーミング」が猛烈な勢いで拡大していっています。
これは、「ライブ配信とゲームが高度に融合した体験」です。
ゲーム実況にコメントをする、というだけではなく、アイテムやガチャをギフトする、協力する、ということまでできるようになったイメージです。
今回は、そうしたゲーム体験の変化が必ずしも「新作ゲーム」からだけでなくリリース済のゲームの「変化」「進化」からも起こってきているよ、という話を書いていきます(目から鱗もあると思うので、ゲーム会社や個人開発者の皆さまに届いてほしい!)。
そこからは、イノベーション初期の「あるある」な典型も見えてきます。
ゲーム業界以外の人たちには、ビジョン先行型事業の漸進的なbizdev開拓がどんな風になされていったかの参考にもなればと思います。
「ライブゲーム化」の流れ
ライブゲームの特長に、視聴者が配信者をギフトでサポートできる、という点があります。
「誰かのためにお金を使う」ゲーム市場を開拓しており、これにより「自分のためにお金を使う」額も増える現象が起きているというのは前回書いたとおりです。
もともとミラティブでは、リリース済みのスマホゲームとタイアップ施策をやってきていました。
最初は、自然発生的に特定ゲームの配信が増えていき、そのユーザー熱量をもっと高めるためにゲームアプリの中にミラティブへのディープリンク(配信への導線)を張ってもらう営業からスタートしました。
なぜゲーム会社がこんなことをしてくれたかというと、ミラティブでユーザが配信すると明確にゲームの売上やリテンション(LTV=ライフタイムバリュー)が上がることがわかったためです。
ゲーム実況を通じて友だちができたり、誰かに自分のプレイを見てもらうことで、ゲームへの愛が深まってゲームの売上が増える、が起こっていたのです。
これはある意味初期的なライブゲームの動態で、データで明確に証明されました(データで証明されるので安心して導入してくれるゲームが増えていきました)。
そのゲームのUUのうち2%しかいないミラティブユーザーが、そのゲームの売上の40%を叩き出す、というような事例も積みあがりました。
そうすると次に、その効果をもっと上げるために、「じゃあいっしょにファンユーザーのコミュニティに仕掛けていって、さらにLTVを上げていきましょう」、ということでタイアップが増えていきました。
現在は月間75のゲームタイトルと取り組みしており(2021年12月実績)、2021年8月の日本のスマホゲーム売上Top100のうち40タイトルは施策を実施済みという状況です。
部分進化=自動化やアイテム連携
すると、両者でさらにユーザー体験をよくしたくなっていき、ミラティブとゲームでいっしょに「ID連携」を行う事例・開発して自動化をかけるような事例が出てきたのです。
例えば、ミラティブで配信をすると自動でゲームアイテムがもらえるような世界観です。
あるいは、配信者に視聴者が応援ギフトを投げてランキング上位に入るとゲームでもよいことが起こったりする仕掛けです。
(ここで、応援ギフトはかぎられた財布の食い合いにならず、双方のLTVを伸ばしていくのが「誰かのためにお金を使う」市場のキー・面白いところです)
ゲーム会社といっしょに「課題解決」に取り組んでいった先が、さらに深い連携になっていった、という話です。
こうして、必ずしも新しいゲーム開発でなくても、開発当時にはライブ配信のことを全く考えずに作られたゲームが、ミラティブと合体することで「疑似ライブゲーム化」するようなことが起きていきました。
結果、既存のプレイヤーがライブゲーム体験をできるように進化する(→ユーザーのゲームへの熱量や売上も上がる)、という構造になっていっているのです。
新市場初期の「あるある」
新しい市場を開拓していく時、ついついいきなり完成形を作りたがりがちですが、なかなかそうはいかないものです。たいてい、やっている本人たちが予想もしないような形で進化していきます。
例えばソーシャルゲームが出てきた時に、誰もパズドラ・モンスト・ウマ娘のような「完成形」を想像できていませんでした。
Facebookがオープン化してソーシャルゲームというものが世に出てからパズドラのリリースまでには5年かかっています。
ライブゲーミングも同様で、「ライブゲームのいったんの完成形」まではまだまだ時間がかかると思っています。
では、最初はどんな風に変化/進化が始まるかというと、「既存の体験が強引に新しい体験を加える」ところ=「部分進化」から始まり、そこにユーザーの需要・熱量があるとそこから進化が加速していくのだと実感しています。
これは例えるなら、「iPhoneが出てきた頃のスマホゲーム」の状況に近いです。ガラケーのゲームが強引にアプリに移植され、「アプリ」のはずなのに何かタップするたびに読み込みが入り「ポチポチゲー」とか「ガワアプリ」と言われている時代がありました。
なんなら「あんなのゲームじゃない」とちょっと馬鹿にしている方もいましたが、そこには明確なユーザーの反応・熱量があったので投資が続きました。
結果、パズドラのような「最初からスマホの操作性を100%活かしたスマホゲーム」が生まれていきました。
同じように、ライブゲームもまずは「ガワ」にミラティブ等の配信機能/配信PFがくっつくことで「ライブゲーム1.0」から始まってきているのです。
流行ワードに乗っかる感を自覚しつつ表現すると、「既存ゲームのライブ対応DX」が起こっていると言えます。
ゲームが「ゲーム実況映え」を意識してゲームデザインされる時代から始まり、まずは「疑似ライブゲーム」を経由して、完成形に向かっていく。
新市場の初期は「完璧でないがどこか顧客のニーズをとらえているもの」からいびつに始まる、という歴史の事例が振り返るとここでも起こっています。
1.0だからといって侮ってはダメで、ユーザーの「同じゲームが好きな友だちがほしい」「自分のプレイを見てもらいたい」といった配信に至る根源欲求は満たしていますし、さらに「配信するだけでアイテムがもらえる」といった言い訳・モチベーションも掛け算されます。
ユーザーに愛されているゲームであればあるほど、ライブ対応することでそこにある強い熱量を増幅できるのです。
今後、こうしたリリース済の既存ゲームの「ライブゲーム連携」も当社でどんどん推進していきます。我々とゲーム会社でいっしょにゲームユーザーの方を向いて創意工夫していくことで、連携の仕方もまだまだ進化していきそうで、それもここから楽しみです。
リリース済のゲームに関わっている方は、きっちりとLTVに効く施策、ユーザーさんが愛を深めてくれるコミュニティ施策として以下から問い合わせしてみてください!
(コストかけず無料からも対応可能です。必ずしも荒野行動やPUBGのような「ゲーム実況映え」するゲームでなくても、百発百中的にこうした施策をやっていくとゲームLTVが上がっていっていたのも面白いところ!)
以上、市場開拓手法の参考にもなればと思い書いてみました。
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