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「自分だけは違う」症候群

事業立ち上げ初期について学生起業家と話す機会があって、今もう一度やれと言われたら何に気をつけるか、と聞かれて考えた。
当時「自分だけは違う症候群」に陥っていたな、と思い至った。


業界の前線にはいたので、知識はたくさんあった。相対的にいろんな人にも話を聞ける環境だったとも思う。

が、「やらなかった」「違うことをした」ことがたくさんある。
なぜだか「自分だけは違う」「自分にかぎっては例外」と思っていたのだ。


たとえば、Yコンビネーターについては当時からよく知っていたし、馬田さん@現FoundXのスライド群には感銘を受けていた。


が、実際に出したミラティブの最初のバージョンは、機能も盛りすぎていたし、余計なこともしすぎていた。
顧客に話すのもすべて引き受けたわけではなく、結構、人に任せていた。いきなりPR もやっていた。 (アンチパターンの一大ショウケースや!!)

その後起こったことは見事に「教科書通りの失敗」であり、シリコンバレーくらいのトライ&エラー数で集合知になってることは多くが正しいのだなと学ぶに至った。(やらかしたことについてはこのあたりの記事に詳しい)



「知っていたのに、やらなかった」。「自分だけは違うと思った」。なぜか。もちろん、考えた末のこともあるし、オリジナリティを貫くべきだったところもある。

が、ピュアに振り返ると、多くの本当のところは、めんどくさいことから逃げていたのだな、と思う。

できない理由を探す方がなんだって簡単だ。
なにかと言い訳をつくって、自分にかぎってはこれに当てはまらない、という自己暗示をかけてしまう。それっぽい理由ほどタチが悪い


が、身も蓋もないが、いろいろ理由をつけていたものの、今振り返ると正直それらは「めんどくさかった」のだ。(超恥ずかしい!)

お客さんと直接話しつづけるの、めんどくさい。今できないデータ分析手法覚えるの、めんどくさい。自動化が間に合わないことを人力でやるの、めんどくさい。
そして、事業の成長のカギになるようなことはだいたいが「めんどくさいこと」なのだ。

Yコンビネーターの教義のひとつに、ストイックな「これだけやってね☆」というものがある。

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ミラティブも初期の迷走期を抜けて、最初に伸びた時期はこの状態になってからだった。1日中、サービスとTwitterに張り付いて、ユーザーと話し続けた。

他のことは全部やめて、顧客と直接話す、クエリ書く、仕様書く、に徹した。最初期鳴かず飛ばずだったが、そしたら伸びはじめた。残酷だなぁ、と思った。そりゃほんとはもっとカッコよく伸ばしたかったのだけども。


やりきるだけで差別化になる、ということは実はたくさんある。先人が「これをやったらうまくいきました」と言っていることを、愚直に100%やりきれている人というのは実は激レアだ。↑を本当にやって鳴かず飛ばずという人をあまり聞いたこともない気もする。


起業する、あるいは何であれ、本当の意味で責任を負う、ということは、どんな理由をつけたとて、結果責任を負うということになる。

めんどくささや、それっぽい理由が実アクションを上回っていたミラティブ最初期は、実はある瞬間まではただのサラリーマン新規事業であり、責任というものを本当の意味では実感していなかったのかもしれない。(恥ずかしすぎる&懺悔すぎるのだが…)

「自分だけは違う症候群」は、最終的には、課題を直視しない、という責任からの逃げになっていることが多いのだと、経験としては思う。


考えてみると、これって事業立ち上げにかぎらないことなのではないか。
謙虚さ、学ぶ姿勢の連続。それをいつか自分にも起こりうること・目の前で起こっていることと仮定する力。なにより、問題から逃げずに直視する力。


情報の多い時代だ。
アレもコレも信じて振り回されていてはそれも埒があかなくなるけれども、正しい情報も世に落ちているからこそ、自分が信じられることを素直にそのまま徹底的にやりきるのも、立派なオプションだ。

何かがうまくいっていないときは、実は、素直さがなくなっているとき、逃げているとき、「自分だけは違う症候群」に陥っているとき、なのかもしれませんね。そんな自戒で、今日も今週も問題に取り組む。



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