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クソ生意気な音楽少年がMirrativというゲーム配信サービスを作るまでの物語(ナラティブ)と、あらゆる発信・自分語り・創作へのまなざし

ひさしぶりの投稿、赤川です。今日、テレビ朝日のゴールデンタイム「あいつ今なにしてる?」で、母校の修道中学・高校と並べて、当時クソ生意気だった路上ミュージシャンの音楽少年が今はミラティブというスタートアップをやっている、という話を特集いただきました。

まだ何の成功もしてない人間の自分語りはどうなんだ、まだおめー何も成し遂げてねーだろ、と思うのですが、自分の人生・ナラティブを紹介いただいた良い機会なので、なぜ今の事業をやっているのか、その想いをもう少しだけ書き記してみようと思います。

■何をやっているのか?

Mirrativという、スマホだけで誰でもゲームの生配信ができる事業をやっています。
iOS: https://apps.apple.com/app/id1028944599
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.dena.mirrativ

ユーザーの皆さんのおかげで、日本でいちばんスマホゲームの配信者が多いサービスになっています。160万人の方がゲーム配信をスマホから行ってくれています。(いつも配信ありがとうございます&見ている方もありがとうございます)

「スマホゲームのおとも」
として、スマホゲームをするときに一緒に使うと、同じ趣味の友だちができて、もっとプレイが楽しくなるサービスです。
「友だちんちでドラクエやってる感じ」がもともとのコンセプト。誰でも数タップでゲーム画面を生配信できることで、「ひとりで遊ぶゲームでも、誰かと話しながらいっしょにプレイできる」体験を、スマホ上で提供しています。

■何を目指している会社なのか

「わかりあう願いをつなごう」というミッションをかかげていて、自分はこのミッションに人生を全張りしています。

ミッション

僕は、人のあらゆる行動には「こうありたい」「こうあってほしい」という「わかりあう願い」が宿っていると思っています。コミュニケーションを通じてそれぞれの願いがつながる瞬間の「うわー、それ、私もわかる!」という喜びを増やしていくことで、少しでも世の中がよくなっていくはずだ、と信じています。


その原体験が、中学時代にゲームのホームページを作って大会運営などしていたことや、高校時代にチャットルームで知らないオトナにたくさんマニアックな音楽を教えてもらったこと、そして路上ミュージシャンの経験です。
ちなみにテレビだとボカされてましたが、中学時代にホームページ作って大会やってたゲームは「サカつく2(Jリーグプロサッカークラブをつくろう!2)」です…。今も昔もセガが好きすぎる。

ネットと路上と音楽と私

高校時代。
まだインターネットが使い放題じゃなかった時代、23時を待ってチャットルームにつなぐと、会ったことのない大人が自分の知らない音楽をたくさん教えてくれました
翌日、昼ごはんを抜いて浮いた500円で中古CD屋(一番の行きつけは広島駅前のGroovin’)に通い、同じバンドのCDはあるけどその盤はない、というような状況で買うか買わないか20分も30分もうんうん悩んだりしました(その場で検索する手段もまだありませんでした)。それで買って帰った音源を必死で聞いて、耳コピして、自分の曲に活かして創作の楽しさにハマっていきました。今ならYouTubeやSpotifyで無料で5秒でできることが、1日がかり、時には数週間がかりの壮大なdigの旅でした。

自分の作った曲を披露する場は路上ライブでした。自然なエコーがかかる広島本通のアーケード街で、初めて歌った16歳の時は、震えるような緊張とそのあとに強烈な高揚感がありました。毎週ルーチンで歌いに行くようになりました。

毎週目の前を通る暴走族の兄ちゃんにオリジナルはいいから長渕剛覚えてこいと言われて練習していったり、年上ばかりの路上ミュージシャンの集いに混ぜてもらったり、よく聞きに来てくれる大学生のお姉さんにドキドキしたり(注:結局何もなかった中高男子校の非リア)、学校とは違うコミュニティにいろんなことを教えてもらいました。音楽を通じた、リアルとネット上、双方の出会いが、僕の人生を大きく大きく広げてくれました。「趣味を通じた人生の可能性の広がり」。これは、今ミラティブをやっている大きな原体験です。

中国新聞


↑今回取材で発掘された、当時中国新聞に載った16歳の写真。わけぇw

高校時代、自作のカセットテープは手売りで300本くらいは売ったんじゃないかなと思います。つまりそれは当時のテクノロジーだと、300回分カセットテープを裏返しながらテープレコーダーの前でダビングをしたということでもあります。アナログなので、45分のテープ1本のダビングには45分かかるのです(まさにその時間の間、ひたすらゲームをしていました)。
昔の自分の熱量に驚くとともに、今のテクノロジーの進化もまた実感します。(そして、このMTRでのテープ作りすら、その10年前には高校生のおこづかいで行うことはまず不可能なテクノロジーだったはずです)

少しでも安く、ドンキみたいな店で50円でカセット(とはいえこだわりたいので「ハイポジ」)を大量に買って、300円で売る動きは、自分にとって初めての商売の経験でもありました。振り返ると音楽は、音楽そのもの以外でも自分にたくさんのことを教えてくれました

当時のカセット音源は、たぶん今聞くと聞くにたえないし、300円の価値すらあったかは不明です。
ただ、世の中に発信の場を与えてもらったことで(僕の歌声が騒音にも聞こえた人たちがそれを許してくれた社会のおかげで)、その創作の連続は今のミラティブにつながっています。

(たとえばYahoo!やLINEのやってきたことと比べると)ミラティブもまだ真に大きなインパクトのある価値創出など何もできていませんが、少なくとも160万人の人に、配信・発信の機会を与えられた、というのは自分の小さな誇りです(そしていずれ数億人にしたいと思っています)。

小さな発信の機会は、それよりも少し大きな未来につながっていくのです。人は、意志と行動によってのみ、現状の延長線上以外に自分の未来を変えることができます。そして当時はまだおもちゃのようだったテクノロジー=インターネットが、今やあらゆる発信を世界中に届けるインフラとして存在しています。話すこと、創ること、動くこと。人のあらゆる営み=「願い」は、今や距離の制約を超えて、あらゆる可能性を広げうる意志として、世界に毎秒放たれています

Mirrativがやっていることは、その願いをつなげていくことです。

■創業事業=Mirrativ

ここで書いたような、誰にでもある自分語り=いろんな物語(ナラティブ)が、これを読んでくれているあなたを含む、あらゆる人の人生に詰まっています。良い物語も、つらい物語も。
それは、ある人にとってはゲームとの思い出、映画との思い出、あるいは本、スポーツ、マンガ、アイドル、キャラクター、場所、機会、たくさんの誰かのあらゆる創作や成果の上に。そして、それをその時誰と体験したか、という「人」との思い出とともに。

同じモノ・コンテンツでも、誰と過ごしたか、どう触れたか、で、その人にとっての物語=ナラティブは変わります
Mirrativは、スマホ画面の「ミラーリング」というテクノロジーを活用して、それぞれの物語・ナラティブをつむいでもらうサービスです。

この作品をこんなに好きなのは自分だけなんじゃないか、もしくは、いま世の中でこんなに悲しみを感じているのは自分だけなんじゃないか、と思う瞬間に、想いが他人とつながった時、「分かちた」時、人は言いようもない高揚感や救済感に包まれます。一時期の幻想かもしれないけど、「わかりあった」と思えるあの瞬間です。あの瞬間を増やしたくて、事業をやっています。

人のあらゆる発言、ツイート、創作、自分語り、配信といった発信は、その瞬間・場を与えてくれるきっかけです。可能性の種。ある人にとっては下らないものが、誰かにとっては価値になる、その連続が世の中を作っていると信じています。
だから、Mirrativではしゃべるのが上手くなくても配信して良いし、プレイが上手いとか下手とかはいっさい関係ない、誰でも配信できる、という世界観を徹底しています。

学校でいじめられている、というユーザーが荒野行動がうまい、という理由でMirrativで「神!」と呼ばれている時、そこではきっと何か人を動かす原動力が生まれているはずです。
スマブラ「プリン師匠」の物語は、Mirrativが目指している世界観の象徴です。

そして、小さな発信の先にある、大きな創作、ものづくりは、とても勇気がいるものです。だから、ゲーム含むあらゆるクリエイター・創作者・起業家に、強いリスペクトがあります。
番組でも取り上げられたとおり、自分もミュージシャンを志して、努力不足で挫折しました。なので、その勇気の尊さや、創作が人に受け入れられない不安を少しは知っているつもりです。(それでも創作をしてくれて、またすごいものを見せてくれて、ありがとうございます。健全に嫉妬しながら、自分もがんばろう、といつも勇気をもらっています)

創作は、クリエイターの強い願いの結晶です。
Mirrativは、大きな創作・仕事をするクリエイターの願いを、使う人との間につなげていくサービスだとも思っています。ゲームは、壮大な作品の創作です。生配信は、いま人がそこにいる心拍数・ビートの連弾を、作品と直接つなげられる場所・空間です。
僕がMirrativを今そこで使ってくれているユーザーさんを見て感激するように、ゲームクリエイターが、自分の作ったものをユーザーがリアルタイムで楽しんでくれている様子を見て、少しでも創作の勇気を後押しできれば、とも思っています。

そして、ユーザーさんには、同じモノを好きな人とのコミュニケーションを通じて、少しでもゲームへの愛やクリエイターへのリスペクトを持ってもらえるなら嬉しいです。作り手も使い手も使い手同士も、他者への尊重、が当たり前のように相互で行き来する社会になっていくことを願っています。

おわりに

そんな想いでミラティブチームは、僕は、いま事業を作っています。
昨日、取材に協力してくれた高校の先生に御礼のメールを送ったら、こんな返信が戻ってきました。

遠藤先生

先生なかなかエモいこと書くじゃん。(←というようなクソ生意気生徒でしたザンゲ)
結局、人の根本部分というのは変わらず、僕は10代の当時と同じように、自分の身体とそしてチームとで作り出したものを、いま世に問うているのだと思います。情熱の真っ赤な薔薇を胸に咲かせよう、とブルーハーツが教えてくれた哲学と、少しだけ形を変えた方法で。


ちょうど折りよく、文中にもある小沢健二さんが10数年ぶりの新作を出した直後でもあります。
彼が先週のNHK SONGSで語っていたこと、(おそらくあいみょんとの出会いについて)ツイートしていたことが、「わかりあう願いをつなごう」そのもので、感激して、この先生のメールもあって自分ともつながって、やっぱり、人はいろんなものに影響を受けて、いろんなものがつながっていく中で生きていくんだな、とも実感しました。

「人と一緒に生きている中の偶然はかけがえがない」。「その中で一瞬、スロットマシンの目が揃うように、ガシャッと言葉が揃う。その時、宇宙を貫く何かが生まれる。」

いろんなものや人に影響を受けながら、わかりあう願いがつながる瞬間、日常の中にある宇宙を貫く何かが生まれる瞬間、それを増やすために今後もがんばっていきます。

そして、Mirrativというサービスは、ユーザーの皆さんがいないと何ひとつ成り立たない、ユーザーの皆さんが作ってくれているものです。テレビ見てくれた方やこれを読んでくれたあなたが、ただただMirrativというサービスを楽しんでくれたり、応援したり協働したりしてくれるなら、それはとても嬉しいです。いまむちゃくちゃ好きなそのゲームやその周りの人間関係、そのまま好きでいたらきっと人生のどこかでつながっていくんじゃないかな、と経験上は思うのです。僕らもこれからももっとがんばります。


いっしょにミラティブを作っていく仲間も常に探しています。
共感していただいた方、ぜひどこかで、いっしょに仕事をしましょう。それではまた。

Twitter:


追記: #ミラティブはワシが育てた 、見て感動しています。ユーザーの皆さん、これからもよろしくお願いします。

 

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