これで終わりですか?
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映画「ビフォア・ミッドナイト」(主演 イーサン・ホーク ジュリー・デルピー)
シリーズ1作目の「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離」を観たときには、あまり好い印象を持たなかった。少々展開が強引過ぎて非現実的というか、有り得ないなあと思ったのだ。
あと、出会ったばかりの男にいきなり身体を寄せてこられたら、「下心がパンツからはみ出している」感が満載のはずで、フツー女性はドン引きするでしょ、と。
それが、2作目の「ビフォア・サンセット」になると、なぜかこの世界観にハマってしまう。出演者は、イーサン・ホークとジュリー・デルピーのほぼ二人。何の展開もないまま、元恋人同士の会話が延々と続く。
普通なら馬鹿馬鹿しくて観ていられないところだ。がしかし、ウィットに富んだ二人の会話と、そぞろ歩くパリの美しい街並みが、観る者を飽きさせない。やがて、セーヌ川の流れのようにゆったりと物語が展開していたことに観ている者は気付かされる。
そうした前作の終わり方からすると、今回の二人はどんな設定にするのだろうと思っていたのだが、奇をてらう事無くド真ん中で来たという感じだ。
恋愛は結婚という形で成就してしまえば、あとは延々と続く日常が待っているだけだ。それはどうやら古今東西同じらしい。その現実の中では相手の粗だけが見えてしまう。それを上手くやり過ごすカップルもいれば、耐えられずに別れる二人もいる。1作目では若々しかった二人も今や立派な中年で、彼らのやや崩れかけた体型は現実感の演出だろうか──。
さて、このシリーズは本作をもって、完結編とするのだろうか。個人的には50代の二人も観てみたいし、60代の二人の会話も聞いてみたいと思う。
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