見出し画像

大きな果実を得たいのなら小さな拘りを捨てろ

館主JajaのオススメMOVIES
映画「OSLO/オスロ」(監督 バートレット・シャー)

東京の都心などで行われる最近の都市開発事業は、街区を統合・再編するなどして大規模化する傾向にある。当然、複数の地権者による共同事業となることが多い。

以前、とうてい合意の難しそうな二社間の共同事業をコーディネートしたことがある。合意が図られ、事業が成立すれば、二社で得られる果実(開発利益)は大きい。しかし、それをどう分け合うかで、意見は対立し、合意に至らないでいた。全体最適を目指しながら、議論はいつもそれぞれがそれぞれの部分最適に固執するのだった。

そこで、私も本作の夫婦と同様に、両社担当者による短期合宿を提案した。短い間とはいえ、目的を共有し、寝食を共にすれば互いに情が沸き、ある種の戦友になって合意点が得られるに違いない。そう思ったのである。

しかし残念ながら、その提案に対する賛同は両社から得られなかった。たしかに、両社の担当者が合宿を行えば、相応の合意は図られるだろう。だが、それをそれぞれの会社に帰って上司に報告すれば、いかなる妥協点も罵倒され、無能の烙印を押されてしまう──。サラリーマンである彼らは、それがどんなに危うい誘いか分かっていたのだ。

民間企業同士ですらそうなのだ。国や地域同士の争い、ましてや確執の深いイスラエルとPLO(パレスチナ解放機構)との間において、よくあのような場がセッティングできたと思う。また、それが懸念したとおりの紆余曲折があったにせよ、最終的にはトップ同士の合意に至ったことは奇跡としか言いようがない(そのオスロ合意から、この8月でちょうど30年である)。

私の関わったその共同事業はどうなったかって? それはヒミツです。

画像引用元 映画ナタリー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?