なぜラブライブ!といえば「Snow halation」なのか【蓮ノ空カバー企画に添えて】
前置き
ファラオ~(挨拶)
みなさん「Snow halation」といえば、どんな印象をお持ちでしょうか。
μ'sの楽曲でありとても人気のある楽曲、冬のイメージ、ラブライブには珍しいラブソング(諸説有り)などなど。
ライブ会場全体を照らすオレンジ色の景色が一番有名かもしれませんね。
先日開催されたラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 2nd Live Tour ~Blooming with ○○○~ その千秋楽である兵庫公演Day2にて104期 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブがμ'sの「Snow halation」をカバーする事が発表されました。
これは104期 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 「ラブライブ!シリーズ楽曲カバー」企画の第一弾ということで、今後さらに3曲公開されることが予告されています。
(5月度リンクラ生放送のなかで第2弾以降はユニットごとの楽曲カバーであることが明かされました)
配信で参加していた千秋楽当日、蓮ノ空が「Snow halation」をカバーするという情報を目にしたときの率直な感情は驚きでした。それはすぐに喜びに変わりましたが、一抹の不安も湧いてきました。
「よりにもよってスノハレなのか。大丈夫か、やれるのか蓮ノ空」
どこから目線なんだという話ですが、このようないらぬ杞憂をしてしまうほど「Snow halation」はただの人気曲にとどまらない、ラブライブ!シリーズにとって特別であり象徴的な楽曲です。人によっては軽々しく触れられない神域にもなりうるかもしれません。
昨年開催された「異次元フェス アイドルマスター☆♥ラブライブ!歌合戦」 Day2のクライマックスでお互いに預けあった楽曲が「Snow halation」と「M@STERPIECE」であることからも、ラブライブ!シリーズを象徴する楽曲は「Snow halation」であると言って良いでしょう。
(余談ですが、異次元フェスを「歴史的和解の瞬間」とか「特異点」と揶揄する声が多くありました。しかし「Snow halation」と「M@STERPIECE」をお互いに預けて歌唱するという事も含めてあの2日間のすべては、決してオタク特有の誇張表現ではなくそれくらいの出来事だったと思うのです)
(魂を預けあった仲ですので、アイマスの宣伝もさせてください)
学マス100万DLおめでとう!(アイドルにスモックを着せるのも伝統)
さて、このように当時μ'sをリアルタイムで追っていた私は色んな感情にジェットコースターのように振り回され、安全バーを求めてTwitter(現X)に手を伸ばしました。しかし意外にも(情報公開からこれまでも)私が杞憂していたような"お気持ち"にはほとんど出会いませんでした。
自分のTLだけでなく、エゴサをしてみたりググってみたりネットの海を彷徨っていると、
「初めて聞いた」
「なんとなく知ってるけどちゃんと聞いたのは初めてかも」
といった初見に近い声から、
「なんでラブライブといえばスノハレなの?SUNNY DAY SONGとかの方がそれっぽくない?」
という声にも出会いました。
それならばと、私がこの「Snow halaton」に抱く感情と文脈を多くの方に伝える事ができて、ラブライブ!の仲間である蓮ノ空の9人が「Snow halaton」をカバーする意味のようなものを感じてもらえれば、もっと彼女達18人の気持ちが届く人が増えるのかなと思い、初めてnoteの投稿ボタンを押してみたのです。
リンクラ生放送で花宮初奈さんがレコーディングのエピソードを語っていましたが、最終的には「言葉にできない」と溢れる感情を結んでいました。彼女が千葉公演でのMC中に「オレンジ色の景色」に言及したのもおそらくこの楽曲が無関係ではないと思います。
(ういちゃんの感情と文脈を共有したくはないか兄弟?)
前置きが大変長くなりましたが、ここからはなぜ「Snow halation」がラブライブ!にとって特別なのかを書き連ねていきたいと思います。
ですがこれは幸運にもリアルタイムでラブライブ!を追いかけたオタクの記憶をもとにした昔話であり、当時の出来事や風潮を考えると恐らくこうなのでは、という考察に近いものです。
そうだったのかもしれないね、と最後に感じて頂ければ幸いです。
そもそも「Snow halation」って?
またこの楽曲が持つ"特別なもの"の1つとして、
つまり「Snow halation」はμ's名義の楽曲としては「はじまりの楽曲」とも言えます。
これはファンのみならずキャストさんの口からも時折語られます。
(「僕らのLIVE 君とのLIFEは厳密にはμ's名義の楽曲じゃないんだよね、Snow halationが最初だね」という流れで話題になる事が多い印象)
ラブライブ!の楽曲については、大きく分けるとTVアニメ放送前にリリースされた楽曲(誌面企画時代)と、アニメ放送以降の楽曲です。
そしてTVアニメ放送前の段階で特に人気だったのが「Snow halation」と「夏色えがおで1,2,Jump!」です。
(……言い切ったもののあまり自信は無いです。アニクラでこの2曲はよく流れてた気がするので多分そうだと思うけどなぁ……)
季節感も夏と冬、楽曲の雰囲気も正反対ながらどちらも盛り上がる曲としてとても人気があったと記憶しています。
また「Snow halation」はμ'sの1stライブでもアンコール前のトリを飾っており、運営側としても人気のある曲、盛り上がる曲という認識はあったと思われます。
アニメ放送前にリリースされた2ndシングルの表題曲
μ's名義としては初めての楽曲
当時からとても人気があったよ
まとめると、当時「Snow halation」はこんな楽曲でした。
実はアニメで採用された既存曲って少なくて
そしてTVアニメ第1期が放送スタートし、ラブライブ!は瞬く間に大人気コンテンツへと成長していきます。良くも悪くも社会現象になったと言っていいのではないかと思います。
早速本題ですが、このTVアニメシリーズを経て「Snow halation」の文脈に重みが増します。
当時、アニメ第1期中盤くらいまで来たところで私(オタク達)は思いました。
「アニメ放送前の楽曲って使わない感じなのか……?」
アニメ放送前の段階でも楽曲はそれなりにありました。
そしてアニメの中で既存の楽曲を使っていくのかと思いきや、全て新曲。いや、全て素晴らしい楽曲だったのでそれはそれで嬉しいんですが。
第1話で真姫ちゃんが「愛してるばんざーい!」を弾き語りしてるので、こんな感じで劇中で歌われていくのかなーと思いきやそれっきりとは……
そんな中、ようやくμ'sが9人全員揃った第8話で披露されたのがラブライブ!はじまりの楽曲
「僕らのLIVE 君とのLIFE」
「そうだよな!9人いないと歌えないもんな!ならここから既存曲もバシバシやってくれるんやな!ぼらららMVも新バージョン作ってくれたしこれは他の曲も期待大やで!!」
はい、ありませんでした。
新曲ウマー。
第2期OPの「それは僕たちの奇跡」ってすごくいいですよね。期待感が無限に溢れてくるというか、すごくワクワクするというか。
長くなりましたが、つまりは既存曲の披露を望みながらも、新曲がことごとく良いものが出てくるのでそれはそれでウマい!でも既存曲も見たい!みたいな気持ちで追いかけていました。
そして第2期もストーリーが進み中盤へ。
ラブライブ!予選のために作る新しい楽曲のお話。
進む時間、近づく冬の季節。
第1期で披露された「僕らのLIVE 君とのLIFE」の記憶
私(オタク達)は思いました。
「まさかSnow halationをやってくれるのか……?」
第8話終盤、雪が舞い降り言葉を紡ぐμ'sの9人
次回予告「心のメロディ」
今風に言えば横転しました。
次回予告だけで得られる高揚感の極大値だったと思います。
そして翌週、約束された勝利の時がやってきます。万全の状態でその時を迎えられるよう、丁寧に丁寧に支度を整えるような構成。EDクレジットすら先出しし、何も遮るものはない状態での特殊ED形式をもって、待ちに待った「Snow halation」は披露されました。
そしてこれをもってTVアニメ放送以前の既存楽曲のうち、新規にMVが作られ劇中で披露された楽曲は「僕らのLIVE 君とのLIFE」と「Snow halation」の2曲となりました。
名義の違いはあれど、「僕らのLIVE 君とのLIFE」はまごう事無くラブライブ!のはじまりの楽曲です。9人になったμ'sが初めて披露する楽曲として採用されたのも必然でしょう。楽曲のキャッチコピーを鑑みても、ここで披露されなければ嘘というものです。(キャッチコピーは出典がわからないので、興味のある方はご自身の目で確かめてみてください)
しかし「Snow halation」はμ's名義としてリリースした初めての楽曲とはいえ、アニメ内で採用される必然性が薄い事も一視聴者として感じていました。元はといえばラブソングですからね。(アニメではそのラブソングを作ろう!というまさかの流れから制作されることになりますが……)
劇中のラブライブ!予選のために全く別の新規楽曲が出てきたとしても、当然の判断として納得できたと思います。
ですので、アニメにおける「Snow halation」の披露はある種のファンサービスであり、これまで応援してくれたオタク達へのご褒美だったのだと、私は勝手に受け取って喜んでいるのです。
そして「Snow halation」は楽曲自体の人気が高いことは疑うべくもありませんが、抜群に高い話題性も特徴です。その要因の多くを占めるライブ披露について、アニメでの採用や新旧MVと絡めて思い出語りをしたいと思います。
ライブでの「Snow halation」
結局「Snow halation」といえばこれなのかもしれません。
東京ドームを埋め尽くすオレンジ色の光はあまりにも有名な光景です。
YouTubeにある動画の関係でファイナルではありませんが。
今は各種配信サービスでライブの映像が見れるんですよね。いい時代です。
このnoteを書くにあたって過去のライブ映像を見返しましたが、1stライブではまばらだったオレンジ色の光も、2ndライブにあたる「ラブライブ! μ's New Year LoveLive! 2013」ではほぼ定着しているように見えます。
(開催日は2013年1月3日。アニメ第1期放送開始の3日前なんですね)
「あの風景の一部になれたことがオタクとしての誇り」
なんて言葉、聞いたことはないでしょうか。
大袈裟ではないと思います。私は残念ながらその光の1つになる事はできませんでしたが、もし叶っていたならば、辞世の句はこれだったかもしれません。ちなみに今なら「バイめぐ~」ですね。
ライブにて曲の落ちサビでオレンジ色を掲げる事、それ自体は現代のオタク文化において特別珍しいことではないと思います。
先日の蓮ノ空2ndでも多くの曲でオレンジ色が掲げられていました。ただ曲によってその数は多かったり少なかったりしますよね。
でも「Snow halation」ではほぼ全ての参加者がオレンジ色を灯します。(全員と言いたい所ですが)
それはなぜなのか?
なぜも何も、MVの再現である以上の理由は無いんですよね。
落ちサビで穂乃果の歌にあわせて灯る街路樹のイルミネーション。
どうぞ点灯してくださいと言わんばかりの曲調でさらにこんなMVまでお出しされたら灯すしかないだろ!という事です。
(蓮ノ空で言えば眩耀夜行がそれに近いのかなと。スノハレも当時は点灯ポイントで論争になる事もあり、そんな所にも伝統を感じています。スノハレの場合、MVを正確に再現しようとするなら「届けて 切なさには」の「は」で前方から順に、となるのですがまぁほぼ不可能なので……)
そしてここからは完全にオタクの幻覚ゾーンに突入していきます。
アニメでの採用により、MVもアニメ版の新作が披露されました。
衣装や背景など多くの雰囲気が2ndシングル版を踏襲されており、ステージセットだけがラブライブ大会予選ということで少し豪華になっています。
そして訪れます。私(オタク達)が愛してやまないあの風景が……
「UOだあああああああああああああああああ!!!!!」
ここまでで初めてUOという言葉を使いました。
今の時代に必要なものは各所への配慮だと聞いたので。
さて、2ndシングル版と比較してみましょう。
放送当時、多くのオタク達(主語デカ)が集団幻覚に陥りました。
「俺たちがライブで灯したオレンジ色が公式になった!!」
ちなみに上のライブ動画は4thライブにあたるμ's →NEXT LoveLive! 2014 ~ENDLESS PARADE~で披露された「Snow halation」であり、開催日は2014年2月、つまりTVアニメ第2期放送開始の2カ月前でした。
2ndで定着したオレンジ色の景色は、TVアニメ第1期や3rdライブを経て、もはや疑うべくもない定番であり伝統になっていました。
強火幻覚の弁明に戻ります。
もちろん皆がそう思ったわけではないはずです。ただ放送を受けてリアルタイムで語ったオタク達、ネットの海で観測したオタク達、とても多くの人が同じような事を言っていたと記憶しています。
そして事実がどうだったかなんて、案外どうでもいいものです。
私はアニメで示されたオレンジ色の景色も、ある種のファンサービスであり運営からのご褒美だと感じました。アニメ放映前から応援してくれたみんな、アニメから入って一緒に応援してくれたみんな、そしてライブに参加して素敵な景色を一緒に作ってくれたみんなへのささやかなプレゼント。
こちらが勝手に始めたことだけど、それを公式からもいいね!って言ってもらえたような、相思相愛になれたような、そんな幸せな気分になりました。そして私は「Snow halation」に更に強い思い入れを抱き、自分もいつかあのオレンジ色の1つになりたいと強く強く願うようになりました。
これが、私の中での真実です。
そして当時を知る、多くのオタク達の真実なんじゃないかなと思います。
繰り返しになりますが、事実どうであるかなんて関係ないんです。
色々あって当時みんなでめっちゃ盛り上がって、すげーいい思い出があるんだあの曲!という事に尽きるんだと思います。
何で杞憂民の顔が出てきたの?
結びの前に少しだけ。
あまり良い話ではないので手短に済ませますが、じゃあなんで「蓮ノ空がカバーして大丈夫?」なんて発想になるのかという事です。
最近あった出来事でいうと、伊達さゆりさんの件が近いと思います。
「声優伊達さゆりとして一人前になって、胸を張れるようになるまで、秘密にしておきたかった。叔父さんの力を借りるようなことはしたくなかった」
つまり今の104期蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブには、μ'sの「Snow halation」をカバーしても引けを取らないという世間の認知があるのだろうか?「先代の大事な曲の人気にぶらさがっている」と思われないだろうか?という事です。
私自身それに足り得るという確信はありましたが、蓮ノ空に熱狂している我々より遠くから見ている人たちはどう感じるんだろう、そう少しだけ心配になってしまったのです。
はい、あんまり良くないこと言うのは終わりです。結局杞憂のようで安心しました。
ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブが「Snow halation」をカバーするということ
最後に、蓮ノ空の9人がμ'sの「Snow halation」をカバーするということについてお話をして、思った以上に長くなってしまったこの思い出話を終わりたいと思います。
前段で発表時に感じた「心配」の話をしましたが、一番最初の感情は「驚き」でした。「よくそこに手を出そうと思ったな!?」というのが率直な感情です。
しかし今思えば「Snow halation」をカバーしようと決めた人も、「今なら大丈夫」という確信があったのではないでしょうか。もしかしたらこのプロジェクトを始めたときから、「Snow halation」をいつかカバーするという目標があったのかもしれないなんて、今は考えてしまいます。それはなぜか。
μ'sがライブ等の最前線から退いて久しい今、μ'sの楽曲は披露される機会がほとんどないまま神聖な場所に大切に大切にしまわれています。
キャストやグループとしてのμ'sの神性はだいぶ緩和されたように感じます。時間の経過もあるのでしょう。(みんなもいいとしだしね)
みらくら補習室に来てくれたえみつんもざっくばらんに国宝級のエピソードを惜しげもなくバラまいてくれました。
ですが楽曲となれば話は別、特に同じラブライブ!の他のグループがμ'sの楽曲を披露する姿は、未だ想像できるものではありません。
ですが蓮ノ空はこれまでのラブライブ!作品とは時間の流れ方も、存在する次元も違うという異色な作品です。
上記の”歌ってみた動画”というものがそれを端的に物語っていると思います。私達とも違う次元を生きる彼女達ですが、現実世界から半歩ズレたバーチャルという世界で確かに存在し、私達と同じく今この時を生きるスクールアイドルなのです。
ですから、これまで不可侵の存在であったμ'sの楽曲に「歌ってみた」という形で触れる事ができる。
この動画は、YouTube上に数多く存在するμ'sの楽曲の "歌ってみた" "踊ってみた" 動画の一つにすぎないのでしょう、彼女達側の世界から見れば。
ただし私達の世界から見るならば話は別。ラブライブ!作品がμ'sの楽曲に触れるという事にはとても大きな意味があります。
蓮ノ空という作品に触れて間もなく、YouTube上に「僕らのLIVE 君とのLIFE」の"歌ってみた"動画を見つけた時の衝撃は今でも覚えています。
「バーチャルスクールアイドルってそいう事か。こんな事が可能なのか」
締めのお話が長くなってしまいましたが、つまりはバーチャルでリアルな彼女達を通じて、神聖な場所に安置されてしまっているμ'sとその楽曲達を今の時代に引っ張り出してこよう!また皆で歌おう!あの時の思い出とともに!
という事なのではないでしょうか。
勿論これは蓮ノ空の特異性だけで成るものでは決してないと思います。
μ'sというあまりにも大きすぎる存在と、ラブライブ!という大きくなりすぎた看板を背負って走ってきた、多くのスクールアイドル達がいます。
彼女達の今日の輝きと、彼女達の努力と苦悩の一端を知る私達がいます。
そして一時は神聖なモノとしてしまい込んだこともありましたが、今はどうでしょうか。
「もう一度、あの楽曲たちを。あの思い出たちを」
そう思っている人、そう願えるようになった人、きっとたくさんいると思います。
そんな願いを叶えるためのキッカケが蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブであり、バーチャル世界から彼女達が送る「μ's 「Snow halation」 /蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブが歌ってみた」なのではないでしょうか。
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