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ドット絵で学ぶ色と光

これはドット絵アドベントカレンダー15日目の記事です。12/1から12/25までドット絵に関する記事が毎日投稿される企画。裏ドット絵アドベントカレンダーもあります。

はじめに

こんにちは。じゃがいもです。普段は風景のドット絵を描いています。嘘です。最近は「普段は」と言えるほど描いてません。

この記事では、光の話や配色の話などをしていこうと思います。全然ドット絵に限った話ではないのですが、僕はドッターでありこの記事ではドット絵を使って説明をするということで、ぎりぎり「ドット絵の記事」の範疇に潜り込もうと思います。

僕自身全く詳しいわけではなく、聞きかじっただけの話を受け売りで書きます。あくまで「こんな考え方があるよ」という紹介の記事なので、あまり鵜呑みにせず、ちゃんと知りたかったら調べてください。予防線を張り終えたので本題に入ろうと思います。

固有色について

物それ自体が持つ固有の色のことを、固有色といいます。りんごの赤とか、木の緑とか、そういうことです。でも、絵を描くときには、赤ではない色でりんごを、緑ではない色で木を描くことがあります。

例えば、下の画像を見てください。

嘘すぎますね。

これは、僕の『夏が終わる前に』というドット絵で使われている色たちです。上のように実際には黄色でも黒でもない色で踏切を描いていますが、ギリ自然に見えていると思います。ギリだけど。見えてなかったらごめん。

なぜ固有色とは違う色を使って描くのかというと、大きく分けて「光などの影響で、実際に固有色とは違う色に見えているから」「絵の雰囲気をコントロールするためにをついているから」の2つに分けられると思います。前者についてはこの記事の「いろいろな光源での物の見え方」や「空気遠近法」などの項で、後者については「配色」の項で説明していきます。

いろいろな光源での物の見え方

みなさん、物がどうして見えているかご存じですか。僕は知りません。

真っ赤なチューリップ、青い空、緑の木の葉。私たちの周りには、色があふれています。そもそも「色」とはどのようなものでしょうか?

太陽や電球などは、それ自体が光を放っています。ですから、太陽や電球の「色」は「光の色」だと言えます。光の色は、「光の三原色」と呼ばれる、赤、緑、青の組み合わせで作ることができます。

では、光でないものの色はどうして見えるでしょうか。実はものが光を反射した色が見えているのです。真っ暗な部屋では色が見えないどころか、ものの形も分かりません。これは、物体が光を全く反射していないからです。外に出て、月明かりなどの弱い光がある場所では、ものの形は分かりますが、これは光が十分に反射できないため、色までは見分けられません。

光を十分に受けると、物体の色が見えます。この色は、その物体が反射している光の色です。たとえば緑の木の葉は、太陽や電球の光を受けると、その光のうち緑色の光だけを反射します。それ以外の色の光は物体が吸収してしまうのです。こうした反射光が私たちの目に届いて、「色」として見えています。

色ってなに? | キヤノンサイエンスラボ・キッズ - Canon Global

ということらしい。

色というのは基本的に、光源からの光を反射することで見えています。なので、物体の色がどう見えるかは固有色だけではなく光源によって左右されます。

例えば、固有色が緑色の物体に白い光を当てるとどうなるでしょう。白い光はあらゆる波長を含んでいる(加法混色です)ので、物体は白い光のうち緑の光を反射し、僕たちの目にも緑色が映ります。しかし、暗い部屋で赤い光しか光源がない状況になると、緑の物体は暗い灰色にしか見えません。

ということでこの項では、状況や時間帯やごとの光源の特徴、それによる物の見え方などを紹介していこうと思います。

・昼間

晴れた日は、太陽からの光が主な光源になります。太陽の光は白ですから、太陽光が直接当たる光面では固有色がそのまま表れます。
太陽光以外で主な光源となるのは、太陽光が青空に反射し拡散した光です。空全体から青い光が届くことになるため、直射日光の当たらない影面の色は青っぽい色になります。

豆腐 in 草原

晴れた昼間は、太陽からの強い光が当たるため、光と影のコントラストが一番強くなるのが特徴です。
光の色は、真っ白ではなく若干黄色っぽくしてみてもいいと思います。

僕の絵でいうと、この絵なんかが晴れた日の感じをよく出せてる気がします。道路に落ちる影などが青色になっているのがわかると思います。

・夕方

昼間の場合と基本的な考え方は同じです。
太陽から届く光は暖色系の色になるため、光面もそういった色になります。影色は、空の東側、暗くなった部分の色が反映されるため、赤紫~青っぽい色になります。

あと、当然ですが影が長くなります。僕は今忘れかけてました。

僕の絵でいうとこんな感じ。これはまだ比較的早い時間帯で空の色は青いので、影面も紫ではなく青色になっています。

・夜

描いたことがないのでわかりません! 夜は暗いから、難しい。
月光は弱いので、夜の風景を描こうと思うと多分街灯とかが主な光源になると思います。
太陽光が光源となる場合は、一方向から真っ直ぐに進む単一の光源を考えればいいのですが、街灯などの人工の明かりはもう少し面倒になります。

「光の方向」ではなく「光の位置」を意識して描くといいんじゃないでしょうか。

・曇天

描いたことがないのでわかりません! でもなんか曇りの日って影がなかったりしますよね。完全にないわけではないんですが。雲の層が太陽の光を拡散して、空全体からまんべんなく光が注ぐので、一方向からの光というのが存在しません。光と影のコントラストも弱くなります。

・室内

室内では、主な光源は照明の光窓から差し込む光です。
まず照明の光についてですが、これは「夜」の項で書いた街灯の光と同じような考え方でいいんじゃないでしょうか。どうなんでしょう。
次に、窓から差し込む光についてです。窓から直接日光が差し込んでくる場合は、なんというか「窓から差し込む日光」然とした感じになります。何を言ってるんでしょうか。

ちなみにこれはあんまりよくない例です。なんかわかんないけど多分間違ってます。わかんないけど。「直射日光のわりに明るさが出ていない」「床に落ちる光にカーテンが反映されていない」あたりが原因な気がします。

直射日光以外だけでなく、さきほど書いた「青空からの光」も窓からの光となり部屋に影響を与えます。なんか部屋が青っぽくなります。

また、窓を描くときに気を付けたいのが室内と室外の明るさの差です。人間の目は明るい・暗いに適応しやすいので普段はそこまで気になりませんが、太陽の光はとても強いので、部屋の中から外を見るとかなり明るく見えるはずです。

この絵では部屋の明かりがついていませんが、明かりがついている場合でも室内と室外では明るさに差が出ると思います。

空気遠近法

遠近法というのは、絵の中で遠近感を表現するための手法のことです。大きさで奥行きを表現する線遠近法(透視図法)が代表的ですが、大気の性質を利用して遠近感を表現するのが空気遠近法です。

遠くにある物を見るとき、視点と対象物の間には分厚い空気の層を挟むことになります。この空気の層によって、遠くにある物ほど淡く青い色に見えるという現象が起こります。これはあんまり正確ではない説明っぽいので、厳密な説明が知りたい方はちゃんと調べてください。とりあえずは、遠くなるほど「青みがかる」「空の色に近くなる」「淡く、コントラストが弱くなる」くらいのことを覚えておけばいいんじゃないでしょうか。

具体的に、このことが一番わかりやすい例は山でしょう。

こんな感じで、遠くの山ほど淡く青く見えると思います。

配色

この項では、絵を魅力的に見せるための配色の話を書きます。前までの項よりは、はっきりとした根拠のない主観的な話にはなると思います。

・好きな色使いを真似する

いい色を使うためには、まず自分が好きな色を知る必要があります。「色使いが好きだな」と思う絵を保存し、それをペイントソフトなどで開いて、スポイトツールで色を分析してみましょう。

分析のやり方の例として、試しに僕の絵の配色を見てみます。

この絵の場合、まず色相でいうと、主に若干緑みがかった青で描かれていますね。それに加えて、夕焼け、カーブミラー、肌などの部分にごく低彩度の赤紫が使われています。

この2色以外は使われておらず、全体としてほとんど2色の明暗差・彩度差のみで描かれています。

明度、彩度に関していうと、明度が低い色ほど彩度は高くなっていく傾向があります。

こういう感じ。明度と彩度を選ぶ四角のやつ(名前を知らない)でいうと、左上(高明度・低彩度の領域)から右下(低明度・高彩度の領域)にかけての線上にほとんどの色が並ぶことになります。

また、高明度の白、低明度の黒、無彩色のグレー、鮮やかな色のどれもが使われておらず、全体的に中明度・中彩度でまとまった配色になっています。

……みたいなことをやってみましょう。他人の絵で。そうして「自分の好きな色使いの絵」に具体的にどんな色が使われているのかを知ることで、自分でもその配色を使うことができるようになるはずです。

見るポイントとしては、例で書いたような「色相でいうとどの辺りの色が主に使われているか」「同系色でそろえているか、カラフルな色使いか」「明度・彩度でいうとどの領域が使われているか/どの領域が使われていないか」あたりを中心に、人によっていろいろかなと思います。あとは、「この色の組み合わせ好きだな」とか「この空の色いいな」とか「肌はこの色で描いてもそれっぽく見えるんだな」とか、そういう所までどんどん真似していってもいいと思います。配色に著作権はないので。

・色ラフを描いてみる

ドット絵を描き始める前に一度、色ラフを描いてみるといいかもしれません。

この絵を描くときに描いた色ラフが、

これです。色さえわかればいいので、これくらい雑でも別にいいと思います。この時点でさきほど書いたような配色がだいたい決まっていますね。

描きながら漫然と色を決めていくのではなく、描き始める前にざっくりとどんな色を使うかを決めておくことで、最終的にどんな雰囲気の絵になるかというのをコントロールできると思います。

おわりに

書き足りない部分はありますが、15日になってしまったのでこれで終わりにして投稿しようと思います。

光についての知識のほとんどは、『カラー&ライト リアリズムのための色彩と光の描き方』と『ピクセルアートではじめる背景の描き方』を参考にしています。

『カラー&ライト』は、光や物の見え方について理論的に深く解説されている本です。なんか絵が上手い人全員読んでます。

『ピクセルアートではじめる背景の描き方』は、アンチエイリアスやタイルパターンなどのドット絵の技術から、パースや構図、光や配色まで、背景ドットの描き方について網羅された本です。"全部"が載っています。

両方買いましょう。

それでは。

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