違う船

良い年になって、会社勤めが板につき始めた頃、また花は蕾になり始めた。
もう何年も過ごしてきたこの季節に、やはり痛烈に時間の進みを感じてしまいます。

最近になると、あの頃は、とよく考えるのですが、もはや、大人になってしまったと感じえないのです。
昔は20代の半ばなど、大人だなぁ、とか、もうそんな歳なんだぁ、とか思っていたが、今ではもうあの頃は、と思うようになったのです。
お金も無く、どうやって楽しむのかを追求する日々が楽しく、今のように、ある程度のものでしか満足できず、そして、それを超える勇気など持ち合わせなくなりました。

拝啓
遠くに行ってしまった人達
私はここで錨を下ろして待っています。
次はこっちに行ってください、次はあの方向へ、いや、ちょっと待ってください
と、どこかの不定期の商船のように、うろうろとそこら辺を漂っています。

拝啓
もうあの頃の酒では笑えなくなった人達
あの船の中で私たちはタダで飲める、質の悪い酒では笑えなくなってしまったようですね。
でも、こちらそれなりにやってます。
まだ私はその質の悪い酒を美味しい美味しいと飲んでいますので、心配はいりませんよ。
気にせず進みなさい。

拝啓
この船の中でふんぞりかえってる人へ
あなた達は、私なんかより勤勉で、それでいて真面目なのが不幸してそのようになってしまった事は分かっています。
経済新聞を読むあなた達の前で、私はTwitterで知った、マリリンマンソンがレーベルから契約解除されたことが、何よりもの驚きと感心でした。そして、あなたがそれを知らないのはよく分かっているので、これ以上口を開く事はありません。

ご存知ないようですが、今は私たち、星の見える方へ舵を取っている途中です。

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