3人の女性

 ある男と女に、可愛らしい女の子が3人生まれた。

 時を経て、両親、あるいは、本当の父ではない人が、彼女たちが、20歳を過ぎた時
「一人暮らしをしなさい。」
 と、言った。
 彼女達は外へ出た。
 三女は、多くの男達の家を渡り歩いた。彼女は面食いで、軽薄そうな男を囲い、夜な夜な飲み歩いていた。そして、街では大きな顔をして闊歩し、ネオンの街に消えていった。家に帰ることは、仕方なく少なかった。
 あるその中でも冴えないが、大柄な男が他の男達を突然殴り出した。
「か、彼女は!!俺のだ!!う!く!うわ!!」

 三女はそれが怖くなりその街から逃げだした。2,3日は彼が怖く、寝れなくなっていた。

次女「なにしてんのよ、あんた。見る目がないわね。」

 そう言って、次女は逃げてきた三女を家に匿った。
 さて次女はこの家を自分のお金では借りていない。彼女は、それが当たり前だと思っていた。一度、スーツをしっかり着た男に懇意にされ、初めてを捧げたあげく、彼女はそれに抵抗がない。

 その男のことを、ある日を堺に避けている。それは、彼がなかなか名前をつけるのに非常に参る人であったので控えさせていただきたい。
 ある日『ドンドンドン!!』と大きな音を鳴らして、その家のドアを叩く。なんなら、「おいこらぁ!!おるんわかってんぞ!!」と、大声をあげている。次女も三女も身を震わせている。いつのまにか、二人して布団に体を隠していた。
 夜明けには、その音は止んでいた。いつ記憶を飛ばしたのかわからないが、二人して安堵した。
次女「このままじゃ…。ダメね。」

 二人して長女の家を訪れた。『ピンポー…ン。』という虚しい音に、二人は(もうダメかもしれない)と思った。
長女「はーい。」
 と、何もない安心感を覚える。実はあーだこーだと述べる私たちの言葉を、「うんうん。」と、聞くばかりであった。

 さてその長女とは、平和を愛し、正義に身を捧げ、今では旦那との間に3人の姉妹ができた、幸せそうな家庭である。しかしながら、彼女は全盛期ほどではないが、今でも、とある派出所で警察官をしている。
長女「まず一つ言わせて。あなた達は何がしたかったの?そうやって、あなた達は人生の一片を、何の気無しに失っていくのね。かわいそうに。」
 妹達はもう何も言えなかった。彼女の言うことは、何よりも暴力的だった。助けを求めたのに、1番の暴力をもらった気がした。しかし、彼女は妹達の事を思って言っている事だとは気づいていたので、とても複雑な思いだった。子供達の寝息だけが部屋を包んだ。
 その時だった。旦那、彼も警察官だが、が帰ってきたようだった。ドン!バタン!!と音が聞こえて、
「おい!帰ったぞ!」
長女「あ…は、はーい。」
「お前…俺が帰ってきたってのにさ…何やってんだ!」
長女「きゃ!!」バタン!
「俺が稼いで来ねぇと生きていけないくせに…なにのんびりしてんの?」
長女「ご、ごめんなさい…で、でも、今日は妹達が…。」
「はぁ?なに?聞こえない。」
長女「や、やめて。」
 遠くから子供達の泣き声が聞こえ出した。起きてしまったのか。
長女「ほ、本当に…本当にやめて!!」
「あ!」ドン

 遠くが子供達の泣き声だけが聞こえ出した。それから長女はゆっくりとした足運びで、子供部屋へ行った。
長女「よーしよーし。パパが帰ってきたのよ…。びっくりしたねぇ。もう大丈夫よ。」
 と、あやす声が聞こえる。ものの数分後には泣き声は止み、不気味な静けさが側を歩いていくようだった。すると長女は、もうすでに側に立っていた。
長女「…あなたたち。」
 妹達は次の言葉を待った。
長女「…ここには好きなだけ居てくれていいからね。」
 狼は去っていったのだと、安堵する中、ほのかに血の匂いがした。

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