目の裏の金のざらざら

目を瞑ると、そこには金色に光るざらざらがあった。右側だけの、また、左側にあった。殴られた時にあったのとは違う。ただ眩しい何かがあった。

あれには名前はない。名前などあってはたまらない。あんなメリーゴーランドのような景色は、目を瞑っても味わえはしない。ただ、幾ばくかの"あぁ私は生きているのだ"という快楽なぞに、地獄の底まで引っ張られはしない。掴めそうで掴めないあの光は、ずっと遠く、ずっと近い。その遠近感を失わせるような、その存在こそが、私にとって悪魔だったと言える。いや、それは私の見解であって、責任は取れないのだが。
誰かには天使の輪にみえたかもしれないな。と、深くため息をつきたくなる。しかし…掴めないものは、悪魔だと信じることで、心が救われることもある。私は信じていないが。

目を瞑ると、そこには、ただ、ただただ、金色のざらざらがあって、そこから目を開けることが、ただただ、辛いということだった。

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