過去1年間のNFTブームの振り返り
こんにちは!インターン生の早舩です。
先日は、Twitterのフォローワーの方々の関心領域に関するアンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました!
今後も継続していくつもりなので、是非投票お願い致します😆
投票1位は…
今回のアンケートはなんとWeb3と食の同率1位!
どちらを取り上げるか正直迷いましたが、運営側の関心もあり、Web3を今後しばらくのテーマとして掲げさせて頂きます!ツイート内容もWeb3関連を多めにしていくので是非チェックしてみてください。
今回のNoteの題材はNFT!!
さて、2021年に界隈を賑わせた言葉としてNFTは外せませんよね!
Non Fungible Token (NFT)という意味不明なワードが逆にその神秘性を駆り立てて、私も必死に調べた思い出があります。
しかし最近はそんなNFTブームも一山超えて、落ち着いた状況であると考えられるので、ここで過去1年間のNFTブームの進退をおさらいして見ようと思います。
*NFTをあまり知らない方へ
今回の記事はNFTについての詳しい説明は行いませんので、NFTをあまり知らない!という方は是非「NFTの教科書」という本を読んでみてください!NFTについての網羅的な知識がつくと思いますのでオススメです。
それでは早速本編に入っていきましょう!
今回の記事のポイント!
2021年・2022年のNFTブーム概要
まず今回のNFTブームの概要を把握するために、NFT全体の売上高、取引数、Googleのワード検索数をそれぞれ見てみましょう。
NFTの売上高
まずはNFTの売上高です。
以上のグラフが示すように、2021年8月に大きく数字を伸ばし、以降も比較的好調な数字を記録していましたが、2022年6月(先月)にて売上高が大きく落ち込んだことがわかります。そして7月も執筆時点(18日)までの数値を見てみると、6月と同じく低迷している状況だということも読み取れます。
NFTの取引数
次はNFTの取引数を見てみましょう。
売上高と同じく、2021年8月に大きく数字を伸ばしていますが、2021年12月以降は下落トレンドにあるということも読み取れるかと思います。
2021年8月に何が起こったのか?
以上の2つのグラフを見ても、特に2021年8月の上昇が目立っています。
より詳細に調べるために、NFTのジャンル別売上高と取引数・NFTのGoogle検索回数のグラフを見てみましょう。
ジャンル別売上高
大きな特徴として、2021年8月において、Collectibleの数値が大きく伸びている事がわかると思います。Collectibleとは、コレクション性のあるもので日本語で収集品と訳す事ができます。では一体Collectibleにおいて、どのようなNFTが売れていたのか少しピックアップしてみます。
①Bored Ape Yacht Club (BAYC)
・イラスト
・説明
イーサリアムを利用して作成されており、バリエーションの違う猿のイラストが10,000体生成されています。また、BAYCはジェネレーティブNFTというプログラミングで機械的に生成されるNFTであり、同じものはひとつとしてありません。購入者として、関口メンディー氏やジャスティンビーバー氏など著名人の名前が連なっています。
・価格推移
少しわかりづらいですが、昨年の8月末に大きく売上高が増え、価格も上昇している事がわかると思います。また、驚いたことに、現在でも高価格帯を維持しています。
②Mutant Ape Yacht Club (MAYC)
・イラスト
・説明
Bored Ape Yacht Club(BAYC)の猿が突然変異したというコンセプトであり、BAYCに引けをとらないほどの人気となっています。イーサリアムを利用して作成されており、バリエーションの違う猿のイラストが20,000体生成されています。
・価格推移
このNFTも昨年の8月に売り出され、現在も高価格帯を維持しています。
実際に2021年8月に売れたNFTを2つ紹介しましたが、この2つの売上高の合計額はCollectible全体におけるほんの一部です。当時は様々なクリエイターがNFTを出品し、驚くような価格で取引がなされていました。まさにバブル的という表現が近いかもしれません。
ジャンル別取引数
次に、ジャンル別取引数のグラフをみてみましょう。
このグラフを見てみると、大きな特徴として、2021年8月においてGameも大きく伸びている事がわかります。これも1つ有名な2021年を風靡したNFTゲームが存在するのでご紹介します。
①Axie Infinity(アクシーインフィニティ)
・公式サイト
・説明
Play to earn という言葉をご存知でしょうか?
このAxie Infinityはゲームをしながらお金を稼げるPlay to earnという何とも素晴らしい要素を含んでいます。結果として、ユーザーは軒並みに増え、1日のアクティブユーザー数が280万人を超えるなど、大きな盛り上がりを見せているゲームとなっています。ただ、現在はハッキングを受け、セキュリティの懸念からユーザー数が減り、ゲームとして稼げなくなって来ているという情報もありますので、勢いは当時ほどではないかもしれません。
NFTのGoogle検索回数
最後にGoogle検索です。
確かに2021年8月付近で数字を伸ばしているものの、2022年2月付近の上昇が目立ちます。しかしそれ以降は落ち着いている状況が続いています。
Google検索回数はなぜ2022年2月付近でピークになったのか
これは一見矛盾したデータのように思えます。2022年2月付近において、NFT市場は下落トレンドにあるのにも関わらず、検索回数はかなり大きく伸びています。更に、ここには載せませんが、「bitcoin」などのNFT関連の検索回数はそれほど伸びておらず、NFTだけが一人歩きしているという現象も発生しています。
結論から言うと確信を持ってこれといった原因は考えられませんでした。
ただ可能性として、この期間に多くの署名人や企業がNFTプロジェクトを発表したという理由は考えられると思います。
例えば、メラニア・トランプ前大統領夫人・Adidas社・バスケットボール界のレジェンドであるマイケル・ジョーダン氏などがこの期間にNFTプロジェクトを発表しています。
NFT市場に影響を与えた金融政策
今回のNFTブームは、NFT自体の新規性に起因する部分もあったと思いますが、一方でコロナ禍における各国の金融政策も影響していると考えられるのでご紹介します。
市場を押し上げた金融緩和
2019年にコロナ禍によるパンデミックが襲来し、FRBなど各国の中央銀行は前例のない量的緩和に踏み切りました。なんとその合計額は12兆ドル!!
このような量的緩和の結果、溢れたマネーの大半が暗号資産やNFTに流れ込み、バブル染みた現象が起きたというストーリーは十分に考えられると思います。
参考:米国10年債利回り
2016年から2018年にかけてFRBは利上げを行っていた影響で、コロナ前からドル不足だったという状況もあり、FRBは前例のない量的緩和を実施。
市場を衰退させた金融引き締め
以上のように、パンデミックによって量的緩和を実施した後、各国は当然出口戦略を打ち出すようになってきます。このような金融引き締めが最近のNFT市場に大きく影響を与え、下落トレンドになっていると考えられます。
考察
1つの考察として、このNFTブームは金融緩和の影響が強いのではないかと考えることができます。もし、NFT自体の価値が認められ、安全資産として広がっていたなら、金融引き締めの影響は小さくなるはずです。
私個人の直感としても、米ツイッターのジャック・ドーシーCEOの初ツイートが約3億6600万円もの値が付くニュースを見て、少し行き過ぎではないかとは思っていました。ちなみに現在の価格は100万円弱らしいです。
今までのバブルのおさらい
NFTにバブル要素があったのでは?と言う問いに対し、少し歴史を振り返ってみようと思います。ここでは個人的に少し似てる要素があると考えらので、1999~2000年頃にアメリカを中心に起こった、ドットコムバブルを取り上げます。当時のインターネットブームによってインターネットが人々の生活やビジネスを一変させるという期待感を生み出し、やがて熱狂を生み、事業の実績や収益などの裏づけの無い企業でも莫大な額の資金を調達できたとういう状況が形成されました。しかし2000年3月付近にピークを付けると一転して暴落を始め、バブルは崩壊してしまいます。
参考:S&P500指数
米国の代表的な株価指数であるS&P500指数の2000年付近のチャートです。
1999年辺りで大きく上昇しましたが、2000年を過ぎると大きく下落している事がわかります。
ドットコムバブル崩壊の教訓として、新しいテクノロジーの可能性に熱狂するあまり、投資リスクを矮小化させるような考え方をするとバブル崩壊に繋がりかねないという事があります。今回のNFTを巡る環境はどうでしょうか?NFTという新しいテクノロジーの可能性に熱狂し過ぎているという側面はどのくらいあるのでしょうか?答えが欲しい所ではありますが、今回の記事はNFTがバブルであるか否かを問う記事ではありませんので、この辺でストップさせていただきます。ただ、バブルか否かという答えを求めるよりも、バブルのリスクを知った上で市場を見るという事は非常に大切な観点だと思っています。
そもそもNFTの価値の見直し
さて、NFTの内包する価値を正しい方向で広げていかないかぎり、バブル的な価格高騰や規制による反動は避けられません。よってここでは今一度NFT本来の価値について考えて行こうと思います。
よくNFTはデジタルデータに「鑑定書」をつけたようなものとして例えられます。今回はその「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」としての価値を所有価値と利用価値の2つに分類してみました。
NFTの所有価値
所有価値は文字通り、持っているだけで価値があるものを表しています。そして、NFTの場合は投機的価値とコレクション価値に更に分けられると考えていますが、今回フォーカスしたいのはコレクション価値としてのNFTです。皆さんは何かのコレクションをした事はないでしょうか?私は切手コレクションを昔行っていましたが、意外と楽しいものです。理由は特にないのですが、珍しい切手や好きな柄の切手をなぜか集めてしまうのです。しかし現在はその切手ブームも去り、倉庫に眠っています。しかし偶にせっかく集めたのにも関わらず倉庫に眠っているのは勿体無い!と思う時があります。
そのような悩みを解決するものがNFTだと思っています。NFTはデジタルデータであるという事が最大のメリットです。デジタルデータということはインターネット上で気軽に公開する事ができるので、ソーシャル性を持つことになります。現状の例で言うと、Twitterのアカウントのプロフィール画像のように、他人に見せる事ができます。そのようなソーシャル性を持つことによって、自己表現としての所有価値が生まれます。確かに、私は切手コレクションを友達に見せて心配された経験がありますが、何か自分のアイデンティティが出たようで満足感に浸っていたような気がします。
NFTの利用価値
さて、次は利用価値ですが、これはただ単に所有するだけではなく、NFTを(農業における鍬のように)利用する際の価値を表しています。この場合はどのような価値があるのでしょうか?NFTは実際、音楽・ファッション・スポーツなどのジャンルで非常に幅広い用途があり、発展途上である事を前提に、私はメタバース(ゲーム)空間でこそ真価を発揮するのではと考えています。先ほど、農業における鍬のようにと例えましたが、実際メタバースで農業をする場合を考えてみてください。鍬が欲しいですよね。その場合、鍬を購入する必要があると思いますが、現実における商品のシリアルナンバーのように、そこに唯一無二としての鑑定書がついていた方が、価値として保証されやすいと思っています。ですので、もしメタバース空間で金銭のやり取りを含むような経済圏が生まれた場合、NFTは必ず必要になってくる技術だと考えています。
最後に
今回の記事は、NFTの現状俯瞰というテーマで書きましたが、現状は毎日変わっていくと思います。NFTはアートと同じく、価格設定が難しく人の直感で判断される場合も多いので、この先も注目されるNFTが出てくると、また再び投機熱の強いマーケットに戻っていくかもしれません。私個人としては、このような不確定情報が多いマーケットを、知り合いと議論していきながら楽しみたいとも思っています。
※本記事の内容の一部は、信頼できると考えられる公開情報に基づき作成しておりますが、その正確性を保証するものではありません。また、記載した見解は、必ずしも会社の立場、戦略、意見を代表するものではありません。掲載された内容によって生じた直接的、間接的な損害に対しては、責任を負いかねますので、ご了承ください。
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