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【📈時価総額世界1位を奪還】生成AI起点に再成長 | Microsoftの投資動向調査📖

はじめに

生成AIが世界を変革へと導いています。2022年11月30日に一般公開後、当時史上最速となるわずか5日間での100万ユーザーを達成した「ChatGPT」が世界に衝撃を与え、空前の生成AIブームが到来しました。そのブーム到来前からOpenAIに投資し、世界の時価総額ランキング1位にもなったMicrosoftの投資動向について調査しました。

世界の時価総額TOP10(単位:1兆USドル)
companiesmarketcap.comの公開情報(2024年4月3日時点)を基に筆者作成

Microsoftは2024年1月12日、約2年ぶりに時価総額首位を奪還。
同社は、19年7月にOpenAIへ10億ドルの投資(2019年7月)をしています。
これを皮切りに、OpenAIとの資本関係を基盤とする生成AI領域での事業展開を進め、GAFA等巨大企業を抑え、世界1の企業に返り咲きました。

■2020年5月:OpenAIと協業し、次世代の超大規模 AI モデルとインフラストラクチャの構築に向けたスーパーコンピューターを公開
■2022年6月:子会社のGitHubがOpenAIの技術を活用したコード提案機能「Copilot」の一般提供を開始
■2023年1月:MicrosoftのAzureにOpenAIのGPTモデルを連携したAzure Open AIサービスの一般提供を開始
 ※Azureはサーバーやネットワーク等のITインフラの利用及び人工知能の機械学習など様々な開発業務を可能にするクラウドサービス
■2023年1月:Open AIへの数十億ドル規模の追加投資を発表
■2023年11月:Microsoft 365 Copilot(WordやExcel、PowerPointなどのMicrosoft製品に対してOpenAIの技術搭載)をリリース

参照:Macrotrendsのデータを基に筆者作成
参照:Macrotrendsのデータを基に筆者作成

直近のスタートアップ投資

Microsoftは、昨今のOpen AI、そして2000年代のFacebook(現 Meta Platforms)投資等を例にみる様に、これまで世界を変革するベンチャー企業に投資を行ってきました。

では、今同社が注目しているのはどの様な企業なのでしょうか?
直近の投資事例をピックアップしました。そこからスタートアップトレンドを紐解きましょう。

Figure AI

事業概要:ヒューマノイドロボット開発
発表日:2024年2月29日
投資家:Microsoft、NVIDIA、OpenAI 等
設立:2019年

参考記事:Robotics startup Figure raises $675M from Microsoft, Nvidia, OpenAI (Reuters)


Mistral AI

事業概要:オープンソースのLLM開発
※OpenAIはChatGPTをクローズドソースとして提供しており、モデルのトレーニングに使用したデータやエネルギーコスト等そのサービスに関わる多くの情報を非公開としている

事業詳細:
◼️Mistral AIが発表したMistral Largeは、GPT4に次ぐ高い論理的思考能力を持ち、更に英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語といった5つの言語に堪能という特長を有している
◼️MicrosoftはOpenAIの競合となる同社のLLMをAzure上で利用できる様にすると発表している

発表日:2024年2月27日
投資家:Microsoft、NVIDIA、a16z等
設立:2023年4月(MetaやDeepMind出身者により創業)


Photonic

事業概要:量子コンピューティング及びネットワーキング
※Azureとの連携を基本とするMicrosoftとの戦略的提携に関して好評済み
発表日:2023年11月8日
投資家:Microsoft 他
設立:2016年


Vibrant Planet

事業概要:衛星及びLiDARデータ解析を起点とした森林管理SaaS
発表日:2023年10月5日
投資家:Microsoft’s Climate Innovation Fund、Citi Ventures、他
設立:2020年


Electric Hydrogen

事業概要:水を電気分解する事で水素(H2)を製造する水電解装置の開発
※現在、水素は主として化石燃料の分解により作られており、その過程でCO2が排出されている
発表日:2023年10月3日
投資家:Fortescue、Temasek、Microsoft’s Climate Innovation Fund、他
設立:2020年

【番外編】過去に噂された未実現買収案件

Microsoftはこれまでに数多の企業を買収し、事業成長を遂げています。
代表的な買収事例としては、Skype(2011年; 85億ドル)やLinkedIn(2016年; 262億ドル)といったSNS、ソフトウェア開発プラットフォームのGitHub(2018年; 75億ドル)等が挙げられます。

この番外編では、過去にメディアで報じられた事のある、Microsoftの未実現買収案件をまとめました。
※現時点で未実現であること、そして今後もその実現については不明確であること、予めご留意ください。

📱MicrosoftとNetflix

ロイターの過去記事では、主に3つの根拠から、MicrosoftがNetflixを買収する可能性について示されています。

◼️Netflixは、広告配信付きサブスクプランにおける技術パートナーに、Microsoftを選定している
◼️MicrosoftのVice Chairman&PresidentであるBrad Smith氏は2015年からNetflixの取締役も務めている
◼️Microsoftは、ビデオゲームのストリーミングに興味がある

参考記事:Netflix will be next on Microsoft’s shopping list (Reuters)

※補足情報:
Microsoftはゲーム用ハードウェア開発(Xboxシリーズ)に加え、Minecraftを手掛けるMojang社(2014年; 25億ドル)やCall of Dutyシリーズを手掛けるActivision Blizzard社(2023年; 690億ドル)買収等、ゲーム事業開発を着実に進めている。

🎮Microsoftと任天堂

Microsoftは、2020年にうっかり任天堂買収計画について、流出してしまったことが明らかになり、国内外のメディアで取り上げられました。
Xbox部門の責任者フィル・スペンサー氏が示していることは主に以下の事柄です。

◼️ 「我々は任天堂こそゲーム業界で最も重要な資産だと思う」
◼️任天堂の経営陣と会談を重ねたが、米国企業の中では恐らく我々が1番良い協力関係にある
◼️買収検討の障害は、任天堂が持つ大量の現金と取締役の姿勢(当時事業成長やさらなる株価上昇を望む動きが見られなかった)
◼️ いつか任天堂の買収が成功すれば、それは自身のキャリアにおける最高の瞬間であり、両社にとって良い機会になると信じている
◼️敵対的な動きは賢明とはいえず、あくまで長期的に考えて検討したい

最後に

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