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モノの色いろいろ 

|| グリーンを巡って①

ふだん何げなく使っている色名ですが、色の名前として使われる色名の背景を探っていくと、おもいがけない面白い発見に出会うことができます。色名は、あるモノの名前が、その色名として呼ばれるようになったものであり、その色名のもとになったモノが持つ様々な、自然、文化、歴史などの背景を抱えています。ある色名の由来をたどっていくと、その色名が持つ意外な背景に出会うこともあります。このコーナーでは、そうした色名の背景が持つ様々な面白いエピソードをご紹介いたします。

|| アボカドグリーンの冷蔵庫

アボカドは色名にもなっており、その果実の果皮や果肉に見られるような鈍いイエローグリーンが色名に対応されています。このアボカド色が、家電商品のトレンドカラーだったことがあります。1970年代は、反公害からの自然志向が高まった時期であり、この時期アメリカではいち早くナチュラルカラーやアースカラーが、家電商品や乗用車などの工業製品に取り入れられるようになりました。 この時登場した家電商品のナチュラルカラーの代表的な色は3色あり、アーモンド(オレンジみのベージュ)、ハーベストイエロー(熟した穀物にみられるディープなイエロー)そしてアボカドグリーンでした。日本には70年代末にこのカラーリングが伝わり、アーモンドと少し遅れてアボカドグリーンが当時の家電商品のトレンドカラーとして広く普及しました。なかでも、アボカドグリーンは、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電を中心に、80年代の初頭に至るまで広く流行しました。イエローグリーンの家電商品はその後ほとんど作られなくなりましたが、つい最近まで、まだ家にアボカドグリーンの家電商品が残っていたという事例を耳にすることもあります。

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