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JAEAの先輩職員をご紹介!(研究職)

狩野 貴宏
福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター 遠隔技術ディビジョン 先進放射線計測研究グループ

2020年4月入社。福島第一原発廃止措置に向けた遠隔分析技術の研究開発を行っている。

JAEAに就職した理由

私が大学生の頃、東日本大震災により福島第一原発で事故が起こり福島県は大きな被害を受けました。地元である福島でこのような事故が起きたことに当時とても強いショックを受けました。またそれと同時に原発問題に深い関心を抱きました。大学では直接廃止措置に関わるような研究は行っていませんでしたが、就職について考えていた際、偶然にもJAEAの職員と知り合う機会があり福島でのJAEAの取り組みについて知ることができました。その後、インターンシップに参加するなどして、JAEAで行われている研究に深い興味を持つようになり就職したいと考えるようになりました。

現在の職場である廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)富岡

現在の研究に関して

私は、現在レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)の研究開発をしています。LIBSとは、測定したい試料にレーザーを照射し、生成されたプラズマの発光スペクトルを測定することで元素分析を行うという手法です。レーザーを照射しプラズマの発光を見るだけで元素分析ができるため、短時間で簡単に測定できるという特徴があります。また光ファイバーを用いることで遠くから測定することができるので、安全な位置から炉内にあるデブリを測定する、といった使い方が期待されています。
学生時代には、レーザーイオン源の研究に取り組んでおり、現在の研究とは使用しているレーザーのエネルギーや目的が異なるものの、比較的スムーズに現在の研究に入ることができました。現在は、実際の廃止措置に向け、高分解能分光器によるウラン同位体の測定に挑戦したりしています。

レーザーとプラズマ

JAEAでの研究環境

研究面では、福島第一原発の廃止措置に関連した研究ができる点が非常に魅力的です。私たちの研究が廃止措置の推進に実際に役立つ可能性があることから、やりがいを感じます。また、研究活動を通して様々な知識やスキルを得る機会もあります。
生活面においても、福利厚生が充実している点は魅力的です。比較的休暇を自由に取ることができ、私生活との両立がしやすい環境です。特に、私生活を大切にする方にはおすすめできる環境と言えるでしょう。

大学で学んだことを活かすことはできるか

大学では電気系の専攻で、原子力とは直接関係のない分野に取り組んでいました。しかし、大学で学んだ基礎的な物理学や数学に関する知識、専門的な電磁気学などの内容は、現在の研究でも頻繁に活用しています。
原子力以外の専攻出身でも問題なく、学んだ知識を研究に活かすことができることを実感しています。
また、大学の研究で学んだ知識や経験を活かす機会も多くあります。私は重イオンビーム慣性核融合とレーザーイオン源に関する研究を行っていました。どちらも現在の研究とは異なりますが、研究に必要な基礎的な能力はこれらの研究を通して得たと思っています。重イオンビーム慣性核融合の研究では、主にシミュレーションを用いて研究を進めていましたが、その際に得た知識は現在の解析用プログラム作成などに役立っています。
一方、レーザーイオン源に関する研究では、レーザーに関する知識はもちろんのこと、測定用の試料を自作するスキルも身につきました。

実験のイメージ

どのような就職活動をしていたか

私の場合、就職活動がしんどいと感じたため、JAEA以外の企業への応募は行いませんでした。特に受かる自信があったわけでもなかったので、無駄に危ないことをしていましたね。しかし、その代わりにJAEAへの受験には力を入れることができました。
私の場合、JAEAのインターンシップに参加し、福島にある拠点を訪れました。南相馬や三春、大熊などの拠点を回り、空間線量率の調査実習や鉄セルでの作業体験などを行いました。この経験を通じて、JAEAの廃炉措置や環境回復に向けた取り組みを実際に学ぶことができ、大きなモチベーションになりました。また、就職活動においても実際に現場を見た分、エントリーシートをスムーズに作成することができ、面接の際も実体験を交えて受け答えすることができました。希望する会社すべてに応募することは難しいかもしれませんが、本命の企業のインターンシップに参加することは非常に有益だと思います。