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「大抵のことは見る専」の気持ち。

オリンピックが取り敢えず終わってくれて、残すはパラ、東京都民としては少し心が落ち着きました。
我が家のTVは何かの再生の為にしか使用しないものと定義されておりまして、オリンピックは特に競技や選手に推しもなかったので、WEBでニュースの見出しを目端に留める程度の関わりしかありませんでしたが、開会式の映像はダイジェストで目にしました。
ドラクエだ、FFだ、モンハンだ、の中に任天堂の楽曲がなかったことについては、直前の辞退続出だったり色々含めて個人的には任天堂のスタンスを支持します。
そして、国際的な舞台で「我が国が誇るコンテンツ」として持ち上げるような使い方をしておきながら、常日頃は香川の条例などを含め、「未だに社会通念を自分たち世代が担っていると頑固に信じている上の方の方々」は、ゲームへの謂われなきヘイトをガンガンに撒き散らしていることも、一ゲーマーとして重々身に染みておりますので、こんな時だけいいように使いやがって、というもの凄いルサンチマンを抱きました。
というのも、身近にもの凄いゲームヘイターがおり、四六時中忌々しく思っている為、その種の感情がストックされすぎて喚起されやすいのです。義父(母の旦那さん)なんですけどね。

私の大好きな、今風に言うと「eスポーツプレイヤー」、言い換えなければプロの格ゲーマーに、ときどさんという方がおりまして、その方は麻布中高から東大に行ってプロゲーマーになった方です。世の中様的には麻布から東大行ってプロゲーマーとか勿体ない、と仰せの向きも沢山おられますが、ご本人もご家族も納得ずくですし、寧ろ東大卒という看板を、とかく下に見られがちなプロゲーマー、格闘ゲームコミュニティの為に利用し、自ら矢面に立っている部分もあられるのではと愚考しております。
世界規模の大きな大会で念願の優勝を果たした2017年以降、メディアで格ゲーマーが語られる時にまず引っ張り出されるのがときどさんで、地上波での番組出演・CM出演とか、活字媒体からのインタビューとか、あれ以降もの凄い勢いで増えていて、ご本人の著書も二冊目が刊行されました。つい先日Newsweek日本版に掲載された「世界が尊敬する日本人100人」の中にときどさんも含まれています。
繰り返しますが、「世界が尊敬する日本人100人」に含まれた方を、それでも我が義父は、「だってゲームだろ?」って言うんです。私としては「頭がおかしい」としか思えません。
ゲームは犯罪ではないですし、表社会で立派に経済を回しているものです。そういう「世のため人のためになってる」「それが存在することで幸せな人がいる」、そういうものに対して人生をかけて努力することの出来る人、そして努力の甲斐あって成果を手にした人を、どういう理由があれば蔑む事が出来るのか、私には本当に理解出来ません。坊主が憎ければ袈裟まで憎いと申しましょうか、ときどさんがどんな人であれ、今eスポーツと言われているものの最前線で戦っている人達がどんな努力をしているのであれ、ものがゲームである以上、義父がそれを凄いことだと賞賛することは絶対にない訳で、勿論そんな老害一匹いようがいまいが業界には全然関係ないといえばそうなのですが、今後eスポーツを「業界」として成立させていくためには、もっともっと人が必要で、その為にはこういうヘイトを少しでも減らしていくことも大事なことだと思うのです。
だって、吹けば飛ぶような小さなコミュニティだったのですもの。そこにいる人達の情熱と努力だけでずっと細々続いてきた、でもとても大事なコミュニティなのですもの。大きくなって、プロゲーマーになりたいっていう子供を、安心してその道に進められるように、我々世代がしていかなきゃいけないじゃないですか。

私はそもそも、格ゲーはやりません。ていうか、できません。我が家はゲーム禁止家庭だったので(というわけで遠巻きに母もうっすらとヘイターです)、手や目に経験値がないのです。だから、そういう蓄積を必要とするアクション、レバー操作、ボタン操作でどうにかしなければいけないものについては、ほぼ出来ないと言っていいです。タイミングだけで済む音ゲーの中にギリギリ出来るものもある、程度ですね。(リズム天国は元々そういう人向けですから出来ます。あとDSのタッチペンっていうインターフェイスのお陰で、応援団とか、3DS版の初音ミクの音ゲーとかは出来ました。)
マリオの一面すらクリア出来ない私が、波動拳や昇竜拳を出せるわけもないので、触ったことがある格ゲーは、部室にあった「闘神伝」くらいです。PS1が出たばっかりの時にあった3D格ゲーです。見た目が好みのキャラがおり、どうしても使ってみたかったのと、部室にあった=常に対戦相手がいた為に、それだけはちょっとだけやりこみました。
家庭内でゲームが禁止ということは、当然ゲーセンになんか入れる訳もなく…とはいえ、こちらは抜け道がありました。だって別に黙って行っちゃえばいいだけのことですからね。塾や予備校をサボってゲーセンにいたことは何度もあります。
ただ、家でゲームしたことないので当然出来るものも限られてますから、私がゲーセンで連コしたことあるのはクイズゲームばっかりでしたねぇ。信長の野望的にクイズ対決で日本全国制覇していくのとか、それの三国志版とか、タイトル忘れましたけどそんなのばっかりやってました。
とはいえ、他人様の素晴らしいプレイはこっそり見てましたので、ベガ立ち勢ではあったんですよ、当時も。そこから、後年、現在に至るまでの「動画勢」っぷりの素地が作られてたのかなと思います。

格ゲーの歴史はこの人なくしては語れない梅原大吾さんですが、私はウメさんよりも全然年上で、ウメハラって凄い中学生がいるらしい、なんていうのは風の噂で遠巻きでした。その格ゲーが、サービスインより入り浸っていたニコニコ動画にコンテンツとして上がってきたのが私の動画勢歴の最初です。闘劇やオンゴッズはちゃんとリアルタイムでは追えてなかったですが、EVOだけはずーーっとチェックしてました。なので、ときどさんのEVO優勝はもの凄く嬉しくて、その後eスポーツの盛り上がりにもちゃんとお金落としてます。
ただ見るだけの動画勢ですから、コミュニティ貢献出来る事っていったらオンラインオフライン問わず情報発信することだったり、スポンサーさんとか選手の所属団体だとか直接配信だとかにお金落とすことだと思ってるので、そういうところで出来る貢献はしてるつもりです。
こういうこと言うと「お前もやれや」ってお声もあるんですけど、浅瀬でちゃぷちゃぷ以上のことは無理なので、とりあえずその分お金落とすから!ということで、Steam版ですが、ソフトやDLCはちゃんと購入してますし、無駄にアケコンもあります。

狭い世界になればなるほど、だと思うんですけど、蘊蓄たれるならお前がやれ、って風潮はどこにだってあることですよね。映画評論家に向かって「だったらお前が撮れよ」とか、格闘技ファンに向かって「ならお前がやって見ろ」とか、でも、世の中には見る専門の人がいても良いと思うんですよね。純粋に制作者、競技者、直接関わる人間、っていう風にだけ業界を狭めてしまうことは、誰一人として得をしないことだと思います。
お客様がいなければ成立しないエンターテインメントは沢山ありますし、スポーツだって、興業として成り立たせようと思ったら観客という非・当事者が必要ですよね。当事者が観客になることも勿論可能ですけど、母数は大きい方が良いじゃないですか、業界自体のために。読書感想文という宿題がある以上、小説買う人が全員作家じゃなきゃいけないとは言えない訳で、それとおんなじ事だと私は思っています。
で、これね、LGBTQ界隈にも思うことです。ただでさえ「マイノリティ」ってだけで人数少ないわけですから、その中で内輪もめしたり、レッテルの貼り分けをしたりして母数減らして何の得があるんだろうって。勿論彼我の境はありますし、自分自身について考える時や相手を理解しようとするときに、こういうエリアにいる、この分類に属している、というのが不必要とは言いませんけれど、大きな何事かを成そう、例えばジェンダーレストイレの設置とか、そういう時に、レズビアンだ、トランスジェンダーだって言い合ってたってしょうがないじゃないですか。同じセクシャルマイノリティの仲間が困ってるんだから、みんなで声をあげるのを手伝おうって、何でなれないのかなと凄くもどかしく感じます。
だからこそ、自分は当事者ではないけれど、共感出来たり協力出来たりするから一緒にやるね、って言って下さる非・当事者の存在って、有り難い以外の何ものでもなく、それを忌避する理由が、縄張り意識であったり、大局から見た利益とは何の関係もない個人的な感情だったりしがちなのが、本当に勿体ないし馬鹿馬鹿しいと、私個人は思います。
なので、エアプとかいって動画勢を煽る格ゲーコミュニティの方々もいらっしゃいますけど、古来より連綿と続く格ゲーコミュニティのあったかさやなんかは、外から人が来てeスポーツどうこう言っても、残るべき所には残るとちゃんと信じて、拡大・発展を喜ぶ方が建設的なんじゃないかなぁ、と思う次第です。

スポーツなんかでも、大体どんなものにも、非・当事者が何か言ったときに「ならお前がやれ」的な煽りって絶対飛んできます。芸術でもスポーツでもなんでも、私は大抵のエリアで非・当事者なので、飛んでくる礫に当たることもありますが、そういう時には、すみません、諸事情あって自らやれることが凄く少ないので、大人しく見てますし、何なら見てみて大好きになったりしたらコミュニティ貢献することも吝かではないので、そこは博い心と大局を見る目で、快く迎えて頂けませんか?と思ったりしてます。
勿論自らが当事者でない訳ですから、判らないことも多いので、そこは周りの方々に教えて頂いたり、自ら調べたりして、変に知ったかぶったり、判ったような口をきくことはしないよう心がけています。ただ、長く見ていて愛の深いものにはついついコメントしたくなるのも人情なので、全く無言無音で見ているだけって訳でもないのですけど。野次は飛ばしませんが、声援は送ります。

ときどさんが好きという位で、私が見ている格ゲーの配信は大抵ストリートファイターⅤ関係だったんですけど、最近やたら鉄拳の大会のアーカイブを見てます。とある選手きっかけで興味を持ったので、何年も前のアーカイブ掘り起こして大分がっつり追っかけていて、直近の大会の一個前まで今辿り着いてます。相当なボリュームですが、それだけいろんな媒体・配信が増えてて有り難いよな、と拝みつつ追っかけてます。
古来からの鉄拳勢からしたら、私は「エアプ動画勢」であると同時に「ご新規さん」なので、「すいませーん、スト5からきましたー」とご挨拶すれば、大抵の場合は「よ、いらっしゃい!良かったら楽しんでいってね」と受け入れて頂けます。競技人口的にどうなのか詳細な数字はわからないんですが、多分ウメさんがいる分を考えると配信視聴者数は鉄拳よりスト5の方が多いのかな、と感じます。なので、新規の視聴者が増えるのは有り難いこと、と思って歓迎して下さってる模様です。
別に格ゲーに限りませんけど、自分がやりもしないものに、もの凄く思い入れ持ってみてる時の私は、明らかに「人」を、そして「その人にまつわる物語(ドラマ・ストーリー)」を見ていることが多いです。技術的なことも、判れば感心しますが、サッカー見ながらボールタッチにだけ感心する人や、ボクシング見ながらウェービングとダッキングが上手い人しか目に入らないとかあんまりないと思うので、特別な見方をしてるとも思ってません。
沢山見ていれば好みのプレイスタイルの人ってやっぱり出て来ますし、そこに付随するエピソードなんかを知っていくと更にそれが深まったり色々あります。自分の好みの方向性と、「この人好きだな」が完全一致するばかりでもないですが、それはまた新しい己の開拓だったり、好きになった人の魅力だったりするので、色んな人を全力で応援します。まぁ思い入れの深さとか、好きでいてる時間の長さとかで、好みと好みがかち合ったとき、勝負事だと両方応援が難しいこともありますけど、誰かを応援する、誰かに共感する、誰かの物語を共有させて貰う、という体験・体感は、私にとってとても大きなことで、無しには語れないです。
何しろ、自分で出来る事が躰の都合やら家庭の事情やらで、中々に多くないので。

勿論、これは私ばかりでなく、世の中に「○○ファン」という存在が有り続ける限り、存在し続ける感情であり在り方だと思います。うちの義父にも勿論、そういう好みや熱狂はあるはずです。はい、話はここに戻ってきましたよ。
日本中がサッカー日本代表に盛り上がって、普段サッカー見もしない人達までサッカー観て大騒ぎしているとき、義父だって同じようにサッカー見てます。バレーボールとかフィギュアスケートなんかもよく見てますね。で、好きな選手もいるようですし、応援している選手もいるようです。オリンピックだってメダルがどうこうとか言ってたと思います。それは別にいいですが、同じように努力し、同じように競技している人が、何故蔑まれなければいけないのか、私はただただそれに納得がいきません。
私にとっては、井上尚弥の試合見て応援するのも、ときどさんが出てる大会みて応援するのも何も変わりません。でも、ものがゲームになると途端に蔑む人がいます。香川県なんて、県をあげてゲームへのヘイトを高めています。それって、上の方の人にすっごいゲームが嫌いな人がいるからですよね。義父は多分、幼い頃にもの凄くご家族から、ゲームへのヘイトを植え付けられ、それを払拭する機会がなかったのでしょう。今となってはもう彼を変えるのは不可能です。残念なことに。
子供が将来なりたい職業に「ストリーマー」や「プロゲーマー」が入ることに顔をしかめる人達が、多分まだ沢山いて、その人達が業界にヘイトをぶつけているのは、個人の感想レベルなら別にどうだっていいですが、それが子供への強制や第三者への謂われなき蔑みになるのであれば、それはこの多様性のご時世に、その人の方がアジャストしてないんじゃないかと思う次第です。

ちなみに、自己紹介エントリーに書いたように、何かに対して「好き!」と思うことが私の生きるエネルギーですので、私はそれはもう色んなものを見て、沢山のご贔屓を抱えています。
変わり種で言うと、スヌーカーとか。ロニー・オサリバンが好きです。彼のFacebook、地味にフォローしてます。サッカーの実況は倉敷保雄さんが好きです。野球は物心ついて以来の西武ファン。一番好きな選手が伊東勤さんなのはまだ上書きされてないです。ボクシングはリカルド・ロペスと浜田剛史さん。分裂前の極真空手だったら松井章圭さん。女子テニスはナブラチロワが偉大すぎて他にご贔屓を作れません。男子テニスは現役ならナダルかな、クレーに強いので。過去の選手ならボルグ、レンドル。
こうやってつらつら並べる中に、全く同じ感覚で同列に、スト5ならときどさんと板橋ザンギエフさんとYHC-餅さん、って続くだけです、私にしたら。で、昨今では鉄拳のプレイヤーさんがここに加わりました、っていう、本当にただそれだけなんですけどねぇ。
自分が出来ないことをもの凄く上手にやれる人に憧れて、応援するって、別にどんなことにでも起こり得ることだと思うんですけど、特定の分野にだけそれを認めないって、私にはやっぱりよく判らないです。

とりあえず、ゲームやアニメを「我が国の文化」と海外に向けて発信するのであれば、現場にお金落として下さいって心から思います。はい、ちゃんと一周してオリンピックの開会式のお話に戻りました。


※見出しの写真はときどさんがEVO2017で優勝したときに、大須晶さん(この方も格ゲーマー)が撮ったもの。ときどさん優勝の色んな報道で使われたものをお借りしてきました。ちなみに大須さんが写真展のためのクラファンやったときにこの写真のパネルがリターンになっておりまして、当然一口乗ったので私の部屋に同じ写真が飾られています。


※マシュマロ始めてみました。コメントより気楽かなと思って。
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