桃源Qをみたよ! #3

今回は、『桃源Q』第3話「かえるびっくりいつの間にお湯?」の感想や考察などを書いていきます(ネタバレも含まれているので、まだ観ていない方は注意!です)!

まずはタイトルがかわいらしい!絵本とか童謡とかアニメとかで実際にありそうなかわいさ!

『桃源Q』考察プロジェクトの阿賀野上ノ城さんがTwitter上で、「第3話のタイトルの元ネタはゆでガエル理論なのでは?」、「気付かぬうちに生まれた二人の恋とゆでガエル理論をなぞらえている」という考察を挙げていて、なるほど!!と思いました。YouTubeを見ているときに、ゆでガエル理論の広告が流れることが一時期よくあったから、これは先に思い付きたかったなあ(笑)

では、本編に移ります(色のついた部分は大まかな内容です)。

1年2か月と17日の間、ずっと番台でQのことを待っている番頭の赤星。そんな赤星の目の前に、413日ぶりに現れるQ。
銭湯の客であったQと赤星が初めて会った日、Qは蛙の卵の孵らせ方を赤星に尋ねる。赤星が知らないと言うと、私も知らないので一緒に考えてほしいとお願いするQ。近所の川で見付けた蛙の卵を孵らせたい、育てたいと思ったQは家の浴槽に水を張り、たくさんの蛙を飼うことを決めたらしい。家の風呂が使えないため、銭湯に来たと言うQ。それからQは銭湯に毎日来ては、共同飼育係の赤星に蛙の近況報告をする。

小学生の頃、祖父の田んぼにいたおたまじゃくしを捕まえて、牛乳瓶で飼っていたのを思い出しました。たしか1週間くらい飼っていたけれど、途中で元いた田んぼに逃がした気がする。今になって思い返せば、ずいぶんひどいことしたなあ。
Qが赤星に蛙の卵の孵らせ方を尋ねるシーンの、ギターの音がおもしろくて好きです。
赤星とQの会話が徐々に仲良さげな感じになっていくところも好き。
第3話の「バグ」の一つは、蛙くんのエサである虫のことかも?
Qが「ありがとう」って言ったあとに照れる赤星もかわいいし、蛙くん1号を見せに来たときにくるくる回ってやってくるQもかわいいです!

だんだん仲良くなっていく赤星とQ。いっしょに蛙くんを眺めたり、お互いに読んでいる本を交換したり、片耳ずつイヤホンをわけっこして音楽を聴いたり……。ある日、今日誕生日であるが誰も祝ってくれないことを呟くQに、ろうそくを立てた豆大福と瓶牛乳をプレゼントする赤星。借りた本に挟まっていた診察券を見て、赤星は生年月日を覚えていたらしい。いっしょにお祝いする二人。

会話がなくても演技や演奏だけで、二人の仲の良さが伝わってきて素敵!
Qが赤星に渡している本はもしかして、『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』ですか(ちがったらごめんなさい!)?
イヤホンをわけっこして音楽を聴くシーンもやっぱり良いですよね。
大福にろうそくが刺さっているのはシュールだけど、銭湯で大福はたしかに風情があるような気もします!?

蛙は十分な環境下であれば冬眠しないらしいと嬉しそうに報告するQ。だったが、冬の寒いある日に二日続けて顔を出さなかったあと、Qがどよよんとした顔で赤星のもとに訪れる。眠気がひどくて二日間眠っていたら、蛙たちがみんないなくなっちゃったとだけ言い残して、銭湯を去るQ。どう慰めたらいいのか、どう引き止めたらいいのか分からずに、そのまま見送ってしまった赤星。
蛙たちは家のどこかに隠れているかもと赤星はQに語りかける。が、「いなくなっちゃったって言ってるじゃん!」と返すQ。去ろうとするQの手をつかみ、家の中にいないのならベランダとか近くの公園とかにいるかもと語る赤星。「……にいると思う?」と尋ねるQに、赤星は「いるかもしれない、ねっ、たぶんいるから」と声を掛ける。「じゃあ……」と呟くQは、赤星の手を離して目の前から去ってしまう。

二日間眠っていた、のところで第1話の薬屋を営む娘も眠気がひどかったのを思い出しました。何か関連があるのかなあ?
蛙たちがどこに行ったのか、も謎だなあ。次の第4話が並行世界、パラレルワールドなお話だから、蛙たちも別の世界に行っちゃった可能性があるかも?
手をつかんでQを引き止める赤星はかっこいい!普段はほんわか優しそうな感じだからギャップもあって、よりかっこよく見えた。そのあとに他のところにいるかもって慰めるのもやっぱり優しいなあって思った。

413日ぶりに現れたQに、「ここ数日、すごい雨だったから?」と来なかった理由を訊く赤星。それに対して、「星占いで外出するなって出たから」と返すQ。次々に来なかった理由を尋ねる赤星とそれに言葉を返すQ。「あのとき、僕がいっしょに蛙くんたちを探しに行かなかったから?」と叫ぶ赤星。「空飛ぶペンギンのことをずっと考えていたから」と返すQ。少しの沈黙のあと、東京にミンミンゼミがいることを話すQ。「すっかり夏だからね」と返して、「ねえ、何でさ…」と話しかける赤星。Qは首にかけていたタオルを赤星の首にかけ、「じゃあね、赤星くん」と言い残して去ってしまう。一人残された赤星。画面が二分割になり、エンディングへ。

今まで来なかった理由を訊く赤星に返すQの言葉が、良い意味で少しとんちんかんな内容なのが好き。最初の返しが「星占いで外出するなって出たから」なのも良い。第3話の冒頭で、Qが来ない理由を考えている赤星のセリフにも出てくるから。とんちんかんな内容ではあるんだけど、Qもふざけて言っているわけではないんだろうなと思った。会話はちぐはぐだけど、二人ともすごく真剣だから余計に切ない……!!たぶんここが第3話の不均衡状態を特に表しているシーンなのかなあ。
第2話で出てきたミンミンゼミがここでも出てきたのがすごく気になる!
Qが赤星の首にタオルをかけるシーンはめちゃくちゃドキッとした!!「じゃあね」って去っていくQも、一人残された赤星も切ないなあ……。

エンディングが第2話と第3~5話で異なるのも気になっていて……。
第2話では、赤い服の人と緑色の服の人が闘っていて、最後に大蛇のような謎の生き物が桃(桃源?)を食べるというゲーム画面のような映像があって……。
赤い服の人と緑色の服の人の正体が気になる!「ジャッキー・リー」と「モリブデンX」なのか、「Q」と「赤星」なのか、はたまたそれ以外なのか?最後の蛇みたいな生き物も何なのだろう?何かの象徴なのかなあ?あと、途中で出てきた蛙は第3話の伏線的なもの?
そして、第3~5話ではそれぞれ途中から前回までの『桃源Q』が逆再生?で流れていて、これもすごく気になる!
第3話のタイトルや劇中に「かえる」が出てくるから「ひっくりかえる」と掛けてあるのかなあと思っています!最後が、第1話の最初のシーン(薬屋を営む娘が眠っているシーン)なのも意味深です!第1話で、娘が夢の中でQと会ったことがあると発言しているんだけど……。もしかして『桃源Q』の内容と娘の見ていた夢の内容は関連がある?!
あと、エンディングテーマのタイトルが「2Q21」なのも気になる!エンディングテーマもめっちゃ良くて好きです!

というわけで、本編に関する感想や考察は以上です。
聖地巡礼みたいな感じで、いつか小杉湯さんに行ってみたいなあ。

最後に、メインビジュアルについて!
第3話のメインビジュアルは、ハルキゲニア。
この子もお目目がくりくりしていて不気味かわいい!胴部の棘が温泉マークになっていてキュートです!
学名はラテン語のhallcinatio「夢みごこち、夢想」からの造語で、「~を生むもの」といった意味の接尾辞をおそらく添えたものらしい(Wikipedia先生の情報によると)。
この子は実は昔、ネット記事で見たことがあって、1977年以降のものと1992年以降のものと2015年以降のものとでは、復元図が違うらしいです。1977年以降のものと最近のものとでは復元図が上下前後逆なんだとか!おもしろいですよね。
カメラワークがくるくると変わることが多かったのも、もしかしたら関係があるのかも?

おわり!

蛇足の一首!

あまりにもゆめみごこちよくていつのまにかきみに浸かってのぼせてたんだ (西淳子)


追記:Qが赤星に渡していた本は、初谷むいさんの歌集「花は泡、そこにいたって会いたいよ」でした(こんにち博士さんの「演出後期 #3」より)!