心で記憶する

来年、車を買い替えたいと
思って、今の車を買った
販売店に
今日、妻とふらっと
行きました。

担当の若い営業マンには
何も言わずに。

担当の営業マンとは
言っても
今の車は
その担当の営業マンから
買ったわけではありません。

今の
その担当の営業マンの
前任の営業マンから
買っただけ。

その販売店の敷地に妻と
車で入ると別の営業マンが
寄ってこられて
誘導された場所に
車を停めました。

車を停め、
車から降りると、
なぜか、
うちの担当の若い営業マンが
やってきて、
“—さん!”
と私の近くに
やってきました。

多分、
その我が家の担当の
営業マン。

自分の販売店の
敷地に入ってくる
顧客を逐次
チェックして
私に気づいて
やってきたんでしょう。

正直、
私はびっくりしました。

◆私は君に
 今日、ここに来るなんて
 一言も言ってない。
◆君が私の家に
 時々、電話をかけたり、
 新車の情報を葉書で
 送ったりしてることは
 知っている。
◆君からの電話を
 受けた時、 
 私はいつも
 つれない返事。
◆私は君の名前ですら
 覚えていない。
◆私は君の数ある
 顧客の一人。
◆これまで
 私が君と会ったのは
 数回。
◆なのに、
 君はなぜ
 私の名前を
 覚えているのだ?

その時、
私はそう
思いました。

その後、
その若い営業マンは
私と妻を店内に
案内してくれました。

私と妻は
案内された
店内のテーブルに着き、
妻が
なぜ今日、
ここにやってきたのか?
をその若い営業マンに
伝えました。
目的は
来年、車を買い替えたいからです、
と。

その時、
私は
その若い営業マンの
表情を見てました。

◆やったぜ!
 やっと、
 このーーさん! 
 次の車購入検討を
 されてる!
 今がチャンスだ!

といった表情を
するのかどうか?
と。

そしたら
その若い営業マン。
そんな表情は
しませんでした。

内心は
きっと
そう思ってたでしょうが
私には
そう
映らなかった。

おしつげがましさを
感じませんでした。

次に車を購入されるんでしたら
こんな選択肢がありますよ、
というトークでした。

そして、
その会話の途中、
数ヶ月前に
私が娘となんらかの用事で
その販売店に行って
その若い営業マンと
会った時のことも
その若い営業マンは
覚えてました。
まるで
昨日のことのように。

これまた
びっくりしました。

◆なぜ、君は 
 数ヶ月前、
 私が娘と
 ここに来たことを
 そこまで
 克明に覚えているのか?

と、
内心、思いました。

話を聞くと、
その若い営業マンは
その販売店にきてから
5年経ったそうです。

◆君が私と会ったのは
 5年前。
 そして
 その5年間に
 私が君に会ったのは
 数回だけ。
◆なのに
 なぜ、
 君は 
 私(や家族)のことを
 そこまで
 覚えているんだ?

非常に不思議でした。

そして
私なりに出した
理由は
こちら。

◆彼は自分の売上を伸ばす
 ことだけを考えている
 営業ではない。
◆顧客が自分の会社の製品を
 購入することによって
 もたらされる、
 その顧客の
 “心地よさ”
 を提供したいと
 思っている営業だ。

と。

そしてまた、

◆彼は 
 頭で記憶しているんじゃない。 
 心で記憶しているんだ。

と。

そして
こんなことも
言ってました。

私も妻も何も聞いてないのに
その若い営業マン。

◆ーーさんと
 お会いしてから
 5年経ちました!
 私、
 主任になったんですよ!

と眼を輝かせて言ってました。
その表情には
何の打算も
ありませんでした。

その時の
表情は
子供がお父さん、
お母さんに

◆僕、
 テストで
 いい点とったんだよ!

と言った時の
ような表情でした。

次に車を
買う時は
◆君から買おう
と思いました。

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