【告百073】入居者確保のため、施設側はだれでもウェルカム

平成24年から「サービス付き高齢者向け住宅」というシニアマンションが増えてきました。いまが旬のサ高住というアレです。毎日300人もの人が亡くなる時代です。そのうち9割の人が病院や施設で最期を迎えるとなると、医療費と介護費が嵩んでしかたがない。その果ての苦肉の策として打ち出された制度。それがサ高住なのです。2025年までに、安価な死に場所を全国に60万人分整備しようとしています。国は建ててくれた人に、補助金や税制優遇といったかなりうま味のあるニンジンを与えています。だから、建てたい人たちが群がってきて雨後の筍状態です。もともと終のすみかの代表だった介護付き有料老人ホームもあいまって入居者の争奪戦が始まるわけです。なので、どこの物件も顧客を選ばない。「自立から要介護5まですべて受け入れ可能」となります。
でも、気をつけましょう。日常的に介護を要する人と健常者が同じ場所で暮らすのはムリです。同じ空間で食事をするなどありえません。元気な人がストレスを抱えるようになります。なので、身の回りのことが自分でできている間は、そこの入居者の中に友だちになれそうな人がどれくらい暮らしているのか。そこを見学時に見極める必要があります。

★見学会では施設側の話を聴いてるだけじゃダメ ⇒ 絶対に譲れない要望について言質を取る
見学するにまえに、頭の中で、朝起きてから夜寝るまでの、標準的な1日の過ごし方をカラー動画で描いてみましょう。それが見学物件に入居した場合どう変わるのか、変わらないのか。職員のサポートを得ることで日々の暮らしがより円滑になるのか、対応してもらえないことで逆に不便になるのか。こういうシミュレーションをしながら見学しないと時間のムダだということです。そうじゃないと、大体が後悔することになる。後の祭りです。
具体的には3つのチェックポイント「日常生活」・「緊急時」・「老い支度」に分けて、そこで暮らすために絶対に譲れない要望事項を洗い出します。要望は具体的なほどいいです。例えば、日常生活のことであれば、食事、入浴、介護、健康管理、娯楽、外出、来客、美容理容、喫煙、ペットの持ち込みといったところでしょうか。特に食事については、決められた時間に決められた場所で食べなければならないというルールに抵抗を示す人が多いようです。その時の気分で部屋食(居室に配膳してもらって食べる)や出前、さらには外食の要望は可能なのかどうか。対応してくれる施設は意外と少ないものです。これらについて、現地見学したときに言質を取るのです。そのやりとりを録音しておくぐらいの意識が必要です。

教訓。入居者確保のため、施設側はだれでもウェルカム ⇒ 重度の要介護者と健常者が同じ場所で暮らすのはムリ

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