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【医療マガジン】エピソード11 聖夜の奇蹟!かかりつけ医大賞(3/5)

自分が置かれている状況をある程度把握した直子の世界が、グルグル回り出した。
 
それを打ち破る、「はぁい。百田寿郎さん、鶴田妃菜さん、入りま~す」という大きな声。見れば、黒のタキシードに着替えた百田寿郎と、ワインレッドのドレスに身を包んだ鶴田妃菜が会釈しながらやってくるではないか!
 
ふたりは直子の位置からは対面となる、視聴者から見て左手に腰を下ろす。口を半開きにして見入りながら、直子は、小町と暁子のほうから漂ってくる艶やかな香りのなかをたゆとうている。
 
「はい。配信5分前~」
 
スタジオじゅうが一瞬の静寂に包まれ、数秒後、元に戻る。
客席に目をやれば、素子と美子が必死で直子に合図を送っていた。
そっと左手をかざしてヒラヒラさせる直子。
 
次の瞬間。
 
「はい。30秒前。20秒前。10、9、8、7、6、5、4」
 
プロデューサーだかディレクターだかわからないお兄さんが、百田と妃菜に向かって指で数を大きく示す。そして、聴きなれた『しらこわ』のオープニングテーマが、想像以上の大音響で弾け飛ぶ。
 
いつしか、視聴者から見てスクリーン左の演題前にスタンドしている百田と鶴ちゃん。テーマ曲が終わるや、息の合った二人の声がスタジオ中に轟いた。
 
知らなきゃこわ~い現代ニッポン10の真実、医療編クリスマス特別企画。『決定!2023究極のかかりつけ医大賞~っ!』
 
荘厳なファンファーレが奏でられ、スタジオに喝采の花が咲いた。
 
「全国1000万の『しらこわ』ファンのみなさま。師走の慌ただしい季節、いかがお過ごしでしょうか。本日は恒例のナマ配信、しかもクリスマス特別企画となります。司会を務めさせていただきます、百田寿郎でございます」
 
ヒュ~ヒュ~
 
「みなさま、こんばんは。『しらこわ』二代目アシスタントの鶴田妃菜です。本日の特別企画『決定!2023究極のかかりつけ医大賞』。百田さんをしっかりサポートできるよう努めます。どうぞよろしくお願い致します」
 
ヒュ~ヒュ~
 
「はぁい。今日は『究極のかかりつけ医』候補となるドクターを推薦していただいた視聴者のみなさんにもスタジオにお越しいただき、いつも以上に賑やかにお届けしてまいります。それでは鶴ちゃん、ゲストのみなさんの紹介をお願いします」
 
「はいっ。それでは画面向かって左から。まずは、美容と健康を革新するアンチエイジング研究家、『老い先案内の女神』のこと、華乃宮小町さんで~す」
 
「みなさま、こんばんは。散る桜 残る桜も 散る桜。華乃宮小町でございます。よろしくネェ~ッ」
 
ヒュ~ヒュ~
 
「続いて、そのお隣。『お困りごとクイーン』こと、社会福祉士の観音寺暁子さんで~す」
 
「みなさま、こんばんは。時は今、生涯青春、人生薔薇色…。社会福祉士の観音寺暁子です。どうぞよろしくお願いしま~す」
 
ヒュ~ヒュ~
 
「続きまして、本日お届けするクリスマス特別企画『決定!2023究極のかかりつけ医大賞』ですが、視聴者のみなさまからご応募いただいた200人ものドクターの中から、後ほど『かかりつけ医大賞』が決定します。実は、昨日までに、200人を20人に、20人を10人に絞り込むべく厳選な審査を行ってまいりました。そして、つい先ほど、ナマ配信開始一時間前の時点で、最終選考に残る3名のドクターを選出させていただきました。この栄えある3名のドクターをエントリーしてくださった応募者のみなさんには、推薦人として番組に参加していただきます。早速、そのお三方をご紹介させていただきます」
 
まずは、東京都大田区からお越しいただきました、石坂健二さん。
続いては、東京都三鷹市からお越しいただきました、世尾直子さん。
そして、神奈川県横浜市からお越しいただきました、蜷川節子さんでぇ~すッ!
 
みなさま、どうぞよろしくお願い致しま~す。
 
 
スタジオじゅうの拍手と喝采の中、いよいよ『決定!2023究極のかかりつけ医大賞』の幕が切って落とされた。まずは、最終選考に残った3名のかかりた医候補から届けられたビデオメッセージが流される。続いて、華乃宮小町が作成した「医者の品定めシート」に基づき、出演者たちによるディスカッションが展開される。
 
そして最後に、小町と暁子が3候補それぞれの評価ポイントを述べた後に、スタジオに集った100名がもっともかかってみたいと感じた医者ひとりに投票する。一票一点と換算し、つぎに小町・暁子・百田・鶴田にブレイク前のお笑い芸人6名が3候補それぞれを10点満点で評価し、その合計点数が観覧者100名の得点に加えられ、最多得点者が「かかりた医大賞」の受賞となるのである。
 
直子推薦の勝田永太郎のビデオメッセージは二番目に流された。直子は祈るような気持ちで合掌しながらオーロラビジョンに見入っていた。
 
 
このたびは、YouTubeチャンネル『知らなきゃこわ~い現代ニッポン10の真実』<医療編>の特別企画「決定!2023究極のかかりつけ医大賞」にノミネートいただき、そして、最終選考の3名に選んでいただきまして、本当にありがとうございました。番組のディレクターさんから趣旨を伺い、お話をいただいてから何度か番組を拝聴致しました。実に有意義な番組であり、すばらしい企画であると受けとめております。加えて、実際に当院にお越しいただいた患者さんからの推薦があったからこそ、いま私はこうしてビデオ収録の場にいられるということで、素直にうれしく思っております。
 
当院は、全国いたるところに10万とある診療所の中でも、少々異質な診療所かと思います。忙しい日々の生活の中で、仕事や家事の合間にササッとクスリをもらって帰れればいいといった患者さんたちにとっては、いささか面倒くさい老医師だと酷評されるやもしれません。
 
と言いますのも、私が目指し、実践している医療は、目先の症状や数値を一時的に安定させる、いわゆる対症療法ではありません。患者さんの毎日の暮らしを、この先の長い人生を少しでも良いものにしていただけるよう、痛みや辛さのおおもとを断ちたい。そう思って取り組んでいる根本治療なのです。
 
私たちの健康や幸福というのは、心身に異常がなければいいというものではありません。生活環境や社会との関係性、やりがいを感じられる仕事、生きがいの源となる夢や希望。そういったあらゆることが、私たちの健やかで幸せな人生にかかわっているのです。
 
であるならば、縁あって当院にお越しいただいたみなさんには、心身の痛みや辛さを解消・低減してさしあげるのみならず、前向きかつ主体的にご自分の人生を生きていけるようお手伝いすることが、私のような街医者のあり方ではないか。これが半世紀にわたり臨床に取り組んできた私の価値観であり哲学なのです。
 
ですから、本当の健康を取り戻し、自分の目指す幸福を手にしたいという患者さんたちのために啓発の場を設けたり、一方で、何かあった時にいつでもコンタクトしてもらえるよう相談窓口を設けたりもしています。
 
私のこうした考え方にご賛同くださるみなさんは、なにかで痛みや辛さを感じた時、「『しらこわ』で、井之頭全人医療クリニックのことを紹介していたなぁ」と思い出していただけたらうれしく思います。その節には、私どもチーム一丸となって、みなさんの健康と幸福をフルサポートさせていただきます。今回は貴重な機会を賜り、本当にありがとうございました」
(To be continued.)


【参考図書】

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