【告百062】介護休業を取得すると居場所がなくなる

厚生労働省は介護休業の取得を奨励し、企業も施策を整備しています。しかし、現実には、休みを取得しても残念な結果になることが多いです。相談者にも、介護休業は取得しない方が良いとアドバイスしています。理由は、企業側の「本音」と「建前」が違うからです。多くの大企業では、対外的には、介護休業や介護休暇の制度がもの凄く手厚いような説明がなされています。介護休業は法律上の制度では3ヵ月(最長93日)ですが、企業独自の制度ではもっと長く設けているケースもあり、2年間取得できる企業もあります。しかし、実態は休もうとすると、上司から嫌みを言われたり、休んでから復帰すると、「左遷された」「降格された」とポストを失う方が少なくありません。結果的に、屈辱に絶えきれなくて退職してしまう人も多いです。休んでいる間も職場からひっきりなしに連絡がある、あるいは定期的な連絡を強要される。自宅で仕事をやらざるを得ないことも多いのです。
現実問題として、多くの方が最初のうちは変則勤務や有給休暇で介護に対応しています。しかし、そのうちにだんだん立ちゆかなくなり、介護休業を取らざるを得なくなるというケースが多い。そして、複数回の介護休業や介護休暇を取得していく結果、現在のポストを失ったり、職場を離れざるを得なくなったりという実態が目立ちます。40~50代は、企業にとって重要な世代である一方で、人件費が高く、業績が悪くなったりすれば、真っ先にリストラ対象になりやすい世代です。休みを重ねるうちに、職場の上司から「もう無理だな」と見切りをつけられてしまうのです。大企業の場合、代わりは他にもたくさんいるのですから。
企業には、老親問題を抱えた社員が「職場を離れやすい環境」を作ることではなく、「職場を離れないで済むサポート体制」を確保することが求められます。介護の専門家に相談できる窓口や、施設探しなどの負担を減らす代行機能を設けるべきだと思います。
現役世代の読者のみなさんは、「会社を辞めていいことは何ひとつない」と心に刻んでほしい。どうか介護のために会社を辞めないでください。

教訓。介護休業制度を利用すると職場に居づらくなる ⇒ 死んでも介護離職はしない

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