【告百078】老人ホームは相変わらず入居金のトラブルが多い

老人ホームのトラブルでもっとも多いのが、入居一時金の返還の問題です。この業界では、昔から、入居一時金の返還についてのトラブルがなくなりません。国民生活センターや自治体の消費者生活センターにも、苦情や相談が数多く寄せられています。10年ほど前に、法律が改正され、「入居一時金は、家賃やサービス対価の前払いとしてのものに限定し、権利金や礼金などとしてのものは認めないこと」となりました。入居一時金の算出根拠を明示することも求められています。また90日以内の退去者には生存・死亡に関わらず全額返還することが義務づけられました。
しかしながら、元凶である初期償却については、現時点でも法律では禁止されておらず、管轄する各都道府県がガイドラインを発行するにとどまっています。
東京都では、有料老人ホーム設置運営指導指針を改正し、前払金の全部または一部を返還対象としないことは適切でないとして、初期償却を認めない方針を打ち出しました。
神奈川県は初期償却を認めたうえで、月額払い方式との選択制を義務づけています。
埼玉県は、初期償却は認めるものの、償却期間内に退去した場合はその分を全額返却するよう求めています。
首都圏だけで比較しても、各自治体の指導にばらつきが出ています。消費者保護の名のもとに行われる行政指導が、その一方で混乱の原因にもなっているのが現状です。利用者側からすると、入居一時金は早死にすると損、長生きすると得なのです。ある種の博打的要素が含まれるわけです。入所して短期間で亡くなったり退所したりする場合の返還ルールについて、かなり踏み込んで、具体的なケースを想定しながら相手の言質を取る必要があることがおわかりいただけると思います。

教訓。老人ホームは相変わらず入居金のトラブルが多い ⇒ あらゆるケースの返還金計算方法を納得できるまで説明してもらい、かつ、書面でもらう。

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