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パーソナリティーを磨く方法

前々回の記事で予告したように、今回からは、社会人となったみなさんに是非とも身につけてほしい4つのスキルについて、具体的なブラッシュアップの仕方をお話ししていきます。私が2012年以降かかわるようになった、企業や自治体や医療機関の人材開発研修で一貫してお伝えしてきた内容になります。手前味噌ながら、アンケート結果はとても好評でした。

今回からお届けする4つのスキルは、以下のとおりです。

①パーソナリティー(人間的魅力)
第一印象で他者から「感じのいい人ねぇ~」と思われる方法です。

②コミュニケーション(対話術)
会話をした相手から「話してて楽しい人だなぁ」と思わせる方法です。

③インテリジェンス(教養力)
相手から「知的な人ねぇ~」とか「人として厚みのある人だねぇ」とか思われる方法です。

④スペシャリティ(専門性)
相手から「頼りになる人ねぇ」とか「この人だったら大丈夫だな」とか思われるための方法です。

それでは早速、『パーソナリティー(人間的魅力)』を高める具体的方法についてガイドしていきます…。

歴史上の偉人の中で、日本の経営者たちのイチ押しは徳川家康です。これが西洋圏になるとカエサル(古代ローマの英雄)になります。カエサル研究の第一人者・塩野七生氏によれば、カエサルの最大の強みはその人心掌握術にあったといいます。

私たちが中学高校の頃は、世界史の授業で『ルビコン河を渡れ』とか『サイは投げられた』とか、カエサルの逸話を学ぶのが定番でした。文化祭でもやりました! や、ウチの学校だけかな? いずれにせよ、山川の世界史の教科書に出ていたのはまちがいないです。

ガリアを制圧したカエサル軍でしたが、ローマへの凱旋途上、政敵・ポンペイウスの謀反の知らせが届きます。当時のローマ帝国では、戦地からローマ市内に戻る際には、ルビコン河の手前で武装解除しなければならないことが法律で定められていました。

が、思案の末、カエサルは武装解除せずに、敵が待ち受けるローマに踏み込むことを決意。家臣や奴隷(当時は戦争で男手を失ったガリアの高齢者や女性や子どもたちは、ローマに連行されてローマ人に使えるのが慣例だった)たちに、その旨を伝えます。

すると驚いたことに、身内をカエサル軍に殺された人たちまでもが、カエサルのために戦う意思を示し、河原で棒きれや石ころを手に「エイエイオーッ!」とやったというのだから驚きです。

で、塩野氏によれば、その理由がカエサルの人心掌握術にあったというのです。カエサルという大将は、いつ何時でも機嫌と愛そうがよく、誰に対しても友好的だったようです。要は、人並み外れた人望があったわけです。


例によって話が逸れましたが、みなさんにも、仕事や人生においてフォローの風が吹くように、一にも二にも、この人望を磨いてほしいのです。

研修の場では、『人は何で動くのか』というテーマでグループディスカッションをやってもらっていました。

例えばみなさんが、ちょっぴり奮発して新しい洋服を買うことにしたとしましょう。いくつかの店を見てまわって、予算内で買える好みの服を見つけたとします。店員が素材やデザインについて、非の打ち所のない説明をしてくれました。さて、それだけでみなさんは、果たして財布に手をかけるでしょうか?

実は私たちは、どんなに価値の高い製品・サービスであっても、その店員の言動がどこか鼻につくように感じると、購買意欲がたちどころに失せてしまうことがわかっています。逆に、店員に好感を持つと、製品・サービスに多少の検討課題があったとしても買ってしまったりします。これが人間心理の不思議なところです。

購買をはじめとする意思決定に影響を与えるもの。それは、①相手の人となり ②相手の伝え方(説明) ③商品そのもの …の順になります。そして、その影響度を比率で表せば、「①:②:③=6:3:1」となることがわかっています。

つまり、相手がどんな人物なのかがとても重要ということです。「信なくば立たず」ならぬ、「信なくば買わず」なのです。そして、みなさんを信ずてくれた者たちこそが、みなさんに儲(信ずる者=もうけ)を運んできてくれるのです。ですから、一にも二にも、「感じのいい人ねぇ」と思ってもらうことがすべての出発点となります。四肢優位の人たちから好かれないことには、成功も幸せも手にすることはむずかしくなります。

もうひとつ例をあげます。テレビをつけたら、ある著名人が何かのテーマで熱っぽく話していたとします。あなたがその著名人が嫌いだったとしたら、彼もしくは彼女がどんなに素晴らしい内容について熱弁を振るっていたとしても、あなたはスルーする可能性があります。でも、あなたが好きな著名人が出ていたなら、あなたにとってはそもそも関心のない話であっても、彼もしくは彼女がいかに口べたであっても、あなたは真剣に聞き入るはずです。

大切なことなので繰り返しますね。あなたがこれから職場とか地域とかで一目置かれようとするのであれば、まずは周囲の人たちから、「あの人、感じいいよねぇ」と評価されることが大・大・大前提となります。

これから解説していくコミュニケーション能力やら教養・知性やら専門性やらの前に、あなた自身の人間的魅力を高めておかねばなりません。あなたの未来を輝かしいものにするためのキーワードとして、「あなたを難局から守る用心棒こそが『要人望』」と覚えておいてください。

ところで人望とは、人が持って生まれた先天的な資質ではなく、技術です。それは水泳や自転車や英会話とまったく同じで、トレーニングによって身につくものだということです。よく、「私には人望がないから…」等と言う人がいますが、あれはまちがいです。必要なトレーニングを行えば、だれであれ、人間的魅力すなわち人望を高めることが可能なのです。


ということで、次回の記事で、人望を高めるために速攻で始められる『ヒューマンベーシックナイン』というトレーニング法を紹介していきます。楽しみにしていてください!

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