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アナログディスク人気が復活して売上右肩上がりらしい

日本レコード協会が「日本のレコード産業2020」を公開していました。ストリーミング市場がどれほど伸びているのかチェックしようと中身を見てみると、他にも気になる数字が。要所をピックアップしてみます。

音楽市場規模は2,998億円(前年比▲1.6%)

最初に音楽業界全体の市場規模を確認すると、2019年は2,998億円で前年から▲1.6%縮小しました。

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ストリーミング市場は+33.2%増の465億円と高成長を続けています。

しかし、オーディオレコード(1,528億円、▲3.0%)や音楽ビデオ(764億円、▲7.6%)の減少には歯止めがかからず。

音楽業界は「旧フォーマットの衰退をストリーミングがどれだけ補えるか」という状況です。

アナログディスクの生産数量が前年比+9%、6年連続で市場規模が拡大

構成比67%と最も大きい「オーディオレコード」部門には、CDやアナログディスク、カセットテープ等が含まれます。

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周知の通り、CD市場は縮小を続けています。カセットテープも風前の灯。

音楽ソフトがデジタル化の波に呑み込まれる中、ただ一つ奮闘している媒体がありました。なんと、アナログディスクの生産数量は前年比+9%と増加しているではありませんか。

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CDが登場してから役目を終えた感があったアナログディスクは、2010年頃には市場規模1億円程度まで縮小していました。ところが、近年は再び生産数量が増加傾向に。2013年から6年連続でプラスとなっています。

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音楽市場全体における構成比は1%程度に過ぎませんが、2019年の市場規模は21.5億円まで回復しています。

レコード人気再燃のきっかけは「レコード・ストア・デイ」

アナログディスク、レコードには"昭和歌謡"のようなレトロなイメージがありますが、一体なぜ人気が復活しているんでしょうか。

ちょっと調べてみると、どうやら2008年にアメリカで立ち上がった「レコード・ストア・デイ」というイベントがきっかけらしい。

「レコード・ストア・デイ」はレコードショップが主催し、限定商品の販売などを通じてアーティストと音楽ファンをつなぐ場を提供するというもの。ボブ・ディランやローリング・ストーンズ等の著名アーティストが賛同して大盛況となり、毎年4月の第3土曜日に世界同時開催されているようです。

『レコード・ストア・デイ』は毎年4月の第3土曜日に開催されるアナログレコードのお祭りとして定着。今では世界23カ国のレコードショップが参加し、日本でもレアアイテムを求めるファンで活況を見せている。2019年に日本で行われた『レコード・ストア・デイ・ジャパン』では90点を超えるタイトルが限定リリースされ、高橋幸宏がアンバサダーとして旗振り役を買って出た。

上に貼った記事によると、「レコード・ストア・デイ」は日本でも開催されていて、音楽ファンにはたまらないイベントになっているようです。

ジャケ買い、コレクション、音質、一手間の楽しみ

レコードは7インチ〜12インチの巨大な円盤型メディアです。

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いつでもどこでも好きな音楽が手に入るようになったいま、レコードは所有欲、コレクション欲を満たしてくれるアイテムとして人気が再燃している模様。インスタ映えを狙った#レコード女子も増えているらしいです。

また、レコードは音質が高いことが一つの特徴。圧縮・加工されたデジタルデータと違い、アナログのまま音声を記録することができますからね。最近は技術が進歩してレコードプレーヤが安価でコンパクトになり、手軽に楽しめるようになったことも大きそうです。

レコード業界に起きていることはまさしく、『突破するデザイン』著者のロベルト・ベルガンティ教授がいう「意味のイノベーション」だな、と。明かりからインテリアに役割を変え、生産量が30年前の3倍に増加したろうそくと似たような事例だなと感じた次第です。


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