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ユニコーン企業「Airtable」が$50M+資金調達。評価額は前回ラウンドから3倍に上昇

The Informationのスクープによると、SaaS企業「Airtable」が少なくとも5,000万ドル以上の資金を新たに調達したようです。

(Kate ClarkさんがTechCrunchからThe Informationに移籍していたとは知らなかった…!)

今回の資金調達で評価額は25~40億ドルに上昇したと見られ、前回ラウンドからのおよそ3倍になりました。

リモートワーク拡大も追い風となっているようです。

単なるスプレッドシートの進化版ではない。"Next Microsoft"を目指すAirtable

Airtableは2012年、Howie Liu氏らによってシリコンバレーで創業されました。

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Airtableはスプレッドシートとデータベースを組み合わせたようなコラボレーションツールです。

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ビジネスマンにとっては見なれたグリッド型のテーブルでリストを作ったり、

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デザイナーがモックアップを管理したりと、活用方法は多岐に渡ります。

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利用企業数は17万社にのぼり、ExpediaやBuzzFeed、Shopifyなど様々なジャンルの企業が顧客に名を連ねています。

創業者Liu氏はSalesforce出身

創業者Howie Liu氏はDuke大学卒業後、2010年にCRMを開発する「Etacts」を創業しました。Ron Conwayやアシュトン・カッチャー等から出資を受けてサービスは急成長。2011年にSaaSの王者・Salesforceによって買収されました。

Salesforce傘下となった後にLiu氏は新たな起業アイディアを練り、2012年に再び会社を設立。当初は医療情報の電子化サービス等も検討していたそうです。

マーク・ベニオフからも助言を受け、2013年にAirtableをリリース。ブロックという概念を導入し、レゴのように誰でも簡単にカスタム・ソフトウェアを作成できるツールを開発しました。

Airtableは一見するとExcelの進化版のようですが、Liu氏はそれで終わるつもりはないようです。

"People think we’re building an Excel or Google Sheets replacement, but we’re out to build the next Microsoft or Apple."

見据えるのは"Next Microsoft"であり、"Next Apple"のようポジション。人々の生産性を変革するようなビジネスツールとなることを目指しています。

最近ではGoogleが「AppSheet」を買収したりと、ノーコード・スタートアップに注目が集まっています。

WordPressがネットメディアを、ShopifyがECサイトを民主化したように、Airtableもビジネス・ソフトウェアを民主化するような存在になれるのか、個人的に大きな期待をかけています。プログラミング技術という制約から解き放たれれば、人間とテクノロジーとの関係はもうワンランク上にステップアップできると思ってます。

"API Universe"による変革への期待

アメリカの著名VCであるBessemer Venture Partnersは毎年「State of Cloud」というソフトウェア業界、クラウドサービスの展望・や見解を発表しています。

先日2020年版が公開されており、さっそくチェック。特に気になったスライドが1枚ありました。

2020年の予測⑤:"API universe"がすべての産業のイノベーションを加速させる

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Salesforceが1999年に設立され、2004年に上場してからソフトウェア産業のクラウド化が本格化しました。その後、様々な領域でSaaSプロダクトが誕生しており、もはやすべての業務・開発要件をSaaSで完結できるような時代が到来したといえます。

そして、次に起きるのはAPI接続によるサービス同士を組み合わせたソリューション開発ではないかと見られています。レガシーシステムの各機能がモダンなSaaSプロダクトに置き換わって個別の業務が最適化された後は、それらを統合することで全体最適が実現します。

いわゆるDX(デジタル・トランスフォーメーション)というやつで、あらゆる企業活動は遅かれ早かれテクノロジーを中心に再設計されることは間違いないと思います。というより、テクノロジーを中心に設計できないと生き残れない気がします。

DXを加速させるのが"API universe"であり、その構成要素が無数にあるSaaSでありノーコードツールであると。新卒で外資系IT系企業に入ってエンタープライズ・ソフトウェアの世界に足を踏み入れさせていただいた身としては、SaaSとノーコードツールがもたらす変革に期待せざるをえません。

そして、"API universe"をさらに後押しするのがZapierといったiPaaS。ノーコードツールをiPaaSで接続すれば、コーディングなしでサービスを作ることも不可能ではありません。

最後のほうは自分の妄想をだらだらと書き殴ってしまいましたが、コードを書けないただのネット好きの自分にとっては、待ちに待った世界がいよいよやってきたな、という感じです。

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