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サイバーエージェントが電通の時価総額を一時逆転とのことで、改めて「日本の広告費」をざっくり確認

サイバーエージェント、電通の時価総額を一時逆転 〜日本一の広告会社の行方〜

4月3日、サイバーエージェントに時価総額(約5,134億円)が電通グループ(約5,127億円)を一時逆転した。

終値では再び電通が上回ったが、サイバーエージェントはすでに広告業界2番手の博報堂DYHD(約4,063億円)を超えている。

参考:
https://rtbsquare.work/archives/27696#Rv9WiQ2.twitter_responsive

電通グループ「2019年 日本の広告費」

電通グループは2020年3月11日に「2019年 日本の広告費」を発表。新たに追加した項目も含めて6兆9,381億円と推定した。
前年同様の推定方法で+1.9%、8年連続のプラス成長となっている。

元来、広告費は名目GDPと相関するとされている。

2019年_日本の広告費_-_ナレッジ&データ_-_電通

2016年以降は広告費の伸びが名目GDP成長率を上回っている。
広告費の対名目GDP比は1.25%ほど。

媒体別では、想像の通りインターネットが伸長。6年連続2ケタ成長しており、2019年は初めて2兆円を突破した。

2019年_日本の広告費_-_ナレッジ&データ_-_電通-2

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減少傾向のテレビを抜き、構成比比率が30%超に。国内最大の広告媒体に位置していることになる。

参考:
https://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/2019/

電通はグローバルに横展開、サイバーエージェントは広告媒体そのものを持つ縦方向

広告費とGDPの相関を考えると、いくらデジタル広告が伸びているとはいえサイバーエージェントの成長アップサイドはそこまで大きくないのかもしれない。

もう一度RTBスクエアさんの記事に戻ると、両者の事業構造の違いに言及している。

まずは地域別売上。

広告業売上高比較

電通は2012年にイギリスのイージス・グループを買収し、現在は海外事業が売上全体の半数以上を占めている。世界シェア拡大と新興国の成長取り込みを目指しているだろう。広告代理店業がコア事業であることに変わりはなく、横展開。
サイバーエージェントは国内売上が90%以上のため海外売上を開示していない。

続いて事業セグメント別売上。

電通グループ売上高構成比

サイバーエージェント売上高構成比

電通は広告媒体を買い付けて広告主に仲介する広告事業が9割超。海外売上比率は高まっているが、ピュアな広告代理店であることに変わりはない。

一方、サイバーエージェントの広告事業は6割弱。売上の3割を占めるゲームは利益では広告事業を上回っている稼ぎ頭。
そして、近年はAbemaTVを筆頭としたメディア事業に積極投資しており、ゲームも含めて広告媒体そのものを保有するバーティカルな攻め方をしていることが伺える。

ここで現状に立ち返ると、コロナウイルスは世界経済全体に影響を及ぼしているので、日本だけでなく海外事業も大きな打撃を受ける。オリンピック延期も相まって電通の先行きは不透明。
対して、巣篭もり消費でデジタル媒体のニーズが高まっていて、インターネットメディアを抑えているサイバーエージェントに対するは評価は横ばいになっているのかなという印象。

参考:
https://rtbsquare.work/archives/27696#Rv9WiQ2.twitter_responsive

博報堂「メディア定点調査2019」

博報堂の調査によると、2019年のメディア総接触時間は初の400分台に到達。過去最高の411.6分に増加した。(調査対象は東京地区)

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最大はテレビで153.9分と9年ぶりの前年比プラス。
やはり携帯・スマホが右肩上がりで117.6分(+14%)。

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携帯・スマホの構成比が28.6%まで上昇している。PCとタブレット端末を含めたデジタル端末合計で49.9%と半数に到達した。

参考:
https://mekanken.com/mediasurveys/

10代後半から20代の6人に1人がテレビ視聴なし

また、サイバーエージェントは2018年2月にテレビ接触頻度調査を実施。

テレビ視聴平日1時間以下、かつ休日2時間以下の「ローテレ系」が38.6%を占める。

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テレビを持っていない or 1か月以内に視聴なしの「ノンテレ」は10.3%もいる。(僕もテレビ持ってないです)

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「ローテレ系」を年代別に見ると、10代後半48%、20代も45%と過半に迫る勢い。

参考:
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=21648

その他雑感

4マスの媒体価値が下がってしまうのは広告業界的にネガティブだけど、広告主の裾野が広がるとも解釈できる。

ラクスルがテレビCMのマーケットプレイス化を進めていて伸びていたりと面白い。

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