中古車ECのユニコーン企業「Vroom」が非公開でIPO申請。競合Carvanaの業績も軽くチェック
アメリカで中古車マーケットプレイスを運営するユニコーン企業「Vroom」が非公開で上場申請書類を提出したとWSJが報じました。
Vroomは2013年にニューヨークで創業され、中古車をオンラインで売買できるマーケットプレイスの提供を開始しました。送料無料で7日間の試乗期間を設けていることがサービスの大きな特徴です。
現在はPriceline.comのCEOだったPaul Hennessy氏がCEOを務めています。
2019年12月にシリーズHで2.54億ドルを調達し、評価額が10億ドルを超えていました。
アメリカ全土をカバーし、購入ユーザーと売り手は合わせて25万人以上。常に400種類以上の車種を約3,000台リストアップしており、出荷台数は前年比で2倍以上 "triple-digit growth" を達成しているそうです。
競合には"自販機"で有名なCarvanaがおります。
2019年の売上は前年比+101%増の39.4億ドル、ここ3年で売上は10倍と爆発的に成長しています。
アメリカの自動車市場は1兆ドルと巨大な一方、中古車小売市場は主要プレーヤーがいない分散された市場となっています。中古車小売企業トップ100を合計しても市場シェアはわずか8.6%程度とのこと。
CarvanaはEC×お届け手段の革新によってユーザー獲得を目指しています。ユーザーがオンラインで購入手続きをした後、Carvanaは自動車を自宅まで届けてくれます。そして大きな話題となったのが自販機。買った自動車を好きなタイミングで自販機から受け取ることができるアトラクション型デリバリーとなっています。
(Carvana 1Q 2020 Letter to Shareholders)
2020年1Qの売上は前年比+45%増の10.98億ドル、小売販売台数は+43%増の5万2,427台でした。
成長ペースは鈍化していますが、新車販売台数の減少で中古車市場も動向が不安視されていた中では高成長を維持しているといえそうです。
注力している中古車買い取りも+157%増の3.78万台とゴリゴリ伸びています。
一方、改善が続いていたマージンはふたたび悪化したようです。
状況が状況なので業績予想は取り下げ。3月中旬から4月上旬にかけて、週間販売台数は前年同期比▲30%近く落ち込んだようです。
しかし、4月下旬に入ってから復調し、前年比+20~+30%増と再び成長を取り戻したとのこと。
株価は3月に入って1/4程度まで暴落していましたが、ここ1ヶ月で3倍以上も上昇。再び最高値圏まで戻っています。
時価総額は165.4億ドル、日本円にして1.8兆円です。
ちなみに「ガリバー」を運営するIDOMの時価総額は500億円ほど。通期売上は約3,600億円で、昨季の売上規模ではCarvanaに追い抜かれています。
UberやLyftなどのライドシェアに対するマインドが落ち込む中で、マイカー回帰はありそう。今回IPO申請したVroomやCarvanaなどの中古車ECにも期待したいところです。
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