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第2世代iPhone SEは8と同じメカ設計。処理性能と筐体サイズのトレードオフ

かねてから噂されていた第2世代iPhone SEが正式発表されました。しかし、初代で慣れ親しんだ4インチの姿では帰ってこないようです。

ITmediaの解説記事を整理してみます。

第2世代iPhone SEは64GB版で4万4,800円(税別、直販価格)と5万円を切ってきました。2019年発売の11 Proが10万円を超えていたことを考えると、飛びつきたくなる価格設定です。

廉価版ながら、搭載チップは11シリーズと同じ「A13 Bionic」。背面カメラは1,200万画素、NFC対応やホームボタン復活、付属の充電器が最大18Wの急速充電に対応するなどスペックも申し分ありません。

ただ一つ、端末サイズはiPhone 8と同じ4.7インチで、初代と同じ4インチではありませんでした。端末サイズを初代と同じにできない理由は大きく3つあるようです。

①アンテナ設計
最新のiPhoneの内蔵LTEモデムは30バンドと初代SEに比べて倍増しているとのこと。より多くの周波数帯に対応するため、アンテナ設計や配置の難易度が高くなっています。

NFCもType-A/Bに加え、Suicaなど電子マネー用のType-Fに対応する必要があることから、筐体が膨れ上がるのはやむを得ないといえそうです。

②メカ設計
低価格実現のため、第2世代はメカ設計をiPhone 8と共通にしていると言われています。

399ドルモデルの原価予測が160ドル(原価率40%)と他モデルに比べて高く、生産設備を再利用することで設備投資を低く抑えて製品化に至ったと推測されていまう。

③熱設計
第2世代に搭載されるチップ「A13 Bionic」は6.1インチのiPhone 11向けに開発されたものです。処理性能が向上するほど発熱の課題も大きくなるため、②にあるとおり過去モデルを再利用しようと思ったとき、8のサイズが熱設計的に限界だったと思われます。

以上の3点から、第2世代は初代と同じサイズにできなかったようです。処理性能とサイズ、価格はトレードオフの関係にあり、お手軽なSEはもう二度と戻ってこないかもしれません。

「生死不明」のムーアの法則

端末サイズに関わる話として、バッテリー性能とのトレードオフについても考える必要があります。

半導体産業で有名な「ムーアの法則」と混同される法則として、「デナード・スケーリング」というものがあります。

「ムーアの法則」は「半導体の集積密度は18か月=24か月程度で倍増する」という法則(これも誤りだと言われていますが…)であるのに対し、デナード・スケーリングは

「MOS FETを微細化することによって、MOS FETのスイッチングに要する遅延時間がk分の1に短くなり、消費電力はkの2乗分の1に下がる」

というものです。ムーアの法則と同時にMOS FETの微細化も進んだことで、処理性能を向上しながら消費電力を抑えることに成功していたというわけです。メインフレームからラップトップ、スマホへ小型化していったコンピュータ開発の背景にはムーアの法則とデナード・スケーリングの両輪があったと。

しかし、デナード・スケーリングは1990年代後半に破綻していて、現在は処理性能が上がるほど消費電力も増大してしまうそうです。

したがって、高スペックが要求されるスマホのバッテリー性能を維持するには筐体サイズを大きくせざるをえません。

実際、手元の低価格小型スマホRakuten miniは電池すぐ切れる…。何を取るかだなと思います。自分の好みに応じてカスタマイズできるのが一番。

自作PCのの次は自作スマホが来る(来ない)

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