ベイルートの爆発とレバノン特別法廷
8月4日、ベイルートの港湾地区で発生した巨大な爆発についての真相究明が待たれるところであるが、直後から非難の指先が向かっているヒズボラについては、15年前からの嫌疑がある。2005年2月14日、ラフィーク・ハリーリ首相の車列が路傍に仕掛けられた大量の爆発物の爆発によって吹き飛ばされ、首相らが死亡した事件に関与した疑いだ。
この事件については、国連安保理決議によって特別法廷が設置されて審理が続けられてきた。何と15年もかかっていてその意味が問われるが、とにかく、その判決が8月7日に言い渡されることになっている。ちょうどその時に新たな爆発が起きたのだ。(新しい爆発の前に書かれたアラブニュース=ロイター参照)
https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_19678/
爆発の真相を知りたい記者、評論家らは、しきりにこの判決の日程と今回の爆発は関連があるのでは?と示唆している。つまり、真犯人はヒズボラとイランである、と言いたいのである。
写真は、小職が3年前にハーグで研修した際にレバノン特別法廷(STL)の設置されている建物前で撮影したものだ。古い資料だが、外務省のとりまとめが、この特別法廷の概要を紹介しているのでリンクを張っておく。https://www.mofa-irc.go.jp/link/kikan_stl.html
英語に問題のない専門家の方は、直接、STLのサイトをチェックされたい。https://www.stl-tsl.org/en
判決予定とは別に、イランでは最近イスラエルのサイバー攻撃ではないかと噂される原因不明の核施設における爆発・火災事故などが頻発していたため、イランが報復に出るだろうと噂されていた。しかし、ベイルートを爆破したのでは、全く逆効果である。
一方でイスラエルはといえば、先日シリア領内のイラン軍拠点を爆撃するなど、国内で辞任要求デモの起きているネタニヤフ政権は国民の関心を安全保障問題に向けたい状況にあった。
今回の爆発の現場から十数キロ離れた山岳部に住む方に聞いたところ、最初、小さな爆発音が聞こえたので何だろうと思っていたら、数秒後に地震か!と思われるものすごい爆発の衝撃がやってきたとのこと。被害状況はそろそろ伝わってくると思われるが、多くの方が亡くなったり重傷を負っていることだろう。心からお悔やみとお見舞いを申し上げたい。
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