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誰が火をつけたのかわからない


写真:AP Photo/Hussein Malla

6000人が負傷し、少なくとも180人が死亡したベイルート港の大爆発は、その端緒が大量の硝酸アンモニウムが保管されていた第12番倉庫で発生した火災であることが分かっている。この火災が失火なのか、放火なのかがわからない。証拠となる現場は直径200mの巨大クレーターとなって吹き飛んでいる。真相にどうやって迫ることができるだろうか。

下記APの記事が、筆者にとっての少しばかりの新事実を伝えているので、備忘録がてら書いている。
‘End of the world’: Countdown to Beirut’s devastating blast

ー12番倉庫では、9番扉の溶接工事が行われていた。作業員ら(逮捕、取り調べ中)は、仕事を終えて帰宅していた。その後に火災が発生した。

ー溶接の火が何らかの可燃物に引火したことに気づかず帰宅したのか、それとも別の理由で火がついたのかは不明。調査中。

ー12番倉庫には、花火が保管されており、火災によってそれが破裂する音が聞かれている。(花火が燃えた、という当初の報道は事実。武器があったのではないか、との憶測は否定。)

 火災の通報を受け現場に急行し、殉職した10人の消防士(うち一人は女性救命士)は、もちろん、硝酸アンモニウムの存在を知らなかった。消防署全体が知らなかったのだ。硝酸アンモニウムと花火が同居していたことを含め考えられない職務過怠である。管理者の責任は重大で、仮に失火の場合、火を出してしまった作業員には爆発物の存在は知らされていなかったのであるから、作業員に被せられる罪の大きさに比べたら、管理者のそれは比較にならないほど大きい。

 一方、硝酸アンモニウムの存在を知っていて放火したのであれば、その罪は原爆投下と同等の罪深さである。得てして、大犯罪者は処罰を免れる。

(注:憶測の域を出ないが、何らかの勢力が事件を起こした、即ち、誰かの意図を汲んだ手先が放火したという説は根強い。そのような黒幕としては、イスラエル、サウジアラビア/UAE、国内の反ヒズボラ勢力、が挙げられている。)

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